2024年07月12日公開
静岡県・伊豆半島では、例年5月中旬から9月中旬まで磯での夜釣りが可能になり、地元の渡船店も夜釣りの渡船を開始しているが、梅雨明け前の6月下旬、磯釣りクラブメンバーで下田市の須崎へと出掛けた。前日に関東地方に大雨をもたらせた梅雨前線の影響によりウネリが残り、爪木島までの磯は使うことができないため、船は外浦方面へと舵を切る。この日は先約のお客さんが多かったこともあり、夜釣りでは初となる「輪島」が今回のステージとなった。
明るいうちは思い思いに釣りを展開するも…
所属する磯釣りクラブ「湘南爆釣族 まるやま倶楽部」メンバーの杉崎さんと竹中さんと共に下田市の須崎へ出かけた。当日はウネリが残り、爪木島までの磯は使うことができなかったため、夜釣りでは初めての磯となる「輪島」へ渡してもらった。この島は南北に細長く島の中央部は断崖絶壁になっているため、南北それぞれの先端側が釣り座となる。私は船着け場、杉崎さんは私の左隣、竹中さんは北側の先端という位置づけで準備を進めていく。
須崎の夜釣りは14時30分に出港する。そのため、夜釣り開始の19時までに十分な時間があったので、明るいうちは青物やアオリイカを狙ってみることにした。杉崎さんはフカセ釣り、竹中さんはルアー釣りと思い思いの釣り方で〝エサとなる小魚〟を調達していく。まずはサビキ釣りで狙ってみると、一投一尾のペースでスズメダイが釣れてくる。本命は豆アジや小サバであるが、前日の大雨による濁りや塩分濃度の影響なのか、スズメダイ以外の小魚が全く見えなかった。30分経過したところで十分な数を確保できたので、私は〝泳がせ釣り〟に挑戦してみた。個人的には初めての釣りなので要領が良く分からないが、元気な魚の方がアピールできるであろうとこまめにエサを取り換えた。…のだが、結局最後まで何も起こることはなかった。
隣の杉崎さんはエサ取りに大苦戦していたが、釣り開始から2時間後に超遠投釣法でようやく魚を掛けた。竿は大きく曲がっている。「ゴンゴンゴン」と竿を叩くような引きと共に上がってきたのは、サンノジであった。その後も何度か魚を掛けるも、釣れてくるのはサンノジばかりであった。
一方、外浦港方面に狙いを定めてメタルジグを投げていた竹中さんの竿にも強烈なアタリがあった。海底が砂地であり、竿に伝わる感触からヒラメではないかと期待をしていたが、なんとやり取りの途中で痛恨のバラシ!ジグには歯形が残っており、非常に悔しい結果となってしまった。
当て潮の中でイサキを拾い釣る!
時刻が19時を迎えたところで夜釣りの仕掛けに変更した。
【タックル】
■磯竿:2.2号
■リール:4000番
■道糸:PE1.5号
■リーダー:ナイロン5号を5ヒロ(1ヒロは約1.5m)
■ハリス:フロロカーボン8号を1ヒロ半
■ハリ:夜光真鯛針10号
■ウキ:電気ウキ2号
コマセはオキアミ3kg、アミエビ4kg、パン粉2kg、ヌカ3kg。夜釣りでの効果は不明であるが押し麦も追加してみた。付けエサは加工オキアミと丸エビの2種類を準備。「輪島」は水深が浅いので、タナ2ヒロのところにウキ留めを付けてスタートした。
潮はほとんど流れておらず、釣り開始後1時間半が経過しても全く釣れる気配がない。タナを3ヒロに変更すると根掛かりしてしまうので、2ヒロから2ヒロ半のタナをこまめに探ってみるも魚からの反応はなかった。「ゆっくりエサを落としたほうが良いのかな?」と考え、ここでウキを自作の「ウキくん NIGHT 00」に変更して、タナは1ヒロ半に設定した。
しばらくすると潮がゆっくりとした当て潮に変化。仕掛けがなじむとウキがゆっくりと沈む設定にして、時々誘いをかけながらゆっくりとリトリーブ。すると「コツッ」と竿先にアタリを感じた。ここではアワセを入れずに軽く穂先を上げて再び誘いを入れると「ゴンッ」と竿に伝わる大きなアタリ。すかさずアワセを入れて、心地よい引きを楽しみながら上がってきたのは30cmクラスのイサキであった。
釣り方が分かったので連荘と行きたいところであったが、この時間になってエサ取りのフグの活性も上がってきたようで、夜光針のコーティングがほとんど剥げてしまった。針を交換して、ヘッドライトの光を十分に吸収させるとイサキが連発。やはりイサキ釣りでは夜光仕掛けが有効なようだ。エサのローテーションも交互にやってみたが、この日の当たりエサは丸エビで、途中からは丸エビでしか釣れない状況となった。同じ釣り方でポツリポツリとイサキを追加し、お土産を十分確保できたところで時刻は23時30分を迎えたため、後半戦のコマセ作りと遅い夜食を取ることとした。
ベテラン勢が腕前を見せつける!
私の隣で釣りをしていた杉崎さんも、ウキくんを駆使してイサキの拾い釣りを展開していた。杉崎さんはG5からG3クラスの錘を付けて、強制的にウキを沈ませている。コマセをウキの5mから10m手前の範囲に広げ、ある程度ウキが沈んだら、その棚をキープしながらコマセの帯に仕掛けをゆっくりと引き込んでいく。そうすることで当て潮の中でも仕掛けを張りながら、魚信を明確に捉えることができるのだ。こまめに誘いを入れながら魚の喰い気を刺激し、ついにこの日のパターンを完全につかんだようで一投一尾のペースでイサキを釣り上げている。「ゴメーン。また釣っちゃったよー!」とご満悦の様子であった。
先端側の竹中さんは外浦港向きの釣り座で頑張っていたようで、磯際を集中的に攻めて35cmクラスのメジナとイシガキダイをゲット。そして、夜釣りの大本命であるフエダイ(シブダイ)までも釣り上げてしまった!イサキ釣りには目もくれず、磯際で高級魚を狙っていた竹中さん。その後我々と同じ沖向きの釣り座に移動し、ついにイサキを狙い始めたのかと思いきや、この日最も竿を曲げる魚を掛けた。杉崎さんにタモ入れしてもらったのは、「一瞬真鯛かと思ったよ!」というほど良く引いた50cmクラスのフエフキダイであった。モンスタークラスとまではいかなかったが、夜釣りのモンスターハンターの実力を発揮してくれた。
私はというと、後半戦は高級魚狙いで磯際や根回りを集中して狙ってみたものの、釣れるのはイサキのみ。さらにはあまりにも際を攻めすぎて根掛かりが連発し、掛けの組み直しやウキのロストにより意気消沈。隣でイサキと大サバを爆釣している杉崎さんを横目に、磯上がりの2時間前に納竿し、杉崎さんから頂いた50cmクラスの大サバを下処理して眠りについた…。
次回こそはモンスターを仕留めたい!
港に戻って先約のお客さんの釣果を聞かせてもらうと、同じ「輪島」の南側でカゴ釣りを楽しんだ3人組はイサキがクーラー満タン。その他の磯もイサキやシマアジなどの美味しい魚が出たようだ。杉崎さんと竹中さんは流石のベテランの腕前を発揮し、私も「小物釣り師」の腕前を発揮した今回の夜釣りであったが、これから本格的な夏が到来すると、モンスタークラスの大型魚との格闘が楽しめるチャンスが増えるはず。真夏の夜の熱い格闘を期待し、また夜釣りに挑戦したい!