2014.4.1号
渚丸・神奈川県片瀬江ノ島港
“LT深場五目釣り”多彩な獲物が魅力!
春の濁った潮が入って来ると、深場にいた魚たちも動き出し活発に餌を追い始める。キンメダイを筆頭にクロムツ、シロムツ、メダイ、沖カサゴ、スミヤキ、アジ、サバ等々“LT深場五目釣り”の獲物は実に多彩だ。神奈川県・片瀬江ノ島港『渚丸』では、専門の乗合船を出している。ここに来て好調との情報に、春風と食味に誘われ3月22日(土)に出掛けたが…。
江ノ島入口隣・片瀬江ノ島港、小田急・片瀬江ノ島駅から3分!
3連休の中日とあって早朝から葉山、逗子、鎌倉と海岸沿いの道路は結構混んでいた。6時過ぎ、江ノ島入口直ぐ先にある『渚丸』に到着。受け付けを済ませ、船席札を取る。船が舫ってある前が駐車場だ。“電車組”の釣り人がクーラーを担いでくる。電車からのアクセスも抜群に良い場所だ。集合時間の6時45分には数人の釣り人が、今や遅しと出番を待つ。天気予報の関係で、キャンセルがあったとかで釣り人は幼稚園児を含め9人。船は定刻7時に女将さんに見送られて港を出た。目指すはカメギ根だ。
湘南海岸や富士山を眺め、絶好の釣り日和だったが…
北風は吹いているものの、釣りには邪魔にならない。江ノ島の脇を通って、鎌倉材木座海岸を左手、遥か前方に大島のシルエット、右手には真っ白な富士山が見える最高のロケーション。これこそ釣り人に与えられた特権だ。ポイントのカメギ根は、鎌倉、逗子、葉山の沖を過ぎその先を少し南下した所だ。30分程で雨宮正典船長の操る「渚丸」は、エンジンをスローにして魚影を探す。暫くして船長から投入の合図。水深は250m、餌にはサバの短冊を付けた。胴突き5本バリ仕掛けが150号のオモリに引かれて勢いよく海底へ。「着いたら底から5mほど上げて、10m位まで探って下さい」とアドバイスが飛ぶ。
朝のうちは活性が低くて“ゲスト”が少々
両舷に4人ずつ坐った釣り人に、1投目、2投目とも魚信はない。船長は様子を見て、カメギ根の沖側や灘側に移動して何とか魚信をと試みる。私は空いていた左舷のミヨシ(船首)に座っていた。左隣の松井佳則さんは新潟県・寺泊から「フィッシングショー」の見学を兼ねて来たと言う。暫くして、その松井さんの竿先が沈み込んだ。強い引きでクンクンと引き込む。何が掛かったか?250mの水深は電動リールでも時間が掛かる。船中初獲物、海面に現れたのは大きな沖ギス。よくこんな可愛い口で餌を咥えたと思えるような口をしている。右舷トモ(船尾)の松岡昭治さん(秦野市)が18cmほどのシロムツに似たギンメダイ(魚体が光沢のある銀色で眼も銀色、顎に長いヒゲがある)をゲット。その隣の神名哲嗣さん、尊輝くん(5歳)親子も同じようなサイズのギンメダイを釣った。その後、シロギス釣りで船に慣れていたハズの尊輝くんが船酔いでダウン。
底潮が冷たいのか“本命”は上がらず
投入を繰り返しているが沈黙の時間が続く。私も、上乗り兼釣り人の阿久津希さん(藤沢市)に手伝ってもらって竿を出す。「反応はあるんだがな…」と船長。表層近くの潮温は下がっていないと言う。暫くしてまたまた松井さんの竿先がクンクン。4、 5回リールのハンドルを回してから電動スイッチON、途中クンクン引き込むが弱い引き込みだ。濁った潮の波間に、赤い魚体と白っぽい魚体が。小振りのユメカサゴ2尾と同サイズのシロムツ1尾の3点掛け。
瀬の海で痛恨のバラシ
船長たまらず竿上げの合図。「少し走りますよ」と船首を西に向けた。富士山を目がける様に30分程走った。瀬の海と呼ばれる二宮沖だ。周辺にはメダイを狙って何隻もの船が集まっていた。水深は220m。仕掛けが馴染んで誘いを掛けていた右舷トモの松岡さんの竿がギュンと持ち込まれた。竿を煽って合わせを入れてから電動リールのスイッチON。唸りを上げながらリーリング開始、数分後黒い精悍なスミヤキ(クロシビカマス)の顔が見えた。少々小骨は多いが、味のいい魚である。取り込みに手を伸ばした途端、喰いが浅かったのか掛かりどころが悪かったのかポチャン。海に戻ってしまった。暫くして松岡さんと神名さんに同時にアタリ。しかし、様子がおかしい。どちらかに喰ったようだがオマツリしてしまったのだ。海面に姿を現したスミヤキは絡んだ糸がハリ外しになって痛恨のバラシ。バラシが続いたものの姿を見たので竿を握る手に力が入る。その後のアタリはサメ。これに怯えたのかアタリが途絶えてしまった。
茅ケ崎沖で終盤にスミヤキが
海岸に沿って江の島寄りの茅ケ崎沖に移動。水深210mラインで再開。世田谷から「電車で間に合うのは江ノ島なので」と言っていた左舷トモから2番目の平賀正悟さん、「竿を持って誘い上げた途端に引き込んだんです」とリーリング開始。60cm級のスミヤキを取り込んだ。松岡さんも「やっと釣れました」と笑みが零れた。隣の神名さんもリーリング開始、船酔いが治った尊輝くんもお父さんと一緒に竿を握って50cmオーバーのスミヤキの取り込みを手伝う。竿先を上下に動かし、誘いを掛けていた阿久津さんも50cm級をゲット。南風が強くなって来た2時前、「あと10分程で上がります」とアナウンス。その直後、左舷トモの石井タサギさん(藤沢市)にアタリがあり、50cm級のスミヤキをクーラーに収めた。
底潮の潮温さえ上がれば好漁期待出来る
私と右舷ミヨシの芹沢康さん(藤沢市)、松井さんの3人は残念ながらオデコで納竿。期待したキンメダイやクロムツ、アカムツ、メダイ等は姿を見せず、50~60cmのスミヤキが6尾。後は小型のシロムツとユメカサゴとギンメダイが数匹と残念な結果に終わった。船長は、「今日は数年に1度しかないような貧果。潮も適当に濁っていて魚探には反応が多く出ていたのに」と不満やるかたない表情。「底潮の潮温が下がっているんだと思います。潮さえ治ればスミヤキにクロムツ、そしてキンメダイも交じって“お土産”は確保出来ますよ」と話していた。
船長の言葉はすぐに実証された。取材1週間後の29日、キンメダイ30~43cm2~16匹、35~45cmのクロムツが乗船者全員に1匹ずつ、50~70cmのスミヤキ2~5匹の好成績が記録されたのだ。
なお、スミヤキは見てくれは悪いが塩焼きなどで食べると美味しい魚だ。小田原方面では市場や鮮魚店の店先にも並んでいる。
(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)
今回利用した釣り船 |
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神奈川県片瀬江ノ島港『渚丸』 〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-20-25 TEL:0466-33-1091 (定休日:毎週火曜日) 詳細情報(釣りビジョン) 渚丸ホームページ |
出船データ |
乗船料金:1万円(氷、餌付き) レンタルタックル一式2,000円(竿、電動リール、ロッドキーパー) 出船7時、沖上がり14時 |