太平丸・千葉県御宿岩和田港
千葉県・御宿沖でヤリイカ好発進!
夫婦揃ってヤリイカ釣り♪
午前4時、多くのサーファーで賑わう御宿海岸横を通り、海の様子を確認。すると、海面は月明かりに照らされてキラキラと輝き、シケ明けとは思えない程の穏やかな表情を取り戻していた。風は少々吹いていたが、一安心して御宿岩和田港へ到着。「太平丸」は港奥の入口から入り、くの字に曲がった先に係留されている。船の真横が駐車スペースだ。車から道具を降ろしていると船長が到着。船に飛び乗り、手際良く貸し道具をセットしていく。「投入器はもちろん、竿受け、竿、電動リールも無料で貸していますよ。でも、クーラーとカッパは持ってきて下さいね(笑)」(船長)。左舷胴の間(中央)には、毎週のように夫婦で船釣りを楽しんでいると言う水上夫妻(貴司さん&裕美さん)、右舷ミヨシ(船首)には常連の飯島昇さんが座った。
“直結”より“ブランコ”の18cmヅノでサバを避ける!
一般的なヤリイカ釣りで使うプラヅノは11cm。ヤリイカは身が柔らかく身切れしやすい事から直結仕掛けよりも遊びがあって身切れし難いブランコ仕掛けを使うのが一般的だ。しかし、現在、外房~南房エリアは“旬”のサバも回遊中。大きいマサバが釣れれば“大当たり”で最高に嬉しいのだが、イカ釣りファンが嫌う小、中サバも釣れてくる可能性も十分ある。船長はその対策としてお勧めしているのが、18cmのブランコ仕掛け。理由は単純明快、11cmのツノと比べ7cmも大きいため、小、中サバは仕掛け落下時に丸飲みする事はほとんど不可能だ。さらに、万が一途中でカンナにサバが掛かってしまった場合でもカンナの強さが、サバの口の強さよりも勝つため1、2尾であれば、そのまま落とせば途中で外れるのだとか。「直結仕掛けでサバを避けようとする人もいるんですが、よっぽど慣れていて上手な人じゃないと海底で乗せる事ができても、取り込みまでにバレてしまう。水深200m付近から直結で船上まで取り込むのは簡単ではありません。また、18cmのツノならサバが掛かっても奥まで飲まれる事が少ないので、簡単に外れるので次の投入もすぐに出来ます。色んな意味で効率が良いんですよ」と船長。
航程約1時間、御宿沖からスタート…しかし!
午前5時、私を含め10人を乗せて河岸払い。竿入れが午前6時と申し合わせにより決められているため、その時間に合わせ御宿沖へ向けて船を走らせる。港出口はウネリも無く、穏やかだった海は沖へ出ると共に表情を変えていった。午前6時、釣り場に到着。キャビンから出ると、約10mの強風で海上は波立っていた。「どうぞ~、水深206m」。船長の合図と同時に150号のオモリが白波の立つ海へと投入されていった。少し遅れて投入に入ったのが、水上裕美さん。なんと座席の上に飛び乗ってオモリをポーンと慣れた手つきで投げたのだ。あまりに珍しい光景にビックリ。本人に聞くと、身長が小さいので高い場所から投げるために釣り座の上から投げているのだとか。思わず“珍百景”に投稿したくなるシーンだった。一方、投入された仕掛けは船下へスルスルと潜り込んでいく。前へ投げたはずなのだが、表層の潮が速いのだ。しかし、着底と同時に巻き上げた人が数人。“本命”ではなかったが、スルメイカのトリプル、ダブル、シングルと約半数が“イカの型”を見た。しかし、船長から1投を終えてすぐにアナウンス。「西へ動きますからね。横は波が被るから後ろかキャビンに入っていて下さいね」。移動の理由を聞くと、表層の潮が速くここでは釣りにならないとの事。1投目直後、仲間の船からヤリイカが上がったとの情報もキャッチしたためすぐに移動を決断したようだ。
航程1時間の大移動後、ヤリイカの群れが待っていた♪
ナギなら恐らく30分程で到着する距離なのに、風と波に船が大きく揺れ、小1時間もかかってしまった。そこには既に10隻以上の船団が見えた。「よし、ここならいいですね。はい、どうぞ、水深192m」(船長)。1投目とは違い、道糸は真っ直ぐ下へ降りていく。「私は昨日から泊まっているんですが、大船長に教えてもらいながら初めてヤリイカ仕掛けを作ったんです。これで釣れるか楽しみでね」と話しながら飯島さんは、絡みの少ない中通し竿で着底後1m刻みに誘いをかけていく。すると、竿先にフッと重量感。「波と風でよく分からないけど、何か居そうですね」と飯島さんは笑顔で巻き始めた。その時「こっちでも乗ったよ」と船長から左舷でも釣れたと声が掛かった。カメラを持って待機していると海面にはパラソル級のヤリイカが見えた。1、2、3尾掛け♪「やったね!自分で作った仕掛けで釣れるとやっぱり嬉しいね」と飯島さんは満面の笑み。左舷側に行くと、水上夫妻が揃ってヤリイカ&スルメイカを取り込んでいた。2人共幸先良く“本命”のヤリイカを手にした。この流しで、左舷大ドモ(船尾)でもパラソル級、飯島さんは連発でダブルと釣果を伸ばした。
“二枚潮”に大苦戦!小移動で潮温は約4度も上昇!
海の魚(イカも含む)は淡水魚と違い、潮温の急激な変化に非常に弱い。1度変化しただけでさっきまで釣れていたイカが急に乗らなくなる事も良くある話だ。この日は、ポイントを数百m移動しただけで、約4度潮温が変化した。船長曰く、原因は黒潮だと言う。黒潮が近くまで差してきてしまうと、岸近くの冷たい潮に入ってきた暖かい潮がぶつかり、このような現象が起きるのだそうだ。船長は無線で他船と連携を取り、黒潮の影響が出ていない潮温14度台の場所で反応を探す。「17度台まで上がってしまった場所は表層が黒潮の影響を受け1.5ノットも流れてしまっています。底潮は全然流れていないため完全に“二枚潮”ですね。さっきの場所はまだ影響を受けてなかったんですね」。時合の終わったポイントを後に必死に釣れる場所を探す船長。“二枚潮”だとオマツリする可能性は必然的に高くなり、ツノと道糸が擦れて海底で乗ったイカが巻き上げ途中でのバラシも増える。そこで、船長は作戦を変更した。“1流し1投作戦”だ。
今後はどんどん浅場へ移動♪取材日だけが悪かった!?
「はい、入れて~、上げて」。まるで深場のキンメ釣りを連想させる程の“1流し1投作戦”だったが、これが状況を打開した。オマツリの数は一気に減り、スルメ交じりながらヤリが姿を見せ始めた。更に、沖上がりの午前11時前には大ドモでゲストのアラも登場し釣果に花を添えた。
竿頭は、1尾ずつ確実に数を伸ばした飯島さんでヤリ11尾&スルメ4尾。取材当日の状況は厳しかったが、9日には46~112尾の“爆釣”も記録されている。陽気が安定すれば釣果も伸び、4月には100mを切る水深でも狙えるようになるはずで、今シーズンは間違いなく“アタリ年”!?
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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千葉県御宿岩和田港『太平丸』 〒299-5105 千葉県夷隅郡御宿町岩和田954-1 TEL:0470-68-2900 詳細情報(釣りビジョン) 太平丸ホームページ |
出船データ |
(料金)ヤリイカ船=10,500円(氷付) 午前4時集合、4時半出船、11時前沖上がり |