釣りビジョン

2010.8.15号

つちそう丸・静岡県網代港
猛暑の夏にピッタリ、半夜釣りのムツ開幕!

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今年の夏はとにかく暑い!「釣りには行きたいが、この猛暑ではちょっと…」と二の足を踏んでいる人も多いはず。そんな釣り人にうってつけなのが、静岡県・網代港『つちそう丸』の“半夜釣りのムツ”。引き味よし、食味よし、そして“ゲスト”も多彩な面白い釣りである。

暑さも和らぐ午後5時集合

8月7日(土)午後5時。港へ到着すると既に先着の車が5台停まっていた。東京・足立区から約2時間で網代港まで到着した。多少の渋滞はあったが、以前のような熱海や網代付近の観光客で“下道”が渋滞することは少なくなった。土屋旬(つちやひとし)若船長と土屋通(つちやとおる)大船長が、氷を持って登場。「席の順番を言いますので準備して下さいね~」。『つちそう丸』では、船長がグループごとに釣りを楽しんでもらえるように釣り座を決める。“夏休み渋滞”の多いこの時期、前もって港へ着いての席取りの必要がないのはありがたい。

出船を待つ釣り人達
餌はサンマの切り身

サバの猛攻の中で良型アジがヒット

5時30分、定刻に河岸払い。総勢13人を乗せて出船。最初のポイントは航程40分程の網代沖、水深70~100mのカケ上がり。釣り場に着いた頃には、辺りはすっかり暗くなり、伊豆半島の山々が美しく夕焼けに染まっていた。「はい、いいですよ。底から1~2m切って誘って下さいね」と、大船長からアナウンス。
一斉に仕掛けが投入された。「まだ、この時間帯はムツの食いがイマイチなんだよね。もう30分程すると活性が上ってくると思うよ」と、常連のベテラン氏。その言葉通り、最初の30分程はサバが多かった。しかし、そのサバの中に時折35cm級のアジが交ってくる。

乗船名簿は船上で出船前に記入しよう
紅色に染まった山々
船中第1号の良型のアジ

釣れたサバが餌に早変わり

ムツ釣りの餌はサンマの切り身か、サバの切り身の塩漬け。餌代は乗船料に含まれているため船長が用意しておいてくれる。しかし、鮮度のよいサバは餌としては一級品。常連さんは、移動の間に自分で捌いて切り身を作る。船にはまな板が用意されているが、ミニ包丁は各自で準備しておこう。

ミニ包丁とマナ板。これで餌を作れる
時にはこんな大型のサバも顔を見せる
常連さんは新鮮なサバと塩漬けサンマの2種類を用意

魚探に“今季一番”の反応!

1流し目、2流し目はサバばかりだったが、3流し目、「トモ(船尾)寄りで上ったよ!」との大船長の一声で船中、一気に活気づく。右舷のトモから3番目の釣り人が船中1号のムツを釣り上げた。すると、今度は左舷胴の間でヒット。「この反応は、今期一番の反応かも。ムツは時合に一気に釣れるから、頑張って!」と、大船長もヒートアップ。
すぐに右舷ミヨシ(船主)、その後ろと立て続けに竿が曲がった。ムツ特有の鋭い突っ込みで上ってきたのは30cm近い良型だった。今度は、右舷大ドモでヒット。船ベリから1尾抜き上げると、「おっ、もう1尾いるね~」と満足気な表情でダブルを達成。

船中第1号やりました!
2人でなかよくヒットしたよ~
やったね!ダブル!

