2022年10月18日公開
皆様お久しぶり、釣りビジョンマガジン編集長の横沢鉄平です。先月からちょっとハマり始めた「ウナギ釣り」。釣りそのものも楽しいけれど、ポイント探しも謎解きみたいで中毒性がある。今回は弊誌に釣行記を掲載することを目論んで、荒川水系へと出撃した。果たして釣ることができたのか? エレクトリカルパレードって、ウナギと関係あるのか? そのあたりに疑問を感じたら、ぜひ読むべし。
まずは中川で、気さくな人たちとコミュニケーション
「今年はウナギが絶好調ですよ! 一晩で14匹釣れました」
そんなLINEが、写真付きで送られて来たのは8月の末。送り主はオカムという30年来の釣り仲間で、現在台東区に住んでいる人間だ。14匹のうちキープサイズは4匹だったようだが、すさまじい釣果だ。このメッセージに踊らされて、俺も9月中旬からだいたい2週間に1回のペースで行き始め、今回で3回目。まあまあ、ウナギ釣りにハマりかけているといってよいだろう。最近では、オカムと俺以外の仲間も巻き込んで、ウナギ熱が高まっているのだ。そして今回は、新たなポイントを求めて、東京都葛飾区、江東区、江戸川区の荒川水系を探索した。
まず、朝イチに竿を出したのは中川。ここはコンクリートの土手を越えると、川の両岸に立派な遊歩道が整備されていて、近隣住民の憩いの場となっている。この日は午前6時が満潮で、達人のオカムによると、この季節は潮が上げていく時間帯がいいとのこと。時計を見るとジャスト6時。う~む、完全に出遅れたが、下げの時でも釣れないわけではないだろうと、竿を2本出した。餌は極太のドバミミズ、穂先には鈴をつけて、アタリを待った。葛飾区は早起きの人が多いらしく、遊歩道には意外なほど人通りがあった。ウォーキング、ランニング、犬の散歩、シーバス釣りの人もちらほら。なんと、後向きに歩いている人まで2人ほど見かけた。あれは何かの健康法なのか?
そして、ウナギのアタリがないものの、通行人は結構活性良く食いついてきた。
「あら、お兄さん何釣ってるの?」
だいたい、自分の母親くらいの女性だろうか?
「ウナギです」
「ここ、よく釣りしているけれど、みんな『全然釣れない』といってるわよ」
次はシーバスの人。
「釣れてますか~? シーバスは全然釣れてないですよ」
「ウナギもです」
「今年は中川も荒川も、シーバス全っ然釣れてないですよ。ちなみにウナギも釣れてないって話ですよ」
「え、そうなの?」
通行人とコミュニケーション取るのは好きだけど、なんだか、釣りに関してはネガティブな情報ばかりが入ってくるなあ。
中川から荒川へ移動。そして好スポットをついに発見!
チリンチリン……。
鈴の音だ、アタリか! と一瞬色めきだったが、違った。プレジャーボートの引き波で、ラインが揺れただけだった。
チリンチリン……。
今度こそアタリか? いや違う、夫婦でウォーキングしている人が近くを通っただけだ。結構、皆さん財布やカギに鈴をつけているらしい。
フェイクばかりで本当のアタリが出ない。8時を過ぎるとコイン駐車場の料金が上がるので、早めに見切って中川を後にした。次に向かったのは荒川の下流域に当たる「荒川ロックゲート」付近。旧中川との合流点だ。ここは足場もいいし、釣り人も多い。ただ、釣りをしている人のほとんどがシーバスかハゼ狙いで、俺のウナギレーダーにはあまり反応しなかった。まあ、人生3回目のウナギ釣りなので、根拠のないウナギレーダーだけどね。ここでは竿を出さずに、退散した。
次に行ったのはちょっと上流の平井大橋西詰エリア。ここには、「平井運動公園」があって、時間が限定されているものの、河川敷に駐車場もあるし、足場もよく、非常に釣りがしやすい。電車でもJR平井駅から徒歩10分ほどで堤防に到着する。もちろん釣り人も多かった。リール竿でブッコミ釣りを決め込む紳士に声をかけてみた。
「何が釣れるんですか?」
「何ってことはないけどさ、何か釣れないかなと思ってさ」
別のおじさまに聞いてみると。
「何ってことはないんだよ」
大体みんな、そんな返答。この辺の釣り人はそう答えるのが習わしらしい。
思い切って聞いてみた。
「ウナギとか?」
「そうだね。ウナギも釣れるよ」
ビンゴ! ここしかない! 夕方はここで竿を出そう。実はこの後に別の用事があり、いったんここを離れなければならなかったのだ。潮が動くのも夕方なので、夕方前にはここに戻ることにした。
あくまでも、個人的なタックルと釣り方紹介
いったんここで、ウナギ釣りのタックルと方法を解説しておこう。
●ロッドは2.4~3.6mの投げ竿。穂先はちょっと柔らかめが良く、遠投が必要なら、合わせも考えて長めのほうがいい。柔らかめのシーバスロッドやエギングロッドでも代用は可能だ。
●リールは2500~3000番台のスピニングリール。別にどんなのでもいいと思う。
●ラインは、道糸がPEなら1~2号。フロロやナイロンなら8~14ポンドくらいかな?でも、遠投するならPEのほうが圧倒的に飛ぶし、遠くに投げ込んだら感度も必要。合わせを考えてもPEのほうが有利だ。仕掛けにはヨリモドシに結べばいいので、FGノットなどでリーダーを結ぶ面倒もない。
つまり、ルアーマンならやエギングやシーバスタックルをそのまま流用できるのだ。これもうれしい点。そして仕掛けは15~25号の中通しオモリを太めの糸に通して、あとはハリス付きのウナギバリを結ぶだけ。これにミミズを通し刺しにして出来上がり。たまに房掛けもしたりする。あとは、川に投げ込んでアタリを待つ。仕掛けも、釣り方も非常にシンプルだ。
ついに明かされる、エレクトリカルパレードの正体!
