第一進丸・千葉県飯岡港
LTで狙え!千葉県・飯岡沖の大型ヒラメ
潮が流れず、厳しいスタート
平日だというのに、釣り人は私を含めて14人、常連さんが多いようだ。『第一進丸』の人気の高さと、飯岡沖のヒラメ釣りの好調さが伺える。釣り座は左舷ミヨシの2番目。片舷7人ずつだが、船が大きいため、余裕のスペースだ。 午前5時30分、笑顔の女将さんに見送られ、伊藤隆徳船長の操船で出船。航程約30分で釣り場の飯岡沖へ到着。まだ夜明け前の海は真っ暗だったが、風は弱く、波も穏やかだ。「前日より状況が厳しくなり、潮が流れないので食いが悪いはず。慌てず十分に餌を喰わせることを忘れないように!」と船長からのアナウンス。間もなく「はい、どうぞ。オモリは両側60号、ライトは40号か50号で!」と投入の合図。また、「オモリを引きずらず、竿をあおらないよう海底をコツンコツンと」等のアドバイスもアナウンスされた。船中最初の1匹を撮影しようとデッキで待機していたが、中々アタリが無いので、私も竿を出した。
厳しい状況の序盤戦、1匹目のヒラメをキャッチ!
竿は2.2mの6:4調子、小型電動リールにPEライン1.2号。ハリス5号70cm、ステ糸3号50cmの標準的な仕掛けに、まずはオモリ50号をセットして投入。水深は10m前後と浅い。微風で潮の流れも弱いため、道糸はほぼ真っ直ぐに立っていた。この状況ならオマツリや船底に道糸が擦れる心配はないので、オモリを40号に変更。LTヒラメは2回目だが、40号のオモリを使うのは初めてだ。オモリを10号軽くしただけで、感度が大きく変わったことに驚く。竿の穂先に余裕ができて、餌のイワシの動きがより大きく出るようになった。 午前7時30分を過ぎ、やっと船中最初の1匹を右舷ミヨシ(船首)の常連さんが釣り上げた。その数分後、私の竿にも待望のアタリ。十分に喰い込ませてから合わせを入れ、船中2匹目のヒラメ(45cm)をキャッチした。ヒラメ釣りは最初の1匹を釣ると、気が楽になる。それまでは海底近辺を中心にタナを取っていたが、大型のヒラメをターゲットに、海底から1mの範囲でタナを探った。 その後の約1時間、船中で3匹のヒラメが上がったが、アタリが少なく、序盤の釣りは厳しい状況が続いた。船長は「潮が流れず、イワシが沈んでしまうので、ハリスを少し短くするように」と、アドバイスを何度かアナウンスしていた。
ピンポイント攻撃で状況が好転
中盤戦に入った午前9時前、船中が慌ただしくなってきた。僅か30分くらいの間に、船中で60cm前後の良型を含むヒラメがバタバタと4匹取り込まれた。船の流し方もそれまでとは違い、仕掛けの投入から回収までの時間が短く、まるでイカ釣り船のようだ。船長はスラスターで船の位置を細かく調整し、ピンポイントを攻めている。この戦略が功を奏し、その後も船中でポツリポツリと良型のヒラメが上がった。さすが“型に拘る”『第一進丸』を目の当たりにした。
幸運でキャッチした“大板”に笑う
最初の1匹の後、私の竿にアタリは全く無かった。船長にハリスの長さについて相談すると、「ステ糸とハリスを同じ長さにすると良い」とのアドバイス。さっそくハリスを20cm詰めて50cmにした。2匹目のヒラメを諦めかけた午前11時頃、同行のスタッフに竿を託し、船中の釣果を見に釣り座を離れると、「アタっているよ」との呼び声。釣り座に戻り、竿を受け取ると、ヒラメがイワシを咥えている違和感があった。少し聞き上げるように竿を立て、暫く“本アタリ”を待つと“プンッ”という感触と共にヒラメの気配が消えた。「放した」と思わず口から出てしまった。すかさず2m以上浮いていた仕掛けを海底まで落とし、タナを少し切って再度ヒラメのアタリを待った。数秒後、今度はいきなりひったくるような“本アタリ”。すぐに合わせを入れてリールを巻くと、明らかに大物の引き。魚が上を向いているようなので、下を向かせないよう、一気にリールを巻いた。意外と簡単に上がってきた魚だったが、水深が浅かったせいか、海面下1mくらいで大暴れ。ウネウネと動き、バックしようとしているヒラメが見えた。タモを持った船長に「浮かべなくては駄目だ!」と叱咤されるが、緩めに設定していたドラグが滑り、なかなか魚をコントロールできない。やっとの思いでタモに入ったヒラメを取り出すと、ハリスがヒラメの歯でプッツリと切れてしまった。船長が差し出してくれた握手で、初めて足下のヒラメが4kg以上の“大板”であることに気付き、切れたハリスとヒラメを眺め、ケタケタと笑った。たまたま釣り座を離れていた事、ヒラメが再度イワシにバイトした事、大ヒラメが自分の餌を選んでくれた事や、ハリスが途中で切れなかった事など様々な偶然が妙におかしかった。LTでキャッチした大ヒラメ、嬉しかったことは当然だが、一生忘れない思い出となるだろう。
厳しい状況でも50cm超えが10匹以上!