1投目、2投目と立て続けにヒット

取材もひと通り終えたので、私も若船長に教わりながら仕掛けを入れた。今回は船宿のレンタルタックル一式(無料)を借りた。「着底したら、すぐに1~2m上げて、後はゆっくりと上まで誘ってあげればいいよ」と若船長。
指示通り、120号のオモリを投入。着底後、1m巻き上げ、ゆ~っくりと誘いをかけた。すると、ググン、グン!明らかにアタリだ。こんなに簡単に釣れるの!?と半信半疑で上げてくると紛れもないムツだった。そして気をよくしてもう1投。着底して1m切り、誘い上げるとガガガッ!今度はオモリのテンションが一瞬なくなった。食い上げだ。すぐに巻き上げ開始。巻いている最中もいい引きを見せて上がって来たのは先程より少しだけ大きいムツだった。

1投目にきたクロムツ
鋭い歯には注意しよう

“スミヤキ”の入れ食いに手を焼く

3投目をしようと思ったところで、ポイント移動。「食いが落ちたから、少し走りますよ~」と大船長からアナウンス。20分程で初島沖の水深60m付近へ移動した。ここでもすぐにいい魚探反応が出た。船長の合図とともに、仕掛けを投入すると、着底と同時に鋭い突っ込み。「これは“スミヤキ”かな~」と若船長。ほぼ全員の竿が曲がった。
私の竿に来た魚はバレてしまったが、周りでは次々と黒くて長い魚体の“スミヤキ”が上がる。タチウオを黒くしたイメージのこの魚、和名・クロシビカマス。歯が鋭いため、ハリスを切られることも多く、嫌われ者の“ゲスト”だが、食味は決して悪くない。右舷ミヨシでも「着底した途端、スミヤキにオモリもってかれちゃったよ。これで2度目だよ」と嘆き節。大船長、たまらず移動を決断した。

スミヤキも焼き魚で食べると非常に美味しい
ダブルでスミヤキゲット
魚探にもいい反応がでている

タナの上げすぎには注意!

ムツは船長の指示で、底から7~8mラインを釣ることが稀にある。そのような時はムツの活性が上がっている時。普段船長が特に細かいタナを言わない時には、逆にタナを上げすぎると、スミヤキやサバが釣れる確率が上がってしまう。この日も3m以上タナを上げるとスミヤキが掛かることが多く、ムツも一番下バリに掛かってくることが多かった。「3本バリのどこに掛かったかで誘うタナを換えるともっと釣れるようになるから色々試してみて-」と若船長。

痛恨のハリス切れで納竿

流しをかえた後、再び投入。午後10時半。沖上がりが11時なのでラストの流しになるだろうと気合いが入る。コン…コンコン!あたっているが、なかなか乗らない。そして、ゴゴン、ゴン!ついに乗った。巻き始めて30m程のところでフワッと軽くなった。バレてしまったのだ。仕掛けを上げてみると一番下のハリが切れていた。「たぶん、スミヤキかムツだね。ムツも鋭い歯をしてるから仕掛けが劣化していくと切れちゃうこともあるんだよね」と若船長。この日、私は3時間程の釣りでムツ6尾とスミヤキ3尾だった。

自動膨張のライフジャケットも無料で貸し出している
仕掛け図

これからがシーズン本番!いい日は40尾も!

この日の竿頭は、12尾を釣り上げた常連の石田忠夫さん。半夜釣りのムツはこれからが本番。例年9月、10月にピークを迎え、11、12月になると小型化し、深場に落ちて終盤を迎える。ムツというと深場の電動リールでないと釣れないイメージがあるが、半夜釣りなら水深が浅いため手巻きの貸し竿でも十分楽しめる。ムツは刺し身、焼き魚、煮付けと何にしてもおいしい魚だ。
※ムツとクロムツ=以前は、1種類の魚とされていたが、現在では、魚体が黒く、最大1m近くに育つものをクロムツ。体色がやや茶色がかっていて最大でも50cm前後にしかならないものをムツと区別している。網代沖で釣れるものは大半がムツ。

これだけ型が揃えばいいオカズになる
アジ・スミヤキ・サバ・ムツ種類も多様

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
静岡県網代港 『つちそう丸』
〒413-0103 静岡県熱海市網代43
TEL:0557-68-2469
詳細情報(釣りビジョン)
つちそう丸ホームページ
出船データ
予約乗合
港に午後5時集合・午後5時30分出船
午後11時~11時30分沖上がり
料金:13,000円(餌・氷付・貸し竿無料・キーパー備え付け)
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