2023年03月30日公開
“桜の咲く頃”の期間限定のマルタ釣りを楽しんで来た。場所は東京・清瀬市を流れる柳瀬川。柳瀬川は赤羽、浅草を流れ、お台場に注ぐ隅田川の上流域。源流は狭山丘陵と武蔵野の湧水。河口から上流までダムや大きな堰堤が無く都内を流れる川とは思えない程自然が息づいているエリアだ。東京湾から隅田川、新河岸川を通って柳瀬川近辺まで昇ったマルタは、この周辺で産卵して東京湾へと戻って行く。
シーズンは“桜開花の期間”
産卵のための遡上期間だけ狙える釣りで、例年桜の開花から散るまでの約1ヵ月間。清瀬市近辺が産卵エリアで遡上魚が溜まって群れが見える。今回の釣り場は、『清瀬金山緑地公園』から下流1.2kmの城前橋の区間で遊歩道に桜並木、カワセミが飛び交う都心近くとは思えない風景の所、花見の名所でもあり、花見しながらの釣りが楽しめる。
マルタの他にも狙える魚は色々いる
桜の季節のマルタが一段落すると、オイカワ(ヤマベ)、カワムツ、コイ、ナマズ、ニゴイもシーズインし、活発に餌を追い始める。5月には東京湾から遡上してきた天然アユの煌めきも見える。アユ解禁は6月1日、天然魚の為、大きさにバラつきはあるが11月初旬まで楽しめる。アユの釣り方はシーズン初期の場合オキアミ粉末をコマセにビーズ付きハリで喰わせる“オランダ釣り”が主流で、遡上の多い年は数十匹の釣果も期待出来る。今流行りの“アユイング”発祥の地の一つでもあり、盛期にはそのファンも多く見かける。
釣り方は色々!
遡上したマルタは餌を追わないので、“リアクションバイト”で噛みつかせる釣り方になる、過去には大きな錨バリで引っ掛ける釣り方もあったが、食べても美味しくない魚でもあり、現在は楽しめる釣り方で100%リリース。ルアー、フライ、延べ竿いずれの釣り方でもリリース前提のバーブレスフックで、早めのキャッチ&リリース出来る釣り方がいい。
フライなら8~12番の沈みの早いウエットフライ、エッグ系。ティペットはフロロ1号以上ないと時間がかかるので太めがお勧め。ルアーはリーダー6LB、バイブ、ミノー、スプーンなど。群れのマルタは積極的には追わないので、見える魚の群れの上流にフライやルアーを入れて小刻みなアクションを加えて噛みつかせるサイトフィッシングが効果的。ルアーの場合は70%がスレ掛かり、フライでも50%が頭近辺のファールフックになる。遡上のサケ釣りに近い釣り方だ。コツはマルタの口のある層にフライ、ルアーを流すこと川底から2~5cm程度上がったタナをキープするバランスを意識すること。
アタリから取り込み
フライの場合はクロスストリームで底をトレースしアタリがあったらすぐに軽く合わせる。食い気のある魚も数%いるが、殆どが一瞬噛みつくだけなので喰い込みは無いが、1kg近い魚もいるので引きはダイナミックでフロロ1号では少々やり取りが必要だが、早めにキャチしてリリースしたい。
【動画】桜の季節、産卵のために柳瀬川を遡上してきたマルタの群れ
入漁料など
『埼玉県南部漁業協同組合』管轄エリア(主に荒川水系の下流域)の入漁券、全魚種対象の年券で4500円。
都内の川釣り
隅田川水系の新河岸川、柳瀬川、黒目川などには、ほぼ全域にマルタやアユが遡上する。高度成長期には“ドブ川”と呼ばれた上記の川は地域の行政、住民、かかわる人々の努力で海からも魚が遡上する清らかな素晴らしい環境になりつつある。都民として誇らしくも思える川である。