釣りビジョン

2013.5.15号

岡重丸・茨城県那珂湊港
茨城県・那珂湊沖でヤリイカ好調!ラストスパート!

04_main.jpg
5月に入り、ヤリイカシーズンもいよいよ大詰め。昨年も5月に水深70m前後の浅場で束釣り(100尾超え)が連発した那珂湊港『岡重丸』で、4日まで竿頭10尾前後だった釣果が一変。5日102尾、6日137尾と竿頭は束釣りが続いた。「いよいよ“パラソル”級大型の大群が浅場へと入って来た」とばかりに10日、那珂湊へ出掛けた。

浅場で釣れるのが那珂湊沖の一番の魅力!

通常、日中のヤリイカ釣りは水深200m前後を狙う場合が多い。海底近くを中心に回遊するヤリイカは、中層を回遊するスルメイカと違い“アタリ”が小さい。そのため、水深が深い釣り場では初心者にはアタリを取るのが難しくなる。しかし、この時期の那珂湊沖のヤリイカは水深70m前後と浅場で釣れ、時には水深40mなどと言う浅場を狙う事もある。水深が浅くなれば当然、“アタリ”も取りやすくなる。更に、この時期は“パラソル”級の大型が中心となるため1尾乗っただけでもかなりの重量感を味わえるのだ。水深が浅い分、手返しも早くなり、更にオマツリも減る。那珂湊沖には多くの魅力的な好条件が揃っていると言うわけだ。

仕掛け図
「岡重丸」は19tの大型船
左:勉さん 右:重光船長

釣り場まで航程約1時間、途中にはワラサのナブラ!

午前5時前、那珂湊港に到着。震災後、1年以上そのままだった魚市場前の岸壁は綺麗に修繕され、大震災の爪痕はすっかり無くなっていた。船の目の前に車を停めてビックリ。両舷ミヨシ(船首)から大ドモ(船尾)まで10人ずつが準備万端、“戦闘態勢”で待っているではないか。すると、岡田重光船長が到着。「今日はイカ釣りの定員20人満船です」と船長。あまりの人気振りに船長も朝から笑顔が絶えない。
前日の釣果は竿頭81尾、船上にはズラリとヤリイカの干物が並んだのだとか。隙あらば、取材の合間に竿を出そうと思っていたが、泣く泣く諦めた。
午前5時半前、予定より早めに河岸払い。那珂湊港を出た船は南東へ舳先を向けた。すると、海面ではザワザワ何かが騒ぎ、あちらこちらに“鳥山”が出来ている。正体はワラサ。船長曰く、ベイトのイワシを追ってもの凄い数の5kg級のワラサが入って来ているのだとか。

綺麗になった魚市場前岸壁
常連さん自作の投入器
仕掛けの中に1本は浮きスッテを入れよう!

2流し目から“パラソル級”が4尾、5尾の多点掛け!

午前7時前、入念に魚探反応を見極めていた船長から投入合図が出た。「はい、どうぞ。水深78m!」。魚群探知機には海底から10mまで反応が出ている。しかし、その流しは誰にも“アタリ”はなく、すぐに船が流し直されて投入合図。すると、右舷トモの2人が着底してすぐに巻き始めた。「1尾、2尾…あっ、1尾逃げちゃった」と言いながらも5尾の“パラソル級”を取り込み、左隣の人も同じく“パラソル級”のダブル。すると、今度はその隣の胴の間(中央)でヒット。今度はトリプルだ。その後、数回の流し替えで、20人中“本命”の顔が見られていないのは1人だけとなった。好スタート!と思ったが、上乗りの岡田勉さん(船長の弟)は「今日は今いちですね、昨日はもっと朝からバンバン乗っていましたよ」と言う。午前8時40分まで流し直す度に船中10尾以上順調に釣れ続いていたのだが、南でもっと活性の高い群れがあるとの情報が入り、約20分の移動となった。

ファーストヒットは5点掛け!
こちらはトリプル!
胴の間でもトリプル!

オスが主体で全てパラソル級!
4点掛け!
5点掛け!

プラヅノは11cm、浮きスッテは必ず入れよう!

那珂湊沖のヤリイカ釣りは、プラヅノ11cmシングルカンナのブランコ仕掛けが主流。ツノ数は慣れた人なら10本以上、初心者は5本ヅノ中1本だけ浮きスッテが入っている物がお勧めだ。ツノ数が7、8本以上の場合は本数に応じて浮きスッテの数を2本、3本と増やしていっても良いだろう。この日、常連さん達は口を揃えて、「今日は浮きスッテにばっかり乗って来るね」と言っていた。乗りが悪い時には、特にスッテが良いアクセントになっているようだ。基本的な誘い方は無く、意外に自由。着底後、同じ場所でツノを上下に躍らせる人もいれば、落とし込みで狙う人もいる。上乗りの勉さんは「条件の良い日ならば、置き竿でも勝手に乗ってきますからこれといった難しい誘い方は要らないんです」と笑顔で教えてくれた。

表層の赤はイワシの反応、底層の赤はヤリイカの反応
浮きスッテにヒット!
こちらも浮きスッテに来た1尾

群れの足が速く苦戦!

「群れの足が速いんですよね。反応は15mくらい高くてまぁまぁのが出ているんですが、オモリが着底した頃には消えてしまうんですよ」と船長。一緒に魚探を見ていると、合図の前には出ていた赤い反応が瞬く間に消えていく。そんな中、左舷胴の間で一際元気な声が聞こえた。「来たヨー!」。声の主はヤリイカ釣り2回目だが、1回目の釣行では竿を出す事なく船酔いしてしまったと言っていた小林大介さんだ。不慣れな手つきではあるが、“パラソル級”を1尾取り込んだ。「よし、これで2尾目」。一方、隣の同僚はバケツに10尾近くが泳いでいる。それを目標に気合いを入れて頑張っているようだ。しかし、その気合いをよそに“本命”のアタリは遠のいていった。

後半は1尾ずつの拾い釣りだった
干したヤリイカも絶品!
身の厚さはまだまだ健在!

ヤリイカ狙いは5月末まで!爆釣のチャンスは残り2週間!

午後0時20分、大移動をして群れを探し回った船長も諦め、残念ながら沖上りとなった。「今日は、動き回っちゃったからね、朝一にやっていたポイントで粘っていれば竿頭50尾は取れたでしょうね」と船長は肩を落とした。この日は竿頭16尾と厳しい釣果ではあったが、翌日には悪天候にも関わらず竿頭61尾と完全復活。船長の予想では、現在の水深は70m台が中心だが、今後は50m台が中心になるとの事。「少なくとも5月一杯は大丈夫」と船長。釣り期は残り2週間、ヤリイカ“爆釣”の可能性は十分だ!

足1本!
4点掛け!
氷は最後に船長から貰おう

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
茨城県那珂湊『岡重丸』
〒311-1201
茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦町54-12
TEL:029-265-7313
詳細情報(釣りビジョン)
岡重丸ホームページ
出船データ
ヤリイカ船=1万2000円(氷付)
午前5時までに集合、揃い次第出船、正午~午後1時沖上がり
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー