2024年07月07日公開
レジェンドアングラー・ヒロ内藤氏を隊長にバスフィッシングの技術向上を目指す強化合宿が開催された。舞台は神奈川県・芦ノ湖。同湖は来年で〝ラージマウスバス移入100周年〟を迎える。〝アメリカンルアー縛り〟をテーマにバスを探す2日間。心を燃やす、白熱の釣りイベント「ブートキャンプ」に潜入レポート!
14名の熱血アングラーが集結!ところでレジェンド「ヒロ内藤」ってどんな人?
「芦ノ湖フィッシングセンターおおば」に全国から14名の参加者が集結した。〝アメリカンルアー縛り〟の強化合宿となる「ブートキャンプ」は、「アメリカンルアー専門店SAVAM」が主催する完全手弁当のファンイベントで、大の大人が1日12時間、開催2日間で24時間バスフィッシングに没頭するこだわりの参加型企画。
連休も絡まないド平日の2日間。ヒロ内藤氏とのこだわりの釣り体験のために駆け付けた14名が、どれだけのモチベーションで釣りと向き合う釣り師なのかは想像に容易い。しかもイベント初日の6月18日(火)は午前4時の時点で本降りの雨。午後には記録的な大雨予報だったが、一人として弱音や泣き言はおろか、主催者にイベントの安全性を問うような参加者はいなかった。何故ならこのブートキャンプが、参加者の誰もが指折り数えて心待ちにしていた、100%自分軸で能動的な「大人のバス釣り強化合宿」だからに他ならない。
ヒロ内藤「その信念を貫いて、心を燃やしてください」
文言の割りに穏やかな口調で檄を飛ばすヒロ内藤氏。開会ミーティングの後、参加者たちのボートは日本のバスフィッシングにおける草分けのフィールド・芦ノ湖の各釣り場へと散開して行った。ここで、内藤氏をご存じないと言う方のためにざっくりご説明。
【ヒロ内藤】本名・内藤裕文(ないとう ひろふみ)
フロリダ在住のプロアングラーで、アメリカのルアーブランド・プラドコ社に勤務していたが退職後、YouTubeチャンネル「HIROismヒロイズム」でバスフィッシングの楽しみ方を発信し続けている。インターネットなどの情報網が確立されるずっと以前の1980年代から、氏が雑誌やビデオソフトで紹介する本場のテクニックやフィッシング理論は、日本のバスフィッシングシーンで非常に貴重な情報源となり、氏の業績をリスペクトするアングラーはプロアマ問わず数多存在する。ちなみに、日本人初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんは氏の実姉。
荒天なれど好反応、芦ノ湖バスたちも熱かった!
雨は激しく湖上の釣り師にとっては荒天だが、魚たちにとっては恵みの雨なのか、水面の大きなルアーにバスたちの反応は悪くない。
「オリジナルザラスプーク」や「ポップR」、「スクイールチャー(バズベイト)」など水面にこだわって魚を出したり、出きらないバスを「レッドフィン」や「サスペンド・ログ」などサブサーフェイスで口を使わせたり、何度も釣り人の入ったポイントからスピナーベイトでバスを引きずり出したりと、参加者のみなさんは様々なルアー、様々な攻略法でバスをキャッチしていた。
オールドの「ラッキー13」で解説中に…!?
ヒロ内藤氏も「ラトリン・ログ」や「ベビートーピード」でバスをキャッチ。極めつけは主催のSAVAM店長・笠原氏に渡された骨董品レベルの「ラッキー13」での一幕。
ヒロ内藤「やっぱさ、ラッキー13の最大の強みのチャガー音。キレイに出るよね。一番喰うのはこうやって投げて置いて、ちょこ~ん、ちょこ~んと引っ張ってペコペコペコペコこういう風に誘ってるヤツ。動きとポッピング音ですよね。ところがその中で、一回ゆっくりこう引き切ってあげると(※竿先を90cmほど横にスライドさせ)…こうやってね、潜っていくじゃないですか。あぶくを連れてこう潜っていく、これがやっぱり魚をもの凄く刺激するの。あと僕が昔から好きなのが、こう投げて、チョボチョボ水面で釣って喰わない時は潜らせてやって、そこからジャーク掛けんの。こうやって。水の中をジャーク掛けて来るでしょ。ジャークよりも浮く〝浮力〟の方が強いから、ジャーク掛けててもどんどんどんどん水面まで上がって来ちゃう。水面まで上がってきたら、またこうやってボッコーンって潜らせて、こっからジャーク掛けてやる…一日使ってられるよね、楽しい♪」
──と、解説しているさなかにバスがヒット!素朴な工芸品にすら見えるウッドのオールドルアーに秘められた力に改めて驚かされると共に、使い手の〝何をするか〟に基づく知見と演出を以てすれば、いかに難しいと噂されるフィールドにあっても、バスを誘い出せることを目の当たりにした。
遂に出た「ザラスプーク」に58cm!
