2023年07月08日公開
清流の小物釣りを愛好するフライフィッシャーマンが、こぞってやってくるエリアが埼玉県飯能市を流れる入間川にある。入間市境に近い『阿須運動公園』一帯だ。公園駐車場が河川に面しており釣り人にも開放されている。広い釣り場はポイントだらけで、ヒットしてくるオイカワ(ヤマベ)は良型揃い。梅雨の晴れ間、オイカワフリークたちを惹きつけてやまないその釣り場で毛バリ竿を出した。
清流の釣り場に面した『阿須運動公園』は超お薦め!
『阿須運動公園』は阿須地区の入間川右岸河川敷約19haに、飯能市が開設した都市公園だ。入間川の清流が眼前に流れるこの公園には、上流側からサッカー場、ソフトボール場、テニスコートといった運動施設があり、遊具が置かれた広場も併設されているので、シーズンを問わずスポーツ愛好家や家族連れで賑わっている。一般に、都市部河川への釣行時では駐車場所探しに難儀することが少なくない。しかし、この公園の駐車場は、入間川で魚釣りをする人たちにも開放されているのが嬉しい。この公園を管理する『NPO法人・飯能市スポーツ協会』によると、「自転車を積んできた車を公園駐車場に置き、そこからサイクリングに向かうサイクリストもいますよ」とのこと。因みに、駐車場に面したトイレも使用できるが、ウェーダーのソールに付着した汚れをきれいに落としてから使用するのがマナーだ。
キラキラボディの毛バリがオイカワの食い気を誘う
6月中旬。婚姻色に身を染めた雄のオイカワをターゲットに『阿須運動公園』駐車場から釣り場へ降りた。公園前の入間川は平瀬、落ち込み、淵などで構成され、河原は開けて川幅も広い。オイカワはどこでも釣れるが、この日は釣り上がる計画で、下流、入間市境付近から実釣を開始した。
タックルは3mの竿に3.6mのテーパーライン、その先に0.6号のハリスを約1m。毛バリは、最近のオイカワ釣りに出番が多いシルバーのティンセルをボディに巻き、薄茶のハックルを薄く巻いたカーブドロングシャンク16番のウェットフライ。この毛バリは、ラインを張って水面でチョンチョンと誘ったり、ウェットフライのようにダウンクロスで流してもいい働きをしてくれる。私のお気に入りキラキラパターンだ。
消波ブロックが設置された右岸からトロ瀬にキラキラ毛バリをキャスト。流れは数日来の降雨で増水気味だが濁りはない。数投目でオイカワの反応があったが、小型なのだろうかフッキングしない。その後、連続して反応するものの、やはりハリ掛りに至らない。瀬尻近くに移動してキャスト。沈んだ毛バリが表層近くに浮上してきたところでククン!と待望のヒット。12、13cmの雄。毛バリへの出方が渋い時、中層から表層付近をダウンクロスで探ると好転するケースが少なくない。
魚影抜群の流れ橋下流。今回のテーマを達成!
左岸側に移り、上流、流れ橋のすぐ下手へとポイントを移動する。この橋は『阿須運動公園』前の入間川両岸をつなぐ歩行者専用の小さな橋。9基ある橋脚に、木製の橋桁が架けられているだけの簡素な橋だ。河川が出水すると橋桁は流され、水が引いてきたら橋脚とつながっているワイヤーを引っ張り上げて橋桁を回収し、橋脚にセットすれば復旧する仕組みだ。過去の台風で、勢いを増した水流に押されてワイヤーが切断、市境を超えて入間市まで橋桁が流されたこともあったと聞く。
さて、この橋の上・下流もポイントだが、どちらかというと魚影の濃さは下流側に軍配が上がる。橋の下流は、緩やかなとろ場から落ち込みへと変化する場所だ。活性が高く、特に夕マヅメなどの時間帯は至るところでライズリングが発生するが、この日は散発的だった。そこで、「婚姻色をまとった雄のオイカワを釣る」という今回の釣行のテーマに添って、良型が付いていると思われる落ち込み手前の瀬尻を中心に狙うことにした。
流れの緩い瀬脇でコツコツとアタリがあるが、小型。毛バリをトレースするラインを沖へ、沖へと移していくと、何投目かでゴツン!と強い衝撃がきた。ラインが下流に伸び切っているので、手元に伝わるアタリは小魚とはいえ、流速と相まって力強い。上手く向こう合わせでフッキングしたオイカワは13cm前後と、悪くないサイズだ。婚姻色は薄いが今日の目的は達成である。
因みに、『阿須運動公園』対岸の河川敷には『岩沢運動公園』がある。その公園に近接して天然酵母パンやスイーツを扱うベーカリーカフェが操業していて、この日も寄る予定でいたのだが休業日だった。川風を受けながら、入間川の釣り場が見渡せるテラス席で絶品のパフェ(年齢に似合わず)を注文したかったのだが残念。店舗紹介は次の機会に譲ることにして、今回はここまで。今シーズンも良い釣りを!