2023年04月27日公開
福岡県の代表的な渓流といえば、県南部の矢部川やその支流・星野川になるが、北部の京築(けいちく)地区にもヤマメの釣れる川がある。いくつかの川には放流も行われており、地元の釣り人が楽しんでいる。しかし、何処も小さな川なのでアッという間に魚はいなくなってしまう。そのうえ藪に覆われていて、フライフィッシングにはちょっと辛いが、その京築の川にぶらりと出掛けてみた。福岡県の遊漁券は県内共通。思い立てばいつでも出掛けられる。
近場の瀬、どんなフライにヤマメが来てくれるのか?
川見をしながら上流へと向かう。一休みした駐車場から清浄の瀬を見ていると、パシャッ!と跳ねたような気がした。ウグイかヤマメか、幻か。これは確かめなければならない。そそくさと着替えて瀬に降り立った。
様々な羽虫が飛んでいる。取り敢えずこの時期のパイロットフライCDCダン16番を結んで放ってみた。ロッドは7ft6inの3番。それに5Xのリーダー、その先に6Xティペットを矢引き(約75cm)分。どんな小さな川でもロッドはこれ以上短くはしない。ラインがロッドに乗るグーンという感覚が味わえるのは、この長さがギリギリだと思っているからだ。
いずれにしろ初めての川なので、スタンダードなタックルで臨むことにした。案の定藪に仕掛けを取られて難儀する。「これも私の釣りの内」と仕掛けを結び直していると、目の前でパシャッ!が起きた。跳ねが鋭い。小さいがきっとヤマメだ。
ライズを発見、いざ!
すぐに跳ねた魚の少し上にそっとフライから落ちるように放る。流す筋が違うのか何も起きない。また放る。と、パシャッ!と来た。パシッと合わせた。「掛かった」と思ったらハリス切れをやらかしてしまった。いつものことだが、リーダーとティペットの結び目のティペット側から切れるのである。固唾を呑んでフライの行方を見守るので、つい肩が固まってしまうのだ。そうだ、杉坂研治氏の動画から、サージェンズノットのティペットを二重にして結ぶのを学んでいた(※1)ので、それで繋いでみた。するとそれ以後切れることはなかった。
※1)パワーノット動画:『釣りビジョンVOD』The Knot 杉坂研治~パワーノット~
待望の1匹!3匹目の後はコーヒーブレイク
魚はいくらか残っている。イソイソと放る。またパシャッ!があって今度は掛けることが出来た。ちょっと小さいけれど文句はない。
さて次、次と放る。時々パシャッ!でもやっぱり“古希ジイ”は、小さくて鋭いパシャッ!には合わせることが出来ない。なかには、フライの横を空喰いするのもいる。でも、面白い、楽しい。そして2匹目が来た、続いて3匹目も来た。久し振りの超絶経験に全身が熱を帯びてきたので一休み。コンロで湯を沸かしてコーヒーを淹れる
餌釣りでもせいぜい釣れて5、6匹だと聞いていたが、“古希ジイ”はもうフライで3匹も掛けている。「ダハハ、オレってすごくねえ」と、年甲斐もなく浮かれ始める。
同じ瀬にアプローチを変えて再度臨む!
他に行くあてもなし。同じ瀬をまた釣り上ることにした。恐らく魚は出ないだろうが、もう1度初めての瀬を楽しみたかった。
まず、ハリを替える。「胃袋のカゲロウに合わせて」というより、オールラウンドなエルクヘアカディス16番を結ぶ。CDCダンを喰って来ていたので、ダンにも見えそうな何でも来いのエルクヘアカディスなのである。そして、辿る岸辺を右岸から左岸に変える。これはアユ釣りで同じ瀬を2度釣る時のセオリーの応用だ。そんな工夫が効いたのか、もう1匹掛けることが出来た。ルーキー“古希ジイ”がフライで4匹。ウホウホ!!軽く弾んで止まらない。暫くヤマメの顔を見ていなかったし、初めての京築なので嬉しさは一入だ。その高揚した気分が失せぬうちにサッと竿をたたんで、川縁の温泉に浸かって帰ることにした。すっかりのぼせたまんまの凱旋。文句なしの“釣り日和”だった。
施設等情報
施設等関連情報
※祓川の伊良原ダム上流には手打ちそばや、みやこ町産ジビエ「みやこ肉」料理を楽しむことが出来る農家レストランがあるようだ。またウォ―キングやサイクリングをファミリーで楽しむことが出来る。
岩岳川漁協が管轄する岩岳川、佐井川へは豊前インターから約20分。
※岩岳川上流には温泉施設やキャンプ場もある。ここもファミリーで楽しむことが出来る河川である。