幸栄丸・茨城県鹿島港
茨城・鹿島沖“青物”ジギング、空前の“大爆釣”!
第一・第三幸栄丸がパワーUPして復活!
『幸栄丸』のルアー船では、ジギングの他にタコベイトを使った胴突き仕掛けでも楽しめる。「ルアー釣りはどうも…」と言う人にも気楽に楽しめるわけだ。 午前4時半、港に到着。4隻の大型船の水銀灯から眩い光が放たれていた。ヒラメ船、フグ船、そしてルアー船には遠くからでも分かる大きな看板が立てられていた。ルアー船は、一番沖に停泊している三号船だ。新設された詰所で若主人の小野馨さんが、「昨日、第一幸栄丸の修理が完了、パワーアップして帰って来ました。これで震災前まで使っていた7隻全てが揃いました」と、力強い笑顔を見せてくれた。
最初の釣り場“砂利場”まで航程30分
ルアー船の舵を握るのは荒原康宏船長。25歳の若手だが、常連さんもその“腕”を認める船長で誰をも味方につけてしまう爽やかなイケメンだ。目指す釣り場は、航程30分、この時期定番のポイントである通称“砂利場”。
左舷大ドモ(船尾)では、この日初めてルアー船に乗ると言う星和男さんは、タコベイトの胴突き5本バリの準備をしていた。「今日は友達に勧められて来ました。タコベイトでイナダを釣った事が無いので凄く楽しみですね」と星さん。『幸栄丸』では、タコベイト派の常連さんも多い。この日も星さんの他にも右舷ミヨシ(船首)に2人タコベイトの釣り人がいた。「一日ジグをシャクリ続けるのは、疲れちゃうよな」と言う人には、中型電動リールを使ったタコベイト仕掛けがお勧めだ。
水深43m、1流し目から“本命”ヒット!
午前5時半、10人を乗せて河岸払い。やっと辺りは薄明るくなった程度。釣り場に到着する頃には明るくなった。「はい、やってみてー。水深43m」。ここ数日、好成績が上がっているためか船長もやる気十分。「昨日は28人で1100尾でしたからね。喰いが止まっても少し移動すればすぐに反応が出て、流し直せば喰う、納竿までその繰り返し。フォール中にジグが落ちていかないなんてこともザラで足元はイナダだらけでしたよ」。間もなく、「右舷のトモで喰ったよ」と、船長からアナウンス。カメラを持って駆けつけると水平線からひょこっと顔を見せた青空を赤く染めた太陽をバックに竿が弧を描いた。抜き上げられたのは1kg級の丸々太ったイナダ。
横流しが基本スタイル、移動後は真下が熱い!
『幸栄丸』のルアー船はエンジンをかけたままの横流しが基本スタイル。そのため潮&風がその日の船の流れ方、釣果を大きく左右する。「今日は逆潮が1ノット弱と比較的緩めの潮ですが、ジギングの場合は2ノット以上流れてくれた方がいいんだけどね」(船長)。イナダなど“青物”は泳ぐスピードが速いため、潮が速ければ速いほど活性が高くなると船長。「ルアー船に乗るとジグでもロングキャストした方が広く探れるので遠くへ投げたがる人が多いですが、実は移動後は船の真下のヒット率が一番高いんですよ」(船長)。船長はソナーと魚探を見て反応にピッタリ乗せてすかさず合図を出す。そのため、流しを変えた直後はキャストせずに真下に落とすのがベストなのだ。流しを変えて数投後はキャストするのも良いが、乗合船ではアンダーキャストが基本。また、自分の真正面にキャストするとオマツリも少なくて済む。タコベイトで4尾掛け!
1流し目の投入から10分後、「来ましたよ~、待望のヒットです。重いですよ、電動のスイッチが切れちゃってとても持っていられないから竿受けに置いて巻いています」と言いながら、星さんが必死に魚と格闘していた。撮影をしながら海面を見ると、水面にイナダの顔が1尾、その下に2尾、更にその下にも1尾…なんと合計4尾のイナダがタコベイト仕掛けに鈴なりにぶら下がっていた。「こんなにいるとは思わなかったですよ。どうりで重たかったわけだ」。星さん、幸先の良い釣果にニッコニコである。この流しでは右舷胴の間(中央)でも同サイズが1尾上がったが、喰いが止まったため移動となった。
イナダの大群は何処へ?