一夜明けて合宿2日目。夜半に雨は上がって、朝霧の中のスタート。やがて霧が晴れると雲ひとつ無い青空が拡がり、前日の荒天とは打って変わっての好天。だが魚のご機嫌は今ひとつで、朝のチャンスタイムからみなさん苦戦の模様。
この日、同船した「おおばボート」スタッフの鈴木久茂氏。昨年のブートキャンプでご一緒した際も、「ポップR」や「クレイジーシャッド(スウィッシャー)」のチューニングについて子細に教えて頂いた。「早川の様子を見てみましょう」と、鈴木氏は鏡のような湖面の竹杭周辺を「ポップR」でチェック。「今日は厳しそうですね。昨日は昨日で天候が厳しくて…」とベタ凪の水中を眺めながら「そこに居る」「ここにも」と湖底の変化に着くバスの姿を教えてくださった。
ここで氏は「今日はザラな気がする」と竿を持ち替え「オリジナルザラスプーク」をセレクト。私も真似をしてみたがうまく噛み合わず、魚欲しさについつい見えバスへ向かって「ウォーリーダイバー」を投げていた。
──すると突然「来い! 来いッ!」と湖面に向かって呼びかける鈴木氏。その目線の先にはJMPカラーのザラ目掛けて浮上する明らかに大きな魚影が。水しぶきと共に反転した魚は、鈴木氏のロッドを引き絞って果敢に抵抗する。「やったー、喰った!」と鈴木氏は魚を誘い出したこの時点で既に喜色満面、笑顔100%。危なげないファイトでハンドランディングされた魚はなんと58cmのラージマウスバス!狙いの沈み岩の右へ投げ、出なかったので左に投げて違うアクションで攻略したとのこと。獲るためのアプローチが実を結んだ、決定的な瞬間だった。
日本のバスフィッシングのスタート地点である芦ノ湖で、本場アメリカの定番バスルアー「オリジナルザラスプーク」に、58cmのランカーバス。こんな出来過ぎな光景を目の当たりにできるのも、ブートキャンプの醍醐味のひとつと言えるだろう。
心を燃やす2日間、胸には「Forever Bass Fishing」
避暑地の箱根にありながら真夏日を記録したこの日。「出ない」「難しい」とは言いながら、参加者のみなさんはルアーの持つ特性や強みを活かして「ポップR」や「ファットA」に「ロングA」、「ビッグバド」などでバスをキャッチした。
ここで、閉会ミーティングでのヒロ内藤氏からのメッセージを抜粋。
ヒロ内藤「いやぁ僕ね、熱い人って凄い好きなの。それは何故かって言うと、僕自身が熱く燃えていたから。熱い人を見るとね、もの凄く共感するのと同時に、この人の5年後って凄いんだろうなとかね、また会ってみたいなって思う人たちばっかりなんで。これからもみなさん、熱く燃え上がって、心を燃やして、思いっきりルアー釣りを追い掛けてください。みなさんのやることが、この先の〝ルアーを学びたい〟って人に大きな影響を与えることも少なからずあると思うんですね。ルアー釣りって僕、楽しい遊びだと思うんで、思いっきり楽しんでくださいね! 今回もホント、ありがとうございました!」
予定の解散時刻は過ぎていたが、参加の14名はこの場を去り難く釣り談義に花を咲かせていた。バスという同じ魚を釣ることが好きなだけで、住む所も仕事も異なる人たちが、初対面でもこんなに笑い合えて、くたくたになるまで充実した一日を楽しめる。バス釣りという娯楽の代えがたい豊かさを再確認する機会となった。イベントTシャツの胸に刻まれた「Forever Bass Fishing」の文字が目に染みる、暮れなずむ湖畔の風が心地良かった。
施設等情報
施設等関連情報
ヒロ内藤のバス釣りの知識が詰まったYouTube公式チャンネル
URL: https://www.youtube.com/@HIROism
アメリカンルアー専門店SAVAM(サバン)
〒411-0943 静岡県駿東郡長泉町下土狩1194-73 103
Tel.:055-988-2934
URL:https://www.savam.jp/
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他