新明丸・神奈川県鶴見
東京湾のショウサイフグ、白子のシーズン!
引っ掛け釣りと思ったら大間違い!
東京湾のフグ釣りは、基本的に“カットウ釣り”である。オモリ脇に付けた餌を食いに来たフグをイカリバリで引っ掛ける釣り方である。 「な~んだ、引っ掛け釣りかよ」という御仁には、まともな釣果は期待出来まい。その昔(ざっと25年前)、初めて『新明丸』に乗った時、船の頭が30尾近く釣っていたのに見事に1尾も釣れなかったのを思い出した。そう、小生も「引っ掛け釣りかよ」と思っていたクチだったのだ。その後、足繁く通って、まともに釣れるようになるまで5、6回は通ったと記憶している。 「そんなに強く大きく合わせたんじゃ、餌(エビ)がいくらあっても足りなくなるよ」。隣のベテラン氏に窘められて、その頃、教えてくれた『新明丸』の先代のアドバイスを思い出した。 「引っ掛けるつもりではなく、餌を食わせる感覚で…」。言葉は思い出したもののその感触が蘇らない。何しろ、その後、チャンスがなく、その時以来のフグ釣りなのだから、ドッ素人と変わらない。
初獲物は、何とギマ
間もなく、船のあちらこちらでポツリポツリながら良型のショウサイフグが釣れ出した。アドバイスをくれたベテラン氏も2尾、3尾と20~22、23cm級を釣り上げた。 暫くすると、竿先に小さなアタリを感じ、20cm程竿先を上げて合わせると、確かな手応えで何かが掛かった。しかし、遠い記憶にあるフグの引き込みとは違った。釣れて来たのは何とギマ。 この魚、以前は東京湾ではほとんど見かけなかったが、10数年前頃から頻繁に姿が見られるようになり、最近では相当数いるようだ。図鑑によれば千葉県以南、西太平洋の熱帯地域までが生息範囲とのことで、東京湾にいてもおかしくはないのだが…。続いてのアタリでもギマが釣れ、船中でも10尾を超える数が釣り上げられた。
超高級魚、トラフグ登場!!
最初は、水深15mラインを狙っていた林一成船長は、船を浅場に移動させた。 舳先からイカリが入れられ、エンジンが切られると、晴天、無風の海上は静寂に包まれ、実にいい気持ちだ。 「トラだよ。大事に取って!」。そんな静寂を打ち破るように船長の大声が船上に響いた。右舷大ドモ(船尾)の釣り人の竿が大きく曲がり、差し出された玉網に収まったのは、紛れもなくトラフグだった。30cmを軽く超える良型で全員から羨望の眼差しが向けられたのは言うまでもない。 今シーズンは、トラフグが多く、週に何尾も釣れることも珍しくはないそうだ。しかし、こちらはトラフグどころかショウサイフグすら釣れていないのだ。ギマの連チャンの後、“らしいアタリ”と強烈な手応えで、フグと確信して上げてみると、釣れて来たのは30cmを超える大きなアジ。丸々と太って実に美味そうなアジだったが、心底ガッカリした。
待望のショウサイフグ!
少々焦りが募ってきた午後1時過ぎ、船が水深12、13mラインに移動した直後にそれまでとは違った感触のアタリ。すかさず合わせると、グングンと引き込む独特な手応え。紛れもなく、その昔味わった手応えだった。慎重に抜き上げたショウサイフグは、丸々と太った25cm級のまずまずサイズだった。
18~27尾の好成績も
待望のフグが釣れ、ホッとしたが、この日はお世辞にもいいと言える状況ではなかった。「今シーズンの最悪日!」(ベテラン氏)と言う程、全般にアタリがなく、とくに午後からは、忘れた頃に1尾、また1尾といった釣れ方だった。 結局、この日の成績は18~36cmのショウサイフグ(トラフグ1尾=35cm)0~8尾だったが、17日には18~27尾という好成績も記録されている。釣り場の範囲も非常に広く、何処でもポツリポツリ釣れたことを思うと、魚影も決して薄くはないはずだ。また暫く通ってみたくなった久し振りのフグ釣りだった。
素人調理はご法度
なお、言うまでもなく、ショウサイフグは毒魚である。素人調理はご法度だ。処理師免許を持った船長に必ず捌いてもらうこと。
(野口 哲雄)
今回利用した釣り船 |
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神奈川県 横浜 鶴見港『新明丸』 〒230-0051 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央5-13-24 TEL:045-501-2081(定休日:毎週木曜日) 詳細情報(釣りビジョン) 新明丸ホームページ |
出船データ |
(船宿)鶴見『新明丸』=045-501-2081 (料金)フグ船=餌別8,000円 (餌のエビは500~1000円。午前8時出船、午後3時沖上がり) |