番匠高宮丸・静岡県下田須崎港
新島沖の“旨キンメ”、抱卵シーズンへ突入!
“釣りガール”が乗船
6月10日午前3時、港に到着。静寂に包まれた港内にエンジン音が響く。明かりの灯った船が岸壁に横付けされ、私を含め7人が乗り込んだ。中に一人若い女性。船長の話では、最近流行の“釣りガール”で“のりたま”の名のブロガーとか。初心者“のりたま”さんと私の2人は竿、リール、仕掛け、鉄筋棒のオールレンタルタックル。残りの5人はマイタックルでの釣りとなった。
240~300mの浅場からスタート
午前3時30分の定刻に河岸払い。釣り場までは航程小1時間。第一投は申し合わせにより午前4時20分(季節により変動)と決められているため、それまで出来るだけ良い魚探反応を探す。「今日はナギだし船が多いよー」。船長の言葉通り海上はベタナギ。最初のポイントには船団ができていた。午前4時30分、「はい、いいよー」。投入の合図。最初のポイントは水深250m、浅場で数を狙う。薄明るくなった海面にミヨシ(船首)から仕掛けが入っていく。
一投目から3人がヒット
「潮が速いからね、前の人の仕掛けが半分落ちたら投入して下さい」。潮速は2.3ノット、かなりの速さである。着底したらクラッチを絞り、道糸がソロソロと出ていくように調整する。すると、大ドモ(船尾)に座った平塚市の内田隆司さん、2番目の“のりたま”さんの竿先にクンクンと連続ヒット。そして、胴の間(中央)の人の竿にはガツガツブルブルと強烈なアタリ。キンメにしては元気のよい引きが竿先に伝わった。浅場の250mラインでは竿先に初心者でもわかる明確なアタリがくる。浅場でのキンメ釣りはそこも魅力のうちの一つだ。「はい、後ろからあげて下さい」。大ドモが巻き上げを開始したらミヨシまで全員が道糸を送るのをストップし、後ろから順々に巻き上げを開始した。すると、大ドモから歓声が上がった。「やったー!3尾掛け~!」。“のりたま”さんの歓声に船中が和む。続けとばかりに大ドモの内田さんも3尾掛け。胴の間では良型の丸々太ったサバが鈴なりに上がり、その下には1kg級の美しいお腹の白いキンメが3尾。幸先の良いスタートを切った。
潮の緩んだ時がチャンス!
この調子で2流し目も期待したが、ミヨシから2番目でパンダメバルが1尾上がっただけ。二枚潮で「上潮と下潮が逆だ」と船長。気をとり直して、3投目。少しずつ潮も緩んできた。しかし、大ドモから2番目の“のりたま”さんに1尾本命が上がるにとどまった。「いやーまいっちゃったね。でも、潮がだんだん緩んで来ているから次はいいと思うよ」(船長)。そして再び流しをかえた水深330mで4回目の投入合図。着底し、420mまで道糸を送ったところで胴の間でヒット。「アタリがあったら糸を送ってあげてね」。船長もこの流しが勝負と気合いが入る。すると、大ドモの内田さん、“のりたま”さんの竿に再びアタリ。ゆっくりと上げてくる内田さんの竿に注目すると、キンメが1、2、3いずれも1kg超え、一番下には1kg級のユメカサゴの4点掛け。そして、“のりたま”さん、ミヨシでもそれぞれ2尾ずつ1kg級が上がった。420mの深場へ移動後2kg級浮上
移動すること30分、深場のポイントへ到着。水深は420m、潮が緩んだとは言え、600m以上糸が出てしまった。底からの巻き上げ開始は電動リールの「速度1」でスタート、500mを切ったら「速度2」へと上げた。「今シーズンは、例年よりも1カ月海が遅れている感じがしますね。産卵期に入りつつありますけど、深場で3~4kgの良型がでるのはこれからが本番です」と船長。すると、右舷ミヨシでグン、グン、グン。リズムを刻むように大きく竿先が動いた。良型のキンメか!?と期待が膨らむ。カメラを構えて水面まであがるのを待つが、残り50mを切ったところで、竿先が大きくしなった。「あー!こりゃエチオピア(シマガツオ)だ」とミヨシの常連さん。海面に上がったのは深海釣り定番のゲスト、50cm近いエチオピア。しかし、その最中に胴の間で2kg弱のキンメも上がり移動となった。
オモリは水の中に待機で不安解消
ここで潮も緩んできたため私も竿を出した。今回でキンメ釣りは2回目。課題はスムーズな投入だ。「オモリを船べりからストンと落とすとその勢いで掛け枠ごと引っ掛かって落ちたりトラブルの元。そのトラブルを解消するためには、オモリを海面下に少し入れて最初の落下スピードを落とす。それがひとつのポイントです」と船長。それを素直に実行、3回の投入を無事にトラブルなく成功した。結果は3投で1kg級を2尾。落とす動作を少しでもゆっくりと少ない動きで行うように心がけるのがポイントと悟った。貸し竿の、“のりたま”さんが堂々の竿頭
時合が到来したのは午前11時頃の6投目。右舷ミヨシで4尾、2番目の釣り人は途中で仕掛けが切れてしまったが、私が1尾、“のりたま”さんが3尾釣り上げた。7投目、8投目は船中3尾ずつ上がり、そのまま納竿の時間を迎えた。気が付けば、コンスタントに釣り上げたオールレンタルタックルの“のりたま”さんが12尾を釣って堂々の竿頭。
煮つけ、しゃぶしゃぶ、湯引き全て絶品!
この日は、平塚駅前の居酒屋『運勘根』(うんかんこん)の内田隆司さんが同乗。“旨キンメ”の料理方法を特別にお教えいただいた。釣り上げた“旨キンメ”のお腹には白子、卵ともに確認ができた。産卵期の一番旨い時期、新島沖の“旨キンメ”、狙うなら今だ!
※この記事がアップされる当日の6月15日、船長から連絡が入り、再度キンメ釣りに挑戦した“のりたま”さんが3.5kgの大型キンメダイをキャッチ。 好機に恵まれれば初心者でも大型をゲットできる。(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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静岡県下田須崎港『番匠高宮丸』 〒415-0014 静岡県下田市須崎491 TEL:0558-22-0725 詳細情報(釣りビジョン) 番匠高宮丸ホームページ |
出船データ |
釣り物:キンメダイ 午前3時集合3時30分出船13時沖上がり 料金:28000円~(オールレンタルセット・餌・仕掛け・氷付) 25000円(20本バリ仕掛け×8セット付) 23000円(15本バリ&20本バリ仕掛け×8セット付) |