2022年06月25日公開
千葉県市原市にある『つり堀センター・市原園』では、一年を通してタナゴ釣りが出来る。“タナゴフリーク”にとっては、誠にありがたい釣り場だ。コイの釣り堀として営業していたが、数年前からタナゴも釣れると分かり、地元のファンが通っていた。今では池の中はほとんどがタナゴ。たまにコイの姿を見かける程度。とにかくタナゴがたくさん釣れるので、初心者からベテランまで楽しめる。
台風被害で食堂は廃業
以前は食堂も併設されていて、一日楽しむには丁度良い環境だったのだが、2019年9月の台風15号と19号により甚大な被害を受け、食堂は廃業となってしまった。幸い池は無事で、オーナーの関澄子さんのご厚意で釣り堀を続けてもらえることになった。里山のホソ(農業用水路)などタナゴが釣れるポイントも護岸や農薬の影響で年々少なくなっている中、嬉しい限りである。
今回、同行をお願いしたのは当方が釣りの師匠と仰ぐ、古山輝男さん(72)=元JGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)常任理事、シーバスフィッシングのパイオニアでチーム“レッドヘッダーズ”初代リーダー、江戸前小物釣りにも精通=。師匠が経営するJR外房線・本千葉駅近くの食堂の昼食時間が終わる午後1時過ぎに釣り場へ向かった。
“世界最小”の釣り物!
“世界最小”の釣りの対象魚と言われるタナゴ。魅力の一つに、道具がコンパクトに纏められ、思い立ったら“合切箱”ひとつを持っていけばよい。さらに工夫すれば竿、仕掛け、ハリ、餌、小道具などが縦15cm、横7cm位の“合切袋”に収まり、スーツのポケットでも十分持ち運べる。当方の知り合いにも出張先へ持って行き、日本全国でタナゴ釣りを楽しんでいる御仁もいる。
『市原園』では40~80cmの和竿を使う。冬場など水量が多く、底近くを狙いたい時は120cmを使うこともある。仕掛けは市販品で、竿の長さに合わせて0.2~0.3号のハリスに親ウキの下にシモリウキ数個が付いたものが好適。餌は“タナゴグルテン”。師匠は玉虫(イラガの幼虫)の腸を餌付けしていた。最近は見かけなくなった蓑虫でも釣れるそうだ。ウキとオモリのバランスは、自宅でペットボトルに水を入れ調整しておくとよい。水中にゆっくりと沈み、餌がなくなると“ゼロバランス”になる感覚が当方の好みである。
初心者から上級者まで楽しめる“タナゴ道場”!
まずは1投目。グルテンを多めに付け、タナゴにアピールする。これを繰り返して行うと段々と集まってきて、ヒラを打つタナゴの姿を目視できるようになった。こうなればしめたもの。餌をハリ先に小さく丸め込み打ち込むと中型サイズのオカメ(タイリクバラタナゴ)が顔を見せてくれた。
師匠は玉虫餌を使っているが、この餌を付けるのがまた難しい。ハリ先に腸を絡ませるのだが、中々上手くいかない。これを習得できれば一度の餌付けで数匹は釣れるほど餌持ちが良い。師匠が「餌付けには3年掛かると言われているよ」と、ご教示頂いた。特に真冬の“寒タナゴ”釣りに威力を発揮する。
タナゴのアタリは手元で感じることはなく、ウキの微妙な変化を見逃さないことだ。タナの位置を変えてアタリの多いところを探ってみるのも良い。最初はウキ下25cmで狙い、30分程するとごっちゃりとタナゴが集まっている。師匠が「アタリが多過ぎて仕掛けが馴染まないな!(親ウキが沈んでいかないで水面に横たわっている状態)」。ウキ下を倍の50cm近くにして早く沈む仕掛けに替えるとアタリは少ないが、少し大きめのオカメが釣れてくるようになった。逆に水面下10cmにしたところ、ヤリタナゴが釣れた。師匠に見せると「寄生虫に罹っているね」と、赤い斑点が出ていた。今までいなかったヤリタナゴ、釣ったのは初めてである。
2時間の釣果は60匹程。師匠はそれ以上を釣り上げている。春先から初冬まではとにかく釣れる。“新仔”など極小サイズの1円玉(直径2cm)以下を掛けられるようになれば上級者レベルだ。さらに寒の釣りは難しい。タナゴが見えているのに口を使ってくれない。“寒タナゴ”を攻略できるように、いろいろ試せてスキルアップ出来る“道場”が『市原園』だ。初心者からベテランまで楽しめるのでおすすめしたい。