2023年04月28日公開
身近にいる最も大きな魚と言えばコイ。我が多摩川にも、大きなコイが悠々と泳ぐ。そう、今回のターゲットはコイ。ただし、釣り方は吸い込みでもブッコミでもなく、最近流行のヨーロピアンスタイルでもない。食パンをエサにした『パンコイ』だ。この手軽だけど奥の深い釣りで多摩川のコイと遊んでみよう!【NO 多摩川 NO LIFE】は、少年時代から多摩川を愛してやまないライター「宮崎紀幸」の不定期連載企画です。
最も身近なビッグフィッシュを手軽に狙う!
はじめてパンでコイを釣ったのは、十代の頃。場所はやはり多摩川、二子玉川周辺だった。買ってからまだあまり曲げられていないバスロッドを思いきりブチ曲げてくれる身近なターゲットとして『パンコイ』に親しんだ。匂いの強烈な練りエサを仕込む必要もなければ、ルアーもいらない。ロッドとリールのほかに必要なのはワームフックと食パンだけ。このシンプルな道具立てが、この釣りの魅力。そして釣れるコイはおおむね50cm以上。こんなに手軽に狙えるビッグフィッシュはほかにいない。時間はあれど、遠出するお金のない当時の僕は、多摩川のパンコイで釣り欲を満たしていた。あれから30数年、たまにではあるものの、今でもこのパンコイで釣り欲を満たしてもらっています(笑)。
流れの緩い浅いエリアが好ポイント
パンコイに適したポイントは『流れが緩い場所』であること。そして釣りやすいのは水深1m以下の『浅場』だ。川のポイントで言えば、特に有望なのは【消波ブロック沿い】【合流部】【ワンド】【ゴミ下】【浅いトロ場】など。この釣りは遠投する釣りではないので、自分の立ち位置から、このようなコイの着き場や回遊ルートがある場所を探してみよう。
その場所にコイが見えれば、かなり有望だが、近くにコイが見えなくてもチャンスはある。なぜなら、この釣りは『ポイントを育てる釣り』でもあるからだ。むしろ、このポイントを育てるプロセスがパンコイの醍醐味でもある。
エサの食パンを用意。そしてチャミング(撒き餌)でコイを寄せる
パンコイの釣りで、エサとなるのは食パン。少し前に流行った高級食パンである必要はない。コンビニやスーパーで買える普通の食パンがベストだ。その昔は、フワフワで浮力の高いヤマザキのダブルソフトが僕のパンコイの定番だったが、最近ではもっちり感が高くエサ持ちのいいPascoの超熟がお気に入り。でも、正直なところ、食パンならどれでもいいです(笑)。
食パンを入手したら、まず耳と白身をハサミで切り分け、それぞれを約2cm角にカットする。基本的にハリにセットして使うのは耳の部分で、白身の部分はチャミング(撒き餌)用となる。耳の部分をエサに使うのは、よく焼かれた耳の部分のほうがハリをホールドしやすくエサ持ちがいいからだ。
さて、パンのカットが終わったら、目星をつけたポイントに仕掛けを投入……の前に、白身のほうのパンを撒いてコイを寄せる。近くにコイがいれば、すぐに水面のパンをチュボチュボと捕食し始めるが、すぐ近くにコイがいない場合は、寄せるのに20~30分かかることもある。ポテンシャルのあるポイントなら、流下したパンを下流で捕食するコイが現れ、次第にパンを求めて上流へと泳ぎ寄ってくる。さあ、チャンス到来。仕掛けを投入するのはココからだ!
仕掛けはノーシンカーかフロートリグがオススメ
射程内にコイが集まってきたら、いよいよ仕掛けの投入。実際にコイを釣りあげるには、どんな仕掛けを使うのか?最もオススメでお手軽なのはラインにフックを結んだだけの、いわゆるノーシンカーだ。マスバリと呼ばれるバス用のフックにエサとなるパンを刺しただけのシンプルな仕掛けだ。この仕掛けはコイにプレッシャーを与えにくく、ナチュラルにパンを流すことができるのが利点だ。ただし、とても軽いためキャストで飛距離が出ず、風に弱いのが弱点。
もうひとつがフロートリグと呼ばれる仕掛け。こちらは白い発泡材の中にウエイトが仕込まれているため飛距離が稼げ、しかも風に強いのが特徴だ。写真のモノは自作のフロートリグだが、コイ用の完成品のフロートリグもある。
基本は『ノーシンカー』と『フロートリグ』の2タイプの仕掛けだが、ノーシンカーに大きめの玉ウキをセットする方法もある。多少、遠投性が向上するのと、アタリが明確になるのがメリットだ。
さて、チャミング(撒き餌)でコイが寄ってきたら、撒いたパンに紛れ込ませるようにハリの付いた仕掛けを投入。ここで大事なのは、ナチュラルに流すこと。風や流れによって、ラインがはらんでパンの付いた仕掛けを引っ張ってしまう(ドラッグがかかる)と喰わないケースが多い。いかに自然にハリの付いたパンを流すかがキモなのだ。
パンを吸い込んだら、リールを巻きつつロッドを立ててアワセる
チャミングで撒いたパンをチュボチュボとコイが吸い込む。射程内でコイが捕食モードに入ったところで、パンコイの仕掛けを投入。そして、コイがハリの付いたパンに近づく……さぁ喰え、喰え!チュボン。喰った!ただし、ここで慌ててはいけない。アワセはパンが完全にコイの口の中に入ってからだ。アワセが早いと口に入りきっていないこともあるので、ひと呼吸待ってアワセるくらいでいい。この際、リールを巻きながらロッドを立てるのがコツ。それで重みが感じられれば、フッキング成功。あとはコイのパワーを存分に感じながらのファイトだ。
ドラグが鳴る。ロッドが曲がる。大きな飛沫が上がる!食パンをエサに、こんなにもエキサイティングなパワーゲームが楽しめる。これぞパンコイの魅力。簡単であるが、コイを寄せる楽しさと喰わせる難しさも持ち合わせる。さあ、アナタもLet’s パンコイ!
この記事を書いたライター
地元・多摩川での釣り&野外活動を楽しみつつ、自身でもトラウトやシーバスなどのルアーフィッシングを嗜む。冬はカワハギ釣りにも熱くなる!