釣りビジョン

2012.3.15号

小見山丸・神奈川県長井新宿港
相模湾・秋谷沖のマルイカ、50mダチでノリ活発!

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相模湾・秋谷沖のマルイカが3月に入り50mダチまで上がって来た。2月上旬までは、80~90mダチ中心だったため、LT(ライトタックル)の手巻きではしんどかったが、この水深なら十分狙える。神奈川県・長井新宿港『小見山丸』のHPで確認すると、竿頭が1日48尾、3日38尾と好調。すぐにでも出掛けたかったが、4日からシケ模様が続き、雨上がりの7日に出掛けた。

平日でも大挙マルイカファンが集結!

港へ向かう途中、道路が濃霧に包まれていた。気温11度、暖かい空気が霧を生んだのだろう。『小見山丸』の船宿に到着、駐車場に車を停め、マルイカと書かれた看板横の釣り座番号札は既に12枚が無くなっていた。まるで週末のような盛況である。小見山梅子大女将は、「ここ数日陽気が悪かったですからね、マルイカを釣りたくて皆さんウズウズしていたんでしょう」と笑う。「今日は、竿頭の常連・小林達也さんが乗っているから教えてもらうといいですよ」。小林さんは、2月から約10回乗船して全て竿頭という強者だ。予約者全員が揃い午前7時前、定刻少し前に河岸払いになった。

賑わう『小見山丸』待合所
船宿外にある看板
受け付け時に番号札を渡す

お勧め仕掛けは、断然“直結”!

マルイカを狙うには、直結、直ブラ、ブランコと3種類の仕掛けがある。その中で小見山俊船長が勧める仕掛けは“直結”だ。直結仕掛けは、枝スが無く幹糸にスッテがついているため取り込みが難しいイメージがあるが、船長は、「マルイカは皆が思っているよりバレにくい」と言う。マルイカの身は柔らかいが、サイズが小さいのが、その理由のようだ。「バレるバレないよりも、まずはアタリが分からなければ釣りになりませんからね。直結はダイレクトにアタリが来ます。少しでもイカを掛ける確率を増やす、その意味では直結に尽きると思います。ノリが渋った時にも直結が効果的ですよ」と、船長。小林さんも最近の傾向としては直ブラに良型が掛かり、直結には小型が多いのだがアタリの取れる数は圧倒的に直結だと言う。この日も12人中で直ブラは2人だけ。残りは直結5cmの5、6本ヅノだった。

直結&直ブラ仕掛け&オモリ
直結仕掛け図
直ブラ仕掛け図

1流し目からヒット連発!

最初に向かった釣り場は秋谷沖。長井新宿港から西へ航程約10分。船に常備の投入器を中央の道具入れから取り出してセット、50号のオモリを握りしめ各人投入の合図を待つ。船が旋回しアスタン(後進)後、7時20分に投入合図。「はい、どうぞ。水深52m」。投入器からシャカシャカと音を立て、スッテが海へ飛び込んでいく。天気予報は晴れだったが、厚い雲が垂れ込めていた。
「南から少しウネリが入って来ていますね、朝の内はちょっと釣りにくいかもしれませんね」(船長)。直結仕掛けの場合は少しのウネリも大敵。取り込み時にバラシの原因になるからだ。釣り場までの移動中、朝の内はあまりノリが良くないと常連さんから聞いていたのだが、この日は違った。1投目から電動リールの巻き上げ音が船中あちらこちらで鳴り響いた。船中第1号は、手巻きのLTタックルを使っていた左舷ミヨシ(船首)の矢島実さん。胴長20cm近い良型マルイカを釣り上げ嬉しそう。「ヤリやスルメは慣れているんだけどね、マルイカはどうも苦手で…。おっ、また来た!」と話しながら2連発。「今日はいいかもしれないね。このノリが続くといいんだけど」と直ブラ仕掛けで再び良型を取り込んだ。気が付けば船中、2尾以上釣り上げた人が8人、1人以外はオデコを脱出。幸先の良いスタートを切った。

