2023年03月08日公開
イカ釣りや“青物”釣りで有名な長崎県・平戸島には、白い砂浜にエメラルドグリーンの透けるような青い海が広がっている。そこには冬を感じさせない南国の風が吹いていた。南北に32kmの大きな島は島全体が釣りスポット。九州でも屈指の魚影を誇り、「釣りの聖地」とも言われる島にはどんなロマンが待っているのだろうか?
春風吹く平戸島は南国!楽園!
先ずは、初めての釣り場を訪れた時の恒例、釣り具屋さんチェック。平戸大橋を渡り1、2分のところにある『まるきん平戸店』へ。先日、糸島店を訪れた時にエギコーナーの大きさに驚いたが、こちらもイカ釣りコーナーが大きい!そして、“青物”を狙う大きなルアーなどが豊富に揃えられていた。その土地の釣り具店を訪れ、商品を見ると今何が釣れ、何が旬なのかがよく分かる。
「釣りの聖地」とも言われる平戸島。1度は竿を出してみたいと願っていた。下調べをしてみたが、この大きな島には数え切れないほどの釣りポイントがある。
そこで『まるきん』さんでお勧めポイントを聞くことに。「今はブリやヒラマサ、イカなどが釣れている」とのこと。「な、なんと!」私の期待は膨らむばかりだ。
『まるきん』さんから10分程走ったところにある近場のポイントをいくつか教えて頂いた。島の南側と北側では、また雰囲気の違ったポイントが点在しているそうだ。今回は島南側にあるポイントへ!道中車窓には椰子の木と白い砂浜が広がっていた。そこはまるで南国!
平戸の海が「湧いた!」。多分ブリ?
迷いながらも何とかポイントに到着。それにしてもポイントが広い!どこでやろうかとウロウロしていると、何やらルアーを遠投するカップルが見えたので、気になり早速おばさんは声を掛けに行き、ご挨拶(笑)。
するとお兄さんが突然!「10分前凄かったんですよ!海が湧いて!」と。「湧いた?何が?」。聞くと多分ブリであろうと。「え~ここでブリ?」。何と大型の“青物”のナブラが凄かったと言う。100m程右から左へと大きなナブラが移動したとのこと。そして、彼女の方がHITさせたのだが、もう少しのところでバラしてしまったと言う。こんなに穏やかで静かな海で、ちょっと前にそんなドラマがあったとは…。私にはとても想像が出来ないことだった。
続けて話を聞くと、このポイントはよく“青物”が釣れ、イカなどもよいとのこと。こんな話を聞いてしまったら、ここでやらずにどこでやる!「隣でやらせてもらってよいですか?」と声を掛け、釣りを始めることにした。この判断が後に今日一日を実に楽しい時間にしてくれた。
楽しい釣りのスタート
初めての釣行場所と言うのは本当にワクワクする。アジング、エギングの用意ばかりしてきた私達には、もしもの為のルアー2つとシーバスロッドしかなかった。それを見ていたお兄さんは「それで全然大丈夫ですよ」。何とも心強いお言葉。とてもフレンドリーな2人のお陰でとても楽しい釣りのスタートとなった。
足元にはイワシにアジと多くのベイトが見えた。お兄さんによると「“青物”が近づくとこの足元のベイトがざわつき、いなくなる」という。正直足元の大きなアジも気になったが、今日は“青物”に集中!みんなでルアーを投げながら海が湧くのを待つことにした。
そんな待ちの時間に2人の今までの釣りの話を聞かせて貰った。いつ、どこで何が釣れるのかなど地元ならではの様々な話は、この2人に出会えなければ、知る事ができなかった事ばかりだった。夏にはこのポイントで彼女の身長程のシイラが釣れた事もあったとのことで、写真も見せて貰ったが、これが「デカイ。とにかくデカイ!」。改めて平戸島の凄さを思い知らされた。
海が湧くことなく時間が過ぎていく…。しかし、この釣れぬ時間さえも楽しいと感じさせてくれるのは、この美しい海と2人のお陰だった。
「ここにもいたぞ」。アオリイカの集団発見!
通常、“青物”が現れるとイカ釣りは厳しいものになる。なので今日はイカ釣りの事は考えていなかった。しかし、周りを見渡せばエギングをやっている人もちらほら。休憩も兼ねて釣り人に声を掛けながら、広いポイントを歩いてみる事にした。海を覗くとどこもかしこもベイトだらけ。この海の豊かさを感じる。
暫く歩くとイワシ、アジ以外の魚も見え隠れするようになった。そんな中、何やら壁際に黒い魚体が…。よ~くよ~く目を凝らして見ればイカ~!アオリが10杯程目視できるではないか。はい!ダッシュです。エギング装備を取りに車に戻る私であった。
今日も昨日爆釣した小さめの2.0号のエギをチョイス!群れの奥にキャストして、エギを寄せてくると何と奥からも5杯のアオリがエギを追いかけてくるではないか!あまりのアオリの多さにどうしてよいか分からなくなった。すると活性の高い2杯のアオリが勢いよくエギに近づいた。大きく触手を広げエギにガッツリ抱きついた!「あ~たまらん!」。またしてもデイゲーム、サイトでアオリGETである!
「釣りの聖地」は、大きな夢を見せてくれた!
まだまだアオリはいたが、何やら「キター!」の声が遠くで聞こえる。急いで戻ると、小さいながら海が湧いた!お兄さん、ルアーをナブラへ。相方も投げる。くう~、ナブラは一瞬で終わってしまった。だがあれは大きな“青物”には間違いない!
この後、日暮れまでに一瞬のナブラが何度か出たものの、海が大きく湧くことはなかった。しかしながら、平戸の海は今日一日どれだけ私達をドキドキさせてくれた事だろう。「釣りの聖地」は、釣り人に大きな夢を見せてくれるロマン溢れる場所だった。大物を仕留める事はできなかったが、届かぬ大物に思いを馳せてルアーを投げ続けた時間、新たな釣り友との出会いは、何物にも代え難い最高の釣り時間となった。これこそが楽しい釣り!なのではないだろうか?
帰りの車窓に流れる美しいフィールドに沈む陽は、大物を仕留められなかった私の心を穏やかなものにしてくれた。