釣りビジョン

2010.8.15号

福田丸・千葉県外川港
千葉県・外房、銚子外川沖“夏ビラメ”本格スタート!

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“夏ビラメ”と言えば千葉県・銚子外川沖の風物詩。その魅力は何と言ってもヒラメの活性が高く、数・型ともに狙えることだ。また、“ゲスト”も実に多彩なのもいい。さらにこの時期、海は比較的穏やかで外房特有のシケも少なく船酔いの心配が少ない事も加えると、初心者の入門や中級者のレベルアップにも最適なシーズンと言えよう。昨年は8月13日が“Xデー”だった。その日から竿頭は連日ふた桁釣果を記録し続けた。来たるべき“Xデー”を狙って8月9日に銚子外川港『福田丸』に予約を入れた。

『福田丸』の“夏ビラメ”

気配は上々!

午前4時過ぎ、船着場に着き福田稔船長に状況を聞いた。「昨日は3.1kgを頭にトップが5枚。この間はあんまりアタリが多いんで我慢出来なくて置き竿を出しておいたら1流しで5枚釣れた。それも全部2kg以上の良型ばかり。その日はあまり慣れていないお客さんが多かったんだけどトップで8枚、スソ(最低)でも3枚でしたね」。
どうやらヒラメはしかるべき“夏ポイント”に集まっている様子。多少のムラはあるものの既に“Xデー”は秒読み段階。いつ始まってもおかしくない状況、この日も期待出来そうである。右舷大ドモ(船尾)に座り、午前5時前、12人が乗り込んで出船となった。

外川港の夜明け
大型快速船『第21福田丸』
いつもパリっとワイシャツで
決めている福田稔船長と女将さん

船長のアドバイスが釣果の鍵を握る

港を出ると福田船長は、ゆっくりと真沖に船を進めて行く。その間、最近の傾向と基本的な釣り方について説明があった。「ここ数日、ベタ底のタナは不利な様です。少し底を切ってタナを上げている人にアタリが出てますね。捨て糸の長さにもよりますが、オモリを引きずるくらいベタ底だと根掛かりしますから気を付けてください。大体オモリを50~60cm底から切るイメージでやって下さい。場合によっては3m持ち上げて大型を狙う人もいます。ハリスの長さは70cm以下にしてください。それ以上長いと根掛かりやオマツリにも繋がりますから」。一見、強面の福田船長から丁寧なアナウンス。それが終わる頃、最初のポイントに到着した。

夏の外房はこんなにベタ凪
1.6kg肉厚の食べ頃サイズ
マトウダイも美味しいおい土産

外川前の近場は不発

水深およそ25m。外川港から目と鼻の先のポイントでスタート。餌の活きイワシは12、13cm程の小ぶりで食い込みも良さそうだ。「はい、どうぞ、やって下さい」。1流し目、しばらく様子をみていたが船中の誰にもアタリがない。「そろそろいい所に船が入っているんだけど…アタリは出ないですか?」と船長。もう1度同じポイントを流し変えてみるがアタリはない。「あれぇ?潮があんまり良くないぞ。昨日と全然違う」。潮温が下がったのか…流れがないのか…船長が首を傾げる。外川港の前でいくつかのポイントを探っていると、中型のマトウダイが掛かってきた。これを見て船長は真沖に船を走らせた。

いよいよ“夏ビラメ”スタート

午前7時。屏風ヶ浦は雲に隠れ全く見えなくなった。ちょうど青空と曇り空の境目にいるのだろうか。遠くの海面には黒く低い雨雲が垂れ下がっていた。「はい、どうぞ、水深は40mです」。ここで私も仕掛けを下ろしてみた。朝の船長のアドバイス通り、タナを50~60cm切って置き竿にした途端にアタリが来た。竿を手に取り2度、3度引き込みを待ち、じっくりと喰わせてから静かに聞き合わせると乗った!この間、おそらく15~20秒。

特大ホウボウ

“ヒラメ40”より早い食い込みが“夏ビラメ”の特徴でもある。無事にタモに収まったヒラメは600g級の食べ頃サイズ。意外と肉厚で十分刺し身になる。
この1枚を合図にアタリが連発して船中は急に忙しくなり始めた。右舷、左舷を問わずアタリが続き1kg級のヒラメがバタバタと取り込まれて行く。中にはヒラメ釣りどころか、船釣りが初めてという貸し道具の釣り人もコンビニのカッパを羽織りながら大型のホウボウ交じりで楽しそうに釣っていた。この人、操舵室の横に席をとり、船長から細かいアドバイスを受けていた。初心者が釣ろうと思ったら、船長に教わるのが一番手っ取り早い。こちらは「右の前で上がったよ。今度は左で…」と釣り人達から声が掛かり、カメラを片手に船中を走り回る忙しさになった。

ヒラメ釣り初挑戦で
嬉しい1kgオーバー
ベテランさんも
こちらも立派な1kgオーバー

マハタ、2kgオーバーのホウボウも!

「さあ、皆さん。竿先に集中して下さいよ」。船長は細かくポイントを探って行く。その度にヒラメの他にもマハタや2kgオーバーのホウボウなども上がり、船上は朝の沈黙が嘘のように活気付いてきた。
ひと通り船中の獲物を撮影し、自分の席に戻ってみると、根掛かりかと思うほど軟調竿が胴から曲がり竿先が突っ込んでいた。「しまった。置き竿でほったらかし過ぎた」と反省しながら道糸を手繰ってみると海面に浮かんだのは1kg級の立派なヒラメ。やはり船長の言う通り、少しタナを切っておいたのが正解だったようだ。

12人中、オデコは1人だけ

『福田丸』オリジナル仕掛け
しかし、そんなお祭り騒ぎも2時間程で終息。その後は忘れた頃に誰かにアタる-と言った釣れ方が納竿まで続いた。
出船後、船長が呟いた「潮があんまり良くないぞ…」といった状況だったのが全て。しかし、そんな状況でも12人中オデコは1人だけだった。その人、初めての釣り人で茨城・大洗方面で使う90cmと長いハリスを使っていた。これは“横流し釣りスタイル”の時に使われる長さで、根回りを探っていく『福田丸』の“夏ビラメ”(“寒ビラメ”狙いでは“横流し釣りスタイル”も行う)には、向いてはいない。初めてということで、船長のアドバイスも耳に入らなかったのだろう。
この日の状況を見る限り、いつ“Xデー”が訪れてもいい感じ。当分、釣果欄から目が離せない。

“Xデー”は秒読み段階!

取材日は、思わぬ苦戦を強いられたが、翌10日には2kg級を頭にトップ6枚。翌々日には1.8kg級を頭にトップが8枚、2番手が6枚という好成績。“夏ビラメ”本番と言っても差し支えないだろう。『福田丸』では、年内一杯はヒラメに出船する予定で、夏から秋、秋から冬へとその時期ごとにヒラメを追い続ける。少々気は早いが、12月には正月用のヒラメも大人気である。

(津端 雄大)

ヒラメのお造り

今回利用した釣り船
千葉県外川港 『福田丸』
〒288-0014 千葉県銚子市外川町1-10829
TEL:0479-22-5741(定休日:4月~11月の毎月第4木曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
福田丸ホームページ
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