なかなかの良型だね♪
う、うまそ~♪
綺麗に赤くなったマルイカ

底から50cm切り、派手な誘いは必要なし

マルイカ釣り場の底質は砂泥交じりの場所が多い。そのため、着底時にオモリが海底に刺さる。刺さったオモリを抜いて約50cm浮かせた状態で待つのが基本。開始から20分、右舷ミヨシから2番目の常連・菅原春雄さんは既に4尾釣り上げていた。菅原さんのタックルは8:2の先調子のマルイカ専用竿。竿先に出た小さなアタリを取りながらスッと頭上まで大きな合わせを入れた竿先を確認すると、クンクンとノリを確認。そのまま、電動レバーを倒し早めの速度で巻き取りを開始した。その好調ぶりを見て船長は、「マルイカを狙うにはやはり先調子がいいですね。胴に乗るタイプの竿だと竿先に明確なアタリが出ないので相当慣れた人でないとアタリを取るのが厳しい」と言う。

釣れるサイズは様々
手返しよく釣る小林さん
出ました、良型!

“抑え”のアタリが分かるかどうかが肝!

9時までの2時間は流し替える度に、誰かにノる状況が続いた。しかし、朝一から数時間同じポイントを攻めているせいか少しずつアタリが遠のいていった。その状況でも一人釣果を伸ばしたのは小林さんだった。流しを替える度に1尾、また1尾と確実に取り込んでいく。コツを聞いてみた。「アタリが無かったら、竿を20~30cm上下させ、フワフワとツノを躍らせて誘いをかけます。あとはイカの触りを見極めるのが重要です。あっ、今触りましたね。分かりました?」。両目の視力1.5の私が見ても、正直ほとんどわからない竿先のアタリ。「う~ん、今は、3mmぐらい抑えましたね。竿先がほんの少し下がった感じですかね。マルイカはアタリが小さい程いい所に掛かっているんですよ。アタリが大きい場合は逃げる動作に入っているんで腕や、切れそうな場所に掛かっている事が多いですね」。小林さんは、「抑え、喰い上げ、振え」の3種類がメインのアタリだと言う。複数のイカが複数のツノに触っている時は竿先がフワフワする大きいアタリになるそうだ。朝の一流し目はまさにそんな状況だったのだろう。

カンナについた墨はマメに取ろう
久々の価値ある1尾!

活性の高い群れを求め亀城根へ移動

10時まで秋谷沖を攻めたが反応が薄くなったため船長は亀城根への移動を決断した。西へ10分程移動して到着。そして反応を探し回る船長。しかし、なかなか投入の合図が出ない。次の合図が出たのは30分後だった。その流しで…と行きたかったのだが、ようやく1、2尾型を見た程度。亀城根では船長が思い描いていたほどの反応は現れず、再び秋谷沖へ反応を見ながら移動した。移動の間、小林さんがせっせとマルイカの“沖干し”を作っていた。マルイカは生で持ち帰るイメージが強かったために思わず「マルイカの沖干しって美味しいんですか?」と聞くと、「“沖干し”は天ぷらにするには最高です。イカはどうしても水気があるため天ぷらや揚げ物にする時に油が跳ねますが、干すとそれがなくなります。更に味も濃くなり美味しくなる。勿論、このまま焼いて七味を混ぜたマヨネーズにつけて食べても絶品ですよ」。

亀城根周り
干したマルイカは絶品♪

マルイカ釣りは7月まで楽しめる

ノリが良くなって来たのは秋谷沖へ移動して1時間程経ってからだった。「久しぶりに乗ったよ」。船中あちらこちらでそんな声が聞こえた。そこではムギイカやヤリイカも姿を見せ、気が付けば沖上りの午後1時50分を迎えた。竿頭は小林さんで26尾。「今日はイカの触りが全体的に少なかったね」と締めくくった。宿に戻ると大女将が漁師料理“姿煮”と“お刺し身”の作り方を教えてくれた。これからはどんどん浅場(20~30m)に入り、より一層ライトな道具で楽しめるマルイカ釣り。5月には最盛期を迎え、オモリも30号と更に軽くなる。今年のマルイカは浅場でも大いに楽しませてくれる事だろう。
※『小見山丸』は予約乗合制。釣行前の予約を忘れずに。

ヤリイカも交じった
ムギイカもヒット!
美味しそうなマルイカ


(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
神奈川県長井新宿港『小見山丸』
〒238-0316 神奈川県横須賀市長井5-30-1
TEL:046-856-2310
詳細情報(釣りビジョン)
小見山丸ホームページ
出船データ
マルイカ船=8,500円(氷付)
午前6時までに集合、午前7時まで揃い次第出船、午後1時50分沖上がり
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