俺が友人の「バドさん」と合流し、平井運動公園に戻ってきたのは午後4時。それまでに、上州屋東陽町店で三脚型の竿受けを購入したりして準備万端だ。エサのミミズはウナギ達人のオカムにもらってきた。潮はまさに上げ潮で、夕方から夜にかけて最高のタイミングに間にあった! ここの駐車場は午後4時半でクローズとなるので、車はあらかじめ近くのコインパーキングに駐車。俺とバドさんは意気揚々と仕掛けをセットして、荒川へと投げ込んだ。周囲を見ると、餌釣りのおっちゃんたちは帰ったけど、シーバス狙いの人は5~6人いる。
「おい鉄平、あの人達シーバス釣ってるのか?えらくでかいルアー投げてるぞ?」
バドさんが、不思議そうな顔をして聞いてきた。
「最近、ビッグベイトやビッグペンシルでシーバス釣るのが流行ってるんだよ」
「知らなかった」
「かつては時代の最先端を走っていたアングラーのバドさん、見る影もないね(笑)」
「いや、時代の最後尾を走るのが楽でいいんだぞ」
そんなどうでもいい会話を楽しみつつ、アタリを待った。
1時間経過
「潮が止まったな」
「アタリないな」
2時間経過してもアタリなし
「暗くなってきたな」
「ここ、ダメなんじゃないか?」
でも今更場所を変えたくはない。ここで、オカムから授かった夜釣り用の秘密兵器を出した。それは、「釣り用の鈴」と「釣り用の発光スティック」、それから「自転車用バルブキャップライト」の3つで、すべてダイソーで購入したものだ。アタリが来たときに、鈴が鳴って、発光スティックが動くのは普通だが、この自転車用バルブキャップライトは、普段消えていて、動いた時だけチカチカと点滅するのだ。本来は自転車のバルブキャップに取り付けて、事故防止に役立てるアイテムらしい。
「これ、面白いな。オカム、天才か?」
「いや、ネットで拾ってきたネタらしいぞ」
そんな、おもちゃみたいなものを穂先につけた竿を、2人で2本づつ並べたら、もうわくわく感が止まらなくなってしまった。
「これ、アタリが来たら、感動するな!」
「4本同時に来たら、エレクトリカルパレードになるぞ!」
しかし、エレクトリカルパレードはなかなか始まらなかった……。
エレクトリックな光が、ウナギのコンタクトを知らせた!
時計の針は8時を回った。これまで、一瞬バルブキャップライトがチカチカっと点滅したことはあったが、ウナギのアタリではなさそうだった。ゴミが引っ掛かって外れたりしたのだろう。巻き上げてチェックしても、餌を食べた痕跡があまりなかった。
「ここ、浅いよな? かなり遠浅だ」
「ポイントまで届いていないのかな?」
「今頃、浦安では本物のエレクトリカルパレードやってるぞ」
2人ともより遠くへと飛ぶように、遠投を心掛けた。そして潮が下げに入り、川の流れが強まってきた。
「おい、今光らなかったか?」
「こっちも光ったような……」
なんと、2本並べた俺の竿に、ついにアタリが出始めたのだ。
でも、すぐに合わせたりはしない。完全に食い込んだと思えてから合わせを加えるのだ。それまでは、断続的なアタリを目と耳で楽しめばいい。毎回光るわけではないが、確かにこのバルブキャップライトが光ると心が躍る!
「いま、両方光ったぞ!」
「エレクトリカルパレードだ!」
「く~、たまらねえな! もっとパチパチ光れ!」
ちなみに2人とも55歳。妻も子供もいる。いろんな部分のキレが悪くなっている。自信を持ってオッサンを名乗れる年齢だ。しかし、心の中は少年のままなのだ(笑)。満を持して、俺は長いほうの竿を持つと、渾身の合わせを加えた! 鈴とバルブキャップライトが、後方にすっ飛んだ。そして、手ごたえがあった
「これは間違いない! ウナギだ!」
すると、ドーナッツのように丸くなったウナギが水面から飛び出てきた。
「うお~、やった!」
「鉄平、これで記事になるのか?」
「記事にするさ!」
ファイト中にウナギのアタマの部分が仕掛けに絡んだらしい。これをほどくのにかなり手間取ったが、なんとかバケツに入れることができた。もちろん記事にする。
「エレクトリカルパレード、最高だったな」
「これ、商品化したら売れるんじゃないか?」
「よ~し、時間延長してウナギ釣るぞ」
しかし、餌のミミズが2匹しか残っていなかった。その後も2人とも何度かアタリが来た。きっと時合いだったのだろう。エレクトリックな気分を堪能して、結局30分ほどで納竿に。バドさんは残念ながら釣れなかったが、ドキドキ感はかなり味わったに違いない。現在、ウナギは、うちのベランダで泥を吐かせている最中だ。結構かわいい。家族からは、かわいそうだからと食べることに反対されている。
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この記事を書いたライター
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