2022年03月07日公開
ここ数年、鹿児島県・吹上浜ではサーフの“寒ブリ”釣りが注目を浴び、サーフファンのアングラーで賑わっている。今年は特に好調とのことで、シーズン終盤の大型を狙って出掛けた。
ポイントはイワシが集まるブレイクライン
吹上浜は鳥取砂丘、遠州灘砂丘と並ぶ日本三大砂丘に指定されている。鹿児島県の薩摩半島西岸に位置し、北のいちき串木野市から南さつま市まで47km続く日本一長い砂丘だ。概して遠浅の海岸が多いのだが、その中でベイトのイワシが集まるブレイクライン(カケ上がり)が“寒ブリ”のポイントだ。アングラーはこの延々と続く砂浜で、こまめに移動を繰り返しながらポイントを探っていく。
ポイント選びのコツは、カタクチイワシが打ち上げられている波打ち際を見つけることだ。条件が合えば目の前で突然“ナブラ”が起きる。そこを目掛けてルアーを打ち込めば一撃でブリが喰ってくる。“ナブラ”とは大型の魚に追われて小魚が逃げ惑い、海面がざわつくことだ。アングラーはここぞと思う場所を決めて、その“ナブラ”をひたすら待つか、足で稼いで“ナブラ”を探し、“ナブラ”が起きれば猛ダッシュで近づいてキャストする。
“寒ブリ”フィーバーでどこのポイントも混雑
海が荒れて濁りが入るとベイトが接岸しない。そこで今回は天候の変化を想定し、状況を見ながら2日にわたっての釣行となった。
初日、時合をねらって訪れた吹上浜は風もなく、海はとても穏やかで条件は整っている。しかし、連日の“寒ブリ”フィーバーが話題となっているようで、最初に目指したポイントは、アングラーが押し寄せていて車を停める場所がない。仕方なしに次の候補地に向かったが、ここも駐車スペースがない。仕方なく最有力のポイントを諦めて、3番目のポイントに入ったところ、逆にこれがよかった。波打ち際にはかなりの数のベイトが打ち上がっている。“チャンス”を感じながら急いで準備をする。用意したタックルは、ショアジギング用ロッド10ftのMHクラスにスピニングリールの4000番、ラインはPE1.2号、リーダー35lb。ルアーはシンキングペンシル95。
キャストを始めて間もなく、横に200m程離れた波打ち際で“ナブラ”発生! しかもその規模がデカイ。そこに入って釣っていたアングラーが掛けるが、遠くからでもその引きの強さが分かる程のロッドの曲がりだ。ところが、暫くやり取りしていたもののバレてしまった。程なくして、こちらの目の前でも“ナブラ”が起きた。慌ててキャストしたのだが、こちらはほんの一瞬で終わってしまい、残念ながらブリは喰わなかった。時合も過ぎたので、この日は早めに終え、2日目に備えることとした。
サーフのブリは強烈!想像以上のファイトに驚愕
2日目、風が強く海は荒れ模様。内心、「今日はないな」と思いつつも、せっかく来たのだから何投かして帰ろうと思ったその時、隣のアングラーが良型のブリを釣り上げた。波が高く“ナブラ”は確認できなかったのだが、私の近くでは立て続けにブリが掛かって一気に賑やかになった。一旦、収まったので、次の“ナブラ”を待つことにしたのだが、その時は意外に早く訪れた。サラシの様に白くなった波の中に、時折高い波ができ、太陽光で照らされ透けて見える時がある。
その中に無数の黒い影が見えた。ブリの群れだ!すかさずルアーを打ち込むと一発で喰った! 引きが強い! サーフでブリを掛けたのは初めてだが、その引きはオフショアのジギングで釣るブリの比ではない。引き波の抵抗も相まってかなりラインを出された。隣のアングラーが「メーター超えかもしれません」。この一言でさらに気持ちが高揚する。後ろに下がったり、前進して素早くラインを巻いたりして、ようやく5m位まで寄せたところで魚体が見えた。「やった!」と勝利を確信したその時……。目の前まで来てまさかのラインブレイク。だが、なぜか満足だった。次への課題を残したところで納竿とした。