2023年10月05日公開
確実に季節が一つ進んだ。そんな朝だった。とうとう来てしまった、半袖Tシャツでは肌寒い朝が…。小雨が降り、空はどんより暗い。天気予報と睨めっこし、悩みに悩んだ末の行先は好調の噂があった神奈川県の河川だ。いくら好調でもこの状況だ。厳しい釣りになりそうな予感…。しかし、こんな時こそ練習のチャンスと前向きに!「寒さがなんじゃ~い!」。今日も大いにアユ達と遊ぼうではないか!
極寒!水温低下の中津川は竿抜けポイントで…
オトリ屋さんに着くとなんと気温は17℃。寒い…。車から見る限り川にも釣り人は少なかった。相変わらず空はどんより、今にも雨が降り出しそうだった。そんな中、「おはよ~ございま~す!」とオトリ屋さんのお母さんの元気な声が聞こえてきた。笑顔で元気に迎えてくれるお母さんのお陰で断然やる気スイッチONだ!
最近、中津川は八菅橋ポイントで数が出ていた。そのためなのだろう。この「釣れる」の噂で八菅橋に向かう人が多いそうだ。そこで、ここは敢えて違うポイントに向かう事にした。私達が選んだポイントは、キャンパーにも人気がある『田代運動公園ポイント』。ポイントに着くと、この天気ということもあってか、いつもはキャンパーや釣り人で満車状態の河原だが、今日は車も少なく空いていた。川にも2、3人の釣り人だけ。
着替えをしながら先行者の釣りを見ていたが、竿が曲がることはなかった。「やっぱり厳し~か~」。相方と〝まずは1匹!〟。これを目標に川へと向かった。川に足を浸けると、「ヒヤッ!冷たーい!」と思わず叫んでしまった。普段も近隣の河川よりも水温の低い中津川だがこれは冷たい!この水温でアユは掛かるのだろうか?
河原でお会いした漁協の方の話では、最近は右岸のヘチが釣れていたとのことだ。確かに川を見ると、皆さん立ち込んで右岸のヘチ側を釣っていた。取り敢えずあまりにも寒いので左岸に立って仕掛けを張っていると…。足元でピョン、キラリ~ン!とアユの姿が。「あれ?これアユいるな!」。石を見るとハミ跡もある。「ムムム!これはもしや!」。
他の釣り人が右岸のヘチにまっしぐらなので、「左岸は竿抜けでは?」。私は敢えて左岸のヘチから釣りを開始する事にした。岸際に立ち、左岸ヘチからオトリを送り出す。点在する石裏の緩い流れの中を丁寧に泳がせる。コツ、ズズズー!とオトリが下った。オヤっと思って糸を張ると、おお~掛かっているではないか~。口掛かりでアタリも弱かったがアユちゃんである。思わぬ1匹に歓喜!小振りではあったがこれをオトリにすると、これが良く泳いでくれる。流れの際に差しかかるとまたしてもコツ!
そして。今度はギューンギラリーン!と気持ち良いアタリ!今度も掛かり所は悪かったもののサイズアップだ。「なんと!掛かるではないか!」。ここからまさかの5連チャン!慌てて相方に電話だ。「左岸にアユいる~」。やはり竿抜けだったのだろうか?右岸を釣る人達の背中側を釣り続け、一日を通して多くのアユ達が遊んでくれた。夕方には寒さで竿を持つ手が震える程だったが、17匹という大満足な釣果で終わる事が出来た。
相方も下流の瀬の中で時合いをつかみ、良型のアユを持ち帰って来た。2人とも思わぬ釣果に思わずニンマリ。こんな状況下でラッキーに出会え、ちょっと得した気分の一日となった。
爆風の相模川!いかにオトリをコントロールをするか!
さあ!2日目は大会でいつも訪れる相模川へ。今日は太陽も顔を出して暖かい。天気が良いということで、昨日とは打って変わって川には多くの釣り人が並んでいた。しかし風が…強い!取り敢えず様子見でいつもの9mの竿で出動。今日は一本瀬の瀬肩からスタートだ。
瀬肩の浅場からオトリを放つ。と、突然の突風が…。軟らかい調子の竿を使っていたので竿は大きくあおられて重い!竿尻をお腹につけて堪えるのでやっとだ。竿を寝かせしばらく堪えたが、オトリのコントロールなんてとてもできず、正直何をやっているかわからない。オトリ1号もすっかり弱ってしまった。「これじゃいかん!」。竿をたたみ、短竿を取りに車に戻る事にした。8mの竿にするとなんとかコントロール可能になった。
風向きを考えて左岸の浅場に移動した。みんなの通り道になるこの浅場に、アユはかなりの数がいる。石色も良く真っ黒である。サイズは期待出来ないが、まずはここで野アユに替えることを優先した。上飛ばしで泳がせていくとキラリ~ン!思った通り小振りなアユが掛かった。ポツポツではあるがアユは掛かってくれ、この浅場では7匹のアユを掛ける事が出来た。しかし、いくら釣ってもチビアユばかりだったので、思い切って上流に移動する事にした。
高田橋下流へ。何とかこのチビアユでサイズアップを図らなければ、流れのある場所は攻められそうにない。少し水深のある流れの緩い場所を泳がせているとギュイーン!と突然目印が上流に走った。「お!これは間違いなくオトリよりは大きなアユが掛かったに違いない!」。竿を立てると重量感が…。サイズアップ成功である。「やった~」。早速そのオトリを持って流心狙い。張らず緩めずのテンションに気を付け泳がしていると、ギュイーン!またしても目印が上流へと走った!待ってましたの良型アユだ~。
この後も2匹の良型アユに会うことができた。一日中大風に翻弄されながらの難しい釣りだった。難しい分考えて釣りをする事ができ、良い時間を過ごすことが出来た。この後、高田橋上流を偵察に行ったが、恐ろしい数のアユが水垢を食む姿が見られた。時合いに当たれば、数釣りもまだまだ楽しめそうだ。さすが!天然河川相模川である。
仲秋の候 季節は確実に進んでいく
ススキの穂も立ち始め、虫の声もいよいよ賑やかになってきた。川の風景も、アユの姿も秋めくこの時期だが、天然遡上アユの多い河川では、秋季こそ数も型も狙える。今回釣行した河川でも天然遡上だと思われるアユ達が多く見られた。釣れるアユも大小様々だった。まだサビたアユは見られなかったが、持ち帰ったアユをさばくと、小さな卵や白子の入ったものも。寂しい季節がやってきてしまった。もう少し…あと少し…の今シーズンではあるが、残りのアユ達との時間を大いに楽しみたい。