その後、数匹のヒラメが船中で取り込まれ、最後を締め括ったのは左舷ミヨシの常連さん。沖上り直前に61cmの良型ヒラメをキャッチした。
竿頭は右舷トモの吉岡将之さん(市川市)、LTで5匹(54cm 1匹、52cm 2匹を含む)。次頭は右舷ミヨシの常連さん、LTで4匹。左舷ミヨシの常連さんは61cmと59cmの良型を2匹、左舷トモの常連さんも62cmの良型ヒラメを釣り上げた。
私の釣果は68cmと45cmの2匹。この68cm(4kg)が船中で最大サイズのヒラメとなった。
船中で取り込まれたヒラメの総数は18匹だったが、平均して型が良く、50cm超えの良型が10匹以上。しかも、どのヒラメも肉厚だった。前日よりも釣果は落ちてしまったが、潮が流れない厳しい状況でも良型を揃えた船長の状況判断は流石である。
これからも大型ヒラメが期待できる飯岡沖
飯岡沖のヒラメは、今期も好調。『第一進丸』では、取材前日に70cm(4.2kg)を含む60cm超えが船中21匹、取材翌日にも最大3.2kgで2~7匹(竿頭7匹、次頭6匹が4人)と、驚くような釣果が出ている。 ヒラメ釣りは、これから海水温が下がり、数釣りは難しくなるが、大型が期待できるシーズンに入る。“数より型狙い”に拘る『第一進丸』で“大板”を狙ってみては如何だろう。
『第一進丸』が推奨するタックルバランス
伊藤船長は外房でも早くからライトタックルを推奨しており、船宿には船長推奨のタックルが幾つか展示されている。取材当日も、LTは私を含めて5人(14人中)、常連さんにも定着している。
その名が示す通り、軽量のタックルバランスはゲーム性が高く、感度の向上からより繊細な釣りが可能となる。今回の釣行でも、ヒラメがイワシを咥えている違和感や、イワシを放した瞬間の変化が明確に竿に現れた。もし、これがノーマルタックルだったら、これらの変化を見逃していたかもしれない。 ラインシステムについて船長の推奨は、道糸のPEラインは2号を基準に、リーダーは3m以上でミチイトの3倍までの号数(ミチイト2号の場合6号まで)。船上でのメンテナンスを考慮すべきとの事。確かに、根掛かり等でPEラインが高切れすると、リーダーを巻き直すロスタイムは大きい。今では強度の高いPEラインやフロロカーボンラインがメーカーから発売されているので、ハリスの強度に対してバランスの良いリーダーやPEラインを選ぶことをお勧めしたい。 海水温低下が進むこれからの“寒ビラメ”シーズン。LTは活性の低いヒラメのショートバイト対策として、一枚の切り札になるはずだ。
(釣りビジョンAPC・野中 篤)
今回利用した釣り船 |
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千葉県飯岡港『第一進丸』 〒289-2706 千葉県旭市下永井689 TEL:0479-57-6668 詳細情報(釣りビジョン) 第一進丸ホームページ |
出船データ |
ヒラメ予約乗合船 11,500円(エサ・氷付) 集合時間:午前4時30分 出船時間:午前5時00分 沖上がり:正午(もしくは餌が無くなり次第) |