「おかしいなぁ、昨日までもっと濃い群れの反応が出ていたんですけどね」と、船長は首を傾げる。しかし、それでも2流し目は左舷ミヨシと2番目が連続ヒット。初めて鹿島灘のルアー船に乗る私の目には決して喰いが悪いように見えないのだが、明らかに前日より喰い&反応が落ちていると言う。3~5流し目で1時間程かけて“砂利場”の水深49mラインまで見て回ったが、流しを変える度にイナダが1~2尾上がるだけに留まった。午前9時半、船長も“砂利場”に見切りをつけて移動を決断。「ちょっと反応が良くないから漁礁と沈船ポイントへ移動しましょう。20分程走ります」と船長。初心者はワンピッチがお勧め
漁礁に到着。「底に引っ掛からないように気をつけてやって下さい」。船長からジグをロストしないように丁寧なアドバイス。魚探にはゴツゴツした海底の形状、急に競り上がった部分にはベイトの反応がくっきりと出ていた。ここで、船長に初心者にも簡単にできるジギングの誘い方を聞いてみた。「着底したらすぐに巻き上げを開始します。10回程高速で巻いたら、ストップして魚に喰わせるタイミングを与える“ただ巻き”での誘い。あとはワンピッチショートジャークと言って1回のロッドのアクションに対してリールのハンドルを1回転、それをひたすら繰り返す方法があります。どちらも初心者向きの誘いです」。その他にも巻き上げの速度やジャークの速さを変えることによって誘い方の幅は更に広がっていくと言う。※詳しくは、動画で。
水深63m実績のあるワラサポイントへ
移動後、船長も釣り方動画の撮影合間に1kg級のイナダを2尾連続ヒットさせた。しかし、午前10時になってもトップで6尾という厳しい状況。ただ、イナダは大きな群れに当たれば、1流しで1人20尾釣れることも珍しくはないとの事。船長はまだまだ諦めていなかった。「これからワラサが出ているハズレ無しのポイントに行くから皆準備してね」。船長もこの状況を打開すべく水深63mのワラサのポイントへと向かった。実はこの日、左舷ミヨシ(船首)に乗っていた常連の鈴木弘文さんは、10月末にこの場所で5.4kgのワラサをゲットしていた。その時に手首を痛めてしまい、しばらく釣りに来られなかったのだとか。御年71歳、終日ジグ(80~150g)をシャクリ続けるのだから驚きだ。今後も期待十分!親潮に乗って新群到来の予感!
しかし、期待とは裏腹にワラサ狙いのポイントも今シーズン初めての空振りに終わってしまった。そして、11時を回り沖上がりまで1時間。諦めかけたその時だった。港近くのポイントで左舷全員にヒット。私も今だとばかりに撮影を中断、釣りを開始。すると、習いたてのワンピッチショートジャークでヒット。なんとか1尾のイナダを釣り上げ、沖上がりの正午を迎えた。 結局、10尾が2人(ジギング)でタコベイト組の1人だけがオデコ(0尾)だった。帰港後、船長に釣りたてのイナダを捌いてもらったが、身が白く見える程脂が乗っていた。
今後も鹿島沖にはイナダ・ワラサの新群れが親潮に乗って続々と入ってくる。この日も船長の元に茨城北部の仲間から新群れの情報が入っていた。現に取材翌日からは、3日連続で竿頭50尾以上を記録している。この日はたまたま運に見放されただけだったようだ。『幸栄丸』のルアー船、年末一杯か1月までは楽しめる。脂の乗ったイナダ・ワラサを釣るなら今がチャンス!
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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茨城県鹿島港『幸栄丸』 〒314-0003 茨城県鹿嶋市小宮作1069-67 TEL:0299-82-2775 詳細情報(釣りビジョン) 幸栄丸ホームページ |
出船データ |
ルアー船 午前5時集合・5時半出船・12時沖上がり 料金:1万1000円(氷・昼食付) |