堀の中のアジアンスターフィッシュの名は?【世界怪魚図鑑06】

簡単確実に、ルアーで楽しく、短期の日程、かつ格安で、さらにSNSで自慢できるカッコいい猛魚を釣りたい…。そんな虫のいい希望を叶えてくれる魚なんているわけが……いや、いる。養殖池に身を窶(やつ)したアジアのスターフィッシュ、バラマンディだ。(執筆:望月俊典)

その他

腐ってもバラマンディ、プライド高きアジアの純銀

初めてバラマンディを知ったのはこの哀れな語り部(←筆者)がまだ学生の頃。当時アルバイトしていた雑誌編集部の上司が3ヶ月に1回のペースでオーストラリアのケアンズにバラマンディを釣りに行っていたのだ。ガイド船に乗って、河口エリアのマングローブの根元にロングA・16A(ボーマー)などのビッグミノーを撃ち込んでいく…という華麗なスタイル。「IT革命」が流行語大賞を取った2000年当時の話だが、それでもまだ世界の怪魚の情報は少なかった。なので、バラマンディといえばオーストラリア、釣りのプロやセレブが狙う高嶺の花というイメージ。憧れのスーパースター…だったのだ。

時は流れ、語り部が初めてバラマンディを釣ったのは2013年、タイ郊外の人工養殖池だった。最初はてっきりオセアニアの魚だと思っていたバラマンディだが、東南アジアにも広く生息することを知った。そして、アジアではポピュラーな食材であり、盛んに養殖されているのであった。無理に例えるなら、中学時代に憧れた麗しの令嬢、その人生にいろいろあって、いい大人になった頃に場末のスナックで再会したような…そんな気分だろうか。

しかし、腐ってもバラマンディである。ルアーへのアタックは獰猛そのもの、ファイトは苛烈を極め、数匹釣っただけでこちらがへとへとにされてしまう。養殖モノだろうが、見た目の美しさはまだまだ健在だ。ただ、いろいろあったせいか、どんなルアーにでも喰いついてしまうのが玉にキズだが…。まあ、怪魚バージンをきっちり卒業したい人には非常におすすめできるターゲットだ。

バラマンディはアカメ科の魚である。アカメやナイルパーチは近縁で、特にアカメは1984年まで同種とされていたほど共通点が多い(アカメは目が赤く、バラマンディは金色に光るのが違い)。Wikipediaによると「成魚は2m・体重60kgに達する」とあるが…これは疑わしい。1.5mを超えるようなバラマンディの写真なんて見たことがないし、体長2mもあれば100kg超級になるはずだ。ちなみに、IGFAに認定された世界記録はオーストラリアのダム湖で釣られた44.64kg(体長は138cmとされる)である。

もちろん、東南アジアの河口にも生息しているので天然モノを釣ることもでき…なくはない。タイやインドネシアで狙って釣った猛者も複数知っている。この哀れな語り部はというと…マレーシアのボルネオ島、インドネシアのジャワ島、ミャンマーで狙ったことがある。が…この手で抱く夢はまだ叶っていない(2022年現在)。

2013年、タイの養殖池で釣ったバラマンディ。このサイズなら嫌というほど釣れた。ルアーはペンシルベイト、ポッパー、各種ミノー、バイブレーション…なんでも喰ってくる
郊外の平地にバラマンディの養殖池が集まっているエリアがある。いかにもため池という風景だった
池育ちといえど、バラマンディの血に変わりなし。ファインダーの枠に収まりきらないハイジャンプを決めてくれた
ガイドのジャクリットが釣ったナイスサイズ。背ビレが厳しい
目は緑がかった金色に光る。ルアーはT.D.バイブレーション(ダイワ)
2019年、2度目のタイ養殖池にて。エアオグル(ノースクラフト)で釣った美しいプロポーションの大きなバラマンディ。このときは前回ほど簡単ではなく、的確なルアー選択や喰わせのテクニックが必要だった
最後まで諦めないファイトで、アングラーを楽しませてくれる。安全な怪魚入門には最適ではなかろうか?
野性のバラマンディを求めて、タイから陸路遠征したミャンマーの川にて。この時は通訳の親子に騙されて酷い目にあったんだっけ…

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

その他オススメ記事