2020年03月01日公開
本格的な冬の寒さもいつのまにか通り過ぎ、関東で“春一番”が吹き荒れた2月下旬、ヤリイカの好釣果が続いているとの情報を聞き付け、千葉県・勝山港『新盛丸』へ向かった。
勝山港はアクセス良好
東京湾アクアラインと富津館山道のおかげで勝山港への釣行は至極快適になった。鋸南富山ICを出て約5分の場所にあり、都心からでも車なら1時間30分程で到着する。集合時間は午前5時半、受け付けは港で行われる。船と道路を挟んだ反対側にある釣り座ボードで釣り座を確保したら、駐車場へ車を停め、荷物を降ろす。料金を支払い乗船名簿に名前を記入して手続き完了。乗船して道具を整える。この日は、ヤリイカ船2隻出しと大盛況、ヤリイカ好調の様子が伺われた。6時17分、私の乗船した「第一新盛丸」は、17人のヤリイカファンを乗せ出船した。
開始早々、サバの洗礼を浴びる
航程50分程で洲崎沖のポイントに到着。船長の「はい、どうぞ。水深180mちょっとです、底のほうで」のアナウンスで一斉にオモリを投入。すると、着底する前にあちらこちらで竿先に魚らしきアタリが目立ち、「サバだよ」と声が上がった。そんな中、早くも右舷トモ(船尾)の竹俣さん(木更津市)が2杯のスルメイカを上げた。使っていたのは直結仕掛け11本ヅノだ。皆再投入するが、ブランコ仕掛けでは途中でサバが邪魔して底まで落ちない。船長から直結仕掛けを使うようアドバイスが入り、ブランコ仕掛けを使っていた人達が仕掛けを変え始めた。
この時、右舷ミヨシ(船首)の関さん(寒川町)の仕掛けを見ると、幹糸にはすべてのツノの上10cm程の位置にコブが作ってあった。聞いてみると、直結仕掛けからブランコ仕掛けに変えるための細工で、カンナへ結んでいたハリスの輪をコブの上に付け替えられる仕組みで、サバの影響が減ったとき簡単に変更ができるのだそうだ。
7時半を過ぎてもサバの勢いは止まる様子はなく、船長は移動を決めた。40分程で船は“布良瀬富出し”エリアに到着。前日のウネリがまだ残っている様子だった。「はい、どうぞ。160mくらいから下へ下へと降ろしてください、途中で乗りそうです、水深は200m以上あります」と船長からのアナウンス。相変わらずサバもいるようだが、仕掛けは何とか着底し、あちらこちらでイカが乗り始めているようだ。しかし、大きなウネリのせいもあり海面近くでバラしてしまう人が多い。「直結の取り込みは一気にたぐりあげて止めないように!」と船長からアドバイス。その後、あちらこちらでヤリイカが上がり始め、次々に桶にヤリイカが溜まっていった。9時を回る頃にはサバの猛攻も落ち着いてきたようで、ブランコ仕掛けでも底まで落ちるようになって来ていた。
多点掛け続出!
仕掛けが着底するようになると、型の良いイカがどんどん上がり始めた。右舷胴の間(中央)の尾仲さん(四街道市)は、直結仕掛けで順調にヤリイカとスルメイカを上げていた。聞いてみると着乗りは少なく、底から2回か3回シャクッた時に乗ってくることが多いそうだ。時間が経つにつれ多点掛けも目立つようになって来た。左舷胴の間の小林さん(市川市)は、この日が人生初めての釣りで、見事に良型イカの多点掛けに成功した。右舷胴の間の斎藤さんご夫婦(八千代市)は、2人揃って多点掛けを連発、時合が来たのか船内が活況に満ちてきた。この日最初にスルメイカを上げた竹俣さんも、ブランコ仕掛けに7点掛けと絶好調だ。イカ釣りの大きな魅力は多点掛け。追い乗りでズン、ズンズンと次々に重くなる竿を持ち、海面まで引き上げた仕掛けを覗いた時に見える点々と下へ続くユラユラゆれる白い影。これを目にした時の多幸感たるや、他ではなかなか味わえない。
厳しいながらもトップは46杯!
その後、船が白浜沖に移動した後も順調に釣れ続けた。13時過ぎ、船長から最終流しのアナウンスがあり、再び活発になったサバと対峙しながら、締めくくりの釣りを楽しんでいる内に沖上がりの時間となった。この日のトップは46杯を釣り上げた竹俣さん。仕掛けを見せてもらったところ、13本ヅノのブランコ仕掛けには11cmと14cmのツノが混在していた。色はピンクや濃い青、薄い青のケイムラなどを入れて、誘いはシャクッた後に下で待つようにしたとのことだった。この日は、サバの猛攻に苦しみながらも船中では、28杯、26杯、23杯とほとんどの人が“ツ抜け”を達成した。
船長にコツを訊く
艫居正悟船長にこの日の状況や釣り方について訊いてみた。「今日は二枚潮で上のほうの潮が速く、ウネリもあって難しかったですね。ヤリイカは誘い方が重要で、仕掛けを下まで降ろしたら竿を1mスーっと上げてピタッと止める。乗りを感じなければまたスーッと1m上げてピタッと止めてと繰り返す。そうするとツノを追ってきたイカがツノを抱き下へ引っ張るのでカンナにしっかり掛かる。この止めが大切で竿の戻り幅も計算しないといけない。ピタッと止めないで少し動かすと追ってきたイカが乗らないんです、また、仕掛けはシンプルが一番ですよ」と教えてくれた。仕掛けは船内でも販売しており、船長お勧めのツノもあるので予約の際に訊ねてみよう。『新盛丸』では4月下旬までヤリイカ船を出す予定だそうだ。ベテランのイカファンも未経験の方も、好釣果が続く旬の時期に良型イカの引きを満喫しに出かけてみてはいかがだろう。
今回利用した釣り船
出船データ
集合時間:午前5時30分
沖上がり:午後1時~1時半
乗合料金:1万円(氷1個付き)、HP割引サービスあり
電動リール付きレンタルロッドあり(有料)