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《簗(ヤナ)》秋深まる川でアユの“年魚”最後の輝き!ヤナは今シーズンイチの大漁!

2023年10月29日公開

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前日の長良川中央から上流へと移動。郡上八幡の街は季節が進み、冬がすぐそこまで来ているかのような気候だった。朝晩は10℃を切る寒さの日も。凍える寒さの中アユ達には出会えるのだろうか?お昼からは雨予報!いよいよ“郡上アユ”が下り始める時がやって来た。夜半からの大雨でヤナでは今季一番の大漁に!

【この記事を書いたライター】SHOHEY

“まきっきアユ”の群れ!数はいるが釣るは難し!

やはり郡上は寒い。前日の美濃とは比べ物にならない寒さだ。今日は前日から郡上入りしている友人と待ち合わせ、いつもお世話になっている『丹羽オトリ店』から10分程上流に車を走らせた「梨畑」と言うポイントへと向かった。河原で着替えるにも寒さとの戦いだ!「あ~寒い」。まだ空は明るいが雨が落ちてくる前に何とか釣果を出したいものだ。オトリを浸けに川に向かった友人が…「めっちゃアユいる~!」と。な!なんと!駆け寄り川を見れば一面アユ、アユ、アユ!何じゃこりゃ~!恐ろしい数のアユが泳いでいたのだ。思わず「入れ掛かり!」の言葉が頭をよぎる。

準備も万端!早速相方と並び竿を出す事に。「これって凄い入れ掛かりになるか、全く釣れないかだよね~」さあどっちに転ぶのか?!

足元からそっとオトリを送り出す。オトリはよく泳ぐが、ここでの1匹を取らなければ入れ掛かりは無いだろう。何とか1匹!を目標に丁寧に泳がせていく。オトリも目視出来る中、ハリまで数cmと言うところまでは来るのだが掛からない!10分、20分、30分…。痺れを切らした相方は上流の瀬へと消えていった。私は完全に目の前のアユ達に取り憑かれていた(笑)。1匹取れれば状況は一変するはず!と粘りに粘った。

落ち込みギリギリのシラ泡を攻め何とか絡めとる作戦に変更!これが当たった!掛かり所は悪かったものの念願の1匹を手にする事が出来た。「さ~こっからだ~」掛かった小ぶりなアユを放つと上流へとガンガン泳いで行く!カッツーン!来ました来ました2匹目!「ほ~らね!」とほくそ笑んだのも束の間。この後アタリはすっかり止まってしまった。このアユ達は上流から下ってきて群れているアユで追いけは無かったようだ…。あんなに黄色い追星が見えるのに…。

下流を見ると友人がテンポよくしかもかなり良型のアユを掛けているではないか!私のいる場所から落ち込みの淵を挟んだ開きではまるで別物のアユが掛かっていた。何なんだこのアユの棲み分けのような状態は…。釣ったアユを見せて貰えばしっかり追っている若いアユだった。どうやらこの時期になると場所によって掛かるアユ、掛からないアユがハッキリしている様だ。見た目で騙されてはならぬのだった。

冷たい雨の中プチ入れ掛かりが!

午後友人が釣れていた場所を譲ってくれた。そして友人はあのアユうじゃうじゃポイントへ。やはり午前中に掛かった場所では変わらず良型のアユが掛かる!そして、私の苦戦したうじゃうじゃポイントは釣り人が変わってもやはり難しい。でもあ~アユが見えてると意地でも掛けたくなってしまうものだ。

14時を過ぎると冷たい雨が落ちてきた。しかし、このタイミングでプチ入れ掛かりが!相方も竿を曲げる。ブルブル震えながらやめるにやめられない。この時期、この気温、この天気の中数は出なかったものの郡上の美しいアユに遊んでもらえたこの時間はとても楽しい時間となった。

10月も過ぎれば日々アユも下り、付き場は変わってゆく。まだまだ多くのアユが郡上には留まっているが次水が出れば一気に下ることだろう。この日私は最後の1匹を川に放ち「ありがとう!郡上アユ!又来年!」と郡上のアユに別れを告げた。

 

夜半からの大雨で80cm高に増水!遂に“郡上アユ”が下り始めた!

翌日も釣りをしたいところだったが、夜中予報を大きく上回る雨が降り続いた。朝起きて川を見れば濁りが入り始めていた。9時を回る頃には水位はグングン上がり80cm高までになっていた。オトリ屋さんでのんびりお茶を飲んでいると、店主が「ヤナが大漁みたいだよ~帰り見ていっては?」と声をかけてくれた。

釣りをしていると中々見に行くチャンスが無いものだ。是非見に行こう。向かったのはオトリ屋さんから5分程下った「杉ヶ瀬ヤナ」。そこで目にしたのは衝撃の光景。次から次へとアユ達が上がっていた。しかもかなり大きいアユの姿も。思わず「どこにこんなにアユがいたんだ?」と思ってしまった。

「アユヤナ」とは川を堰き止めてその一部に流れ口を作り、産卵の為に川を下るアユの習性を利用して竹のスノコに落ちたアユを採る伝統漁法である。ここ「杉ヶ瀬ヤナ」はアユが落ちなければ営業しない。天然のアユのみを提供するヤナなのである。そして今日が今シーズン一番の大漁との事だった。この雨での増水により上流部にいたアユ達が一気に下り始めたのである。

アユを拾う人、アユを大きさ毎に選別する人、アユを箱詰めする人と皆大漁に大忙しだ。このアユは併設される料理屋で提供されるとの事。釣り人でなければ中々天然のアユを口にする機会はない。是非、郡上のブランドアユを口にして欲しいものだ。その美味しさには感動すらしてしまう事だろう。

どれだけの時間見学していただろうか?とめどなくあがってくるアユ達この光景いつまでも見ていられる。「凄い!凄い!」この言葉しか出てこなかった。

去り行く季節

僅か一年と言う一生のアユ。今シーズンも私の夏の扉を開いてくれたアユ達。 今秋も終わろうとしている長良川の釣行で手にしたアユは色づき正に最後の輝きを放っていた。季節の移り変わりを感じるのであった。毎年来るこの季節。分かってはいるが寂しいものである。又来シーズン長良川のアユ達に会えることを楽しみに川を後にしたい。

※10月初旬に釣行

施設等情報

施設等関連情報

年券1万2000円(女性・25歳未満8000円)
日釣り券2000円(女性・25歳未満1300円)

「丹羽オトリ店」
「丹羽オトリ店」ホームページ*駐車場完備・トイレ・休憩所あり
*オトリ預かり・冷凍預かりなどもあり

「梨畑ポイント」
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

SHOHEY
鮎にゾッコン!ずっと川に浸かっていたいと思う日々を過ごす。3~4月は渓流釣り、5~10月の休みは全てを鮎釣りに捧げ、全国各地を「鮎な夏!」で駆け巡る。主催するアウトドアの団体にて、キャンプや釣り初心者のためのイベントなども開催。
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