2017年04月15日公開
毎年、サクラ開花の報せが届く頃、それに匹敵する釣り物の楽しみがある。マルイカだ。“筒イカの最高峰”と言われるケンサキイカの幼体(子供)だが、味の良さもさることながら、小さなアタリを拾うテクニカルな釣り味に嵌るアングラーも多い。「釣ってよし、食べてよし!」のマルイカ。今年も開幕早々釣れ出したと聞き、千葉県・南房、勝山港『宝生丸』へと車を走らせた。
釣具店のマルイカコーナーは春満開!
この時期、釣具店には様々なマルイカ専用タックルやスッテが並び始める。今シーズンも2017年新作のスッテなどが数多く店頭に並び、いよいよシーズン到来を実感させる。今回出掛けた『宝生丸』はマルイカやカワハギなどの奥の深いテクニカルな釣り物に精通した船宿だ。今年のマルイカを占うにはピッタリな船宿である。
土砂降りの悪天候
この日の天気予報は終日小雨。あまり有り難いコンディションではないが、マルイカの場合は晴天よりも曇天の方がいいという説もあり、期待を大きく膨らませて集合時間の午前5時半、勝山港に到着した。しかし、車の外は決して小雨ではない。車から出るのが苦痛なほどの本降り。さすがにこの天気もあってか、前日は2隻出しの賑わいだった『宝生丸』も、この日は私以外に3人の釣り人での出船となった。しかも3人とも初めてのマルイカ釣りと言う。出船前に高橋賢一船長から「マルイカの釣り方」を入念に教わり、頭にしっかりと叩き込んでいざ出船。期待と不安が入り混じる中で釣り場へ向かった。
港を出てすぐそばに好エリアが点在
勝山沖のマルイカポイントは港を出てすぐ。勝山沖の名所、浮島からほど近いエリアだ。春先でまだ水深も深めで60~70m。まずはマルイカらしい反応を探すことから始まる。しかし、この日はその「マルイカらしい反応」がなかなか見つからない。探し続けること30分程。やっと見つかったそれらしき反応でいざスタート。一斉に投入器からスッテが飛び出していく。着底を確認すると1回誘いを入れて竿先の様子を見る。アタリがなければカワハギのように数回叩いた後、ピタッと動きを止めて様子を見る。叩いた直後のスッテが止まった瞬間にマルイカが触ることが多い。“初マルイカ”とはいえ、カワハギ釣りはベテランと言う釣り人だけに叩きは非常に上手く、小まめに誘いを入れたが残念ながらイカが乗ることはなかった。
反応を探すも大苦戦
見切りをつけて次のポイントを探すがなかなか反応が見つからない。仕掛けを下ろしている時間よりもポイントを探す時間の方が圧倒的に長い。土砂降りの雨に比例するかのように船長と釣り人にとっても厳しい時間が続いた。結果から先に言うと、この日は終始この状況に変わりがなかった。ポイントを館山沖まで伸ばして探ったが、マルイカの目立った反応がなく、トップで3杯と辛うじて「型を見た」という最近の釣果からは想像できない結果に終わってしまった。予想以上の悪天候が災いしたのか、それとも潮目がマルイカのご機嫌にそぐわなかったのかは不明だが、これもまた自然を相手にする釣りの楽しさでもある。この厳しい状況の中でマルイカを3杯とスルメイカの子供のムギイカを2杯釣った岩井拓也さん。叩いた後に僅かに訪れる小さなアタリを掛ける快感にすっかりマルイカの虜になったそうだ。
例年は“底”を見た後に状況上向く
高橋賢一船長の話では、例年マルイカは開幕直後にある程度釣れた後に1回“底”を見るそうだ。その理由が何なのかは不明だが、“底”を見た後に最盛期を迎えると言う。私の日頃の行いなのか?残念ながら取材に訪れた日がその例年でいう“底”に当たってしまったようだ。この後また状況は上向き、繊細なマルイカとのやり取りを楽しめることだろう。個人的にも必ず再訪しリベンジしたい。
今回利用した釣り船
出船データ
料金:1万円(税込・氷付)※HPにて1,000円割引クーポンあり
出船:4時30分集合、5時00分出船、12時30分沖上がり