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【バスボートを買ってみる】試乗したら気持ち良すぎてつい購入 ~浮かべる前からトラブル編~

2024年08月01日公開

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どこで間違えたのか、48歳にして初めてバスボートを購入してしまったこの哀れな語り部(←筆者のことです)。道楽の極地のようなこの乗り物を乗りこなせるか、振り回されるか…。その購入記、第2弾!

最高に危険で気持ちいい乗り物

売主さん「じゃあ今から試乗してみますか?」

あのバスボートに試乗してみたい旨を売主さんに伝えると、近くのマリーナですぐに乗せてもらえることになった。

デカいSUV車に引かれてやってきた黄色いスキーター。スタンドでガソリンを40L入れて、10年ぶりに琵琶湖へ浮かんだ。

売主さんがキーを回すと、恐竜が目覚めたような2ストサウンドがうなりを上げた。湖上は少し荒れ気味の試乗日和。売主さんがアクセルを踏むと、バウがそそり立ち、すぐにプレーニング(滑走状態)した。速い!20フィートで250馬力もあると戦闘機が飛び立つかのように加速していく。暴れるボートを抑えながら、波頭を飛び越えるような操船。近年の重厚で安定したボートとは違う、軽い船体を度胸とテクニックで乗りこなしているようだ。

ここで語り部と操船交代。

波とうねりを乗り越えながら走ろうとしても、どうもバウ(船首)がバンバン水面を叩いてしまう…。売主さんの操船とは違ってボートにも身体にもショックが大きいぞ。でも、なんて気持ちのいい乗り物なんだ!

売主さん「ハンドルとアクセルワークで波をうまく越えていけます。100m先の波を見るように心がけてください」

そんな感じで、試乗が終了。
数日後には、売主さんに購入の意思を伝えていた。

バスボートオーナーになったらやるべき手続き

めでたく、売主さんと売買契約を交わし(売買契約書は自作した)、お金の支払いも済ませたこの哀れな語り部。

このままでも乗れるのだが、名義変更など行政的な手続きもしっかりやっておきたい。

なので、ここでは語り部が購入から1ヶ月半くらいの間に済ませた手続きを簡単に紹介しよう。

●ボート関係
・名義変更
必要書類(変更・移転登録申請書、譲渡証明書、売主買主双方の印鑑証明書、船舶検査証、船舶検査手帳、手数料)などを揃えて、最寄りの小型船舶検査機構支部へ申請する。

・琵琶湖適合証の取得
琵琶湖でプレジャーボートを航行する場合に必要となる手続き。従来型の2ストロークエンジンだと許可が下りない…というかそもそもそれを規制するための手続きだと思われる。こちらは船舶検査証などの書類を揃えて…今度は県庁に申請しないといけない。小型船舶検査機構でまとめてできると楽なんですが…。

●トレーラー関係
・車庫証明の取得
ボートトレーラーは自動車と同じく、名義変更の際に車庫証明が必要。自宅やマリーナなどを置き場として設定し、警察署で申請する。

・名義変更
これも必要書類(車検証、譲渡証明書、委任状、新所有者の車庫証明、売主買主双方の印鑑証明書)などを揃えて、最寄りの運輸支局で申請する。

・車検の更新
トレーラーは嬉しいことに前オーナーのナンバー付きだった。つまり、クルマで牽引することができるのだ。しかし、まもなく車検が切れる状態だったので、これも更新する必要があった。

・牽引免許の取得
総重量750kg以上のトレーラーを牽引するには牽引免許が必要。20フィートのバスボートは余裕で必須である。教習費用は割引もあって115,400円。これはかなり安い方だ。牽引はズバリ、方向変換(バック)だけ非常に難易度が高いのだが…ありがたいことに教官が攻略法を教えてくれる。その練習を繰り返し、検定もその通りにやったらうまくいった。でもあれって意味あるのだろうか…(笑)

以上…結構めんどくさかったです。
ちなみに、トレーラー車検は整備をお願いしたマッスルマリンさんに代行していただきました。次はその整備編へ…。

 

乗り出す前にあれこれ問題発生! 整備が必要だ

このボートのエンジンはヤマハのHPDIシリーズ2の250馬力。HPDIとはヤマハが1999年に開発した環境対策型2ストロークエンジンで、ハイプレッシャーダイレクトインジェンクション(High Pressure Direct Injection)の略。

この黄色いスキーターを買おうかどうか悩んでいた際に、知人から燃費や耐久面でネガティブな話もあったが、バイクで2ストが好きだったし、あの猛るようなハイパワーをバスボートでも楽しんでみたい。語り部のは2008年製造の後期型で、まあ、今でも残っているということはアタリ個体の可能性もある…そう思うことにした。近い将来4ストエンジンへの載せ替えも視野に入れつつ。
さて、トレーラー車検とちょっとした整備をマッスルマリンさんにお願いしていたのだが、その際にこのボートの問題がいくつか浮き彫りになってきた。以下、問題点と対策を列記しよう。

●ガンネルがまあまあ傷んでいる
ガンネルとは船体のハルとデッキを接合している部分で、まさに要なのだが…スキーターはここが弱いといわれる。ガンネルラバーをめくってみると、まあまあ傷んでいて…マッスルマリンさんで打ち直してもらうことにした。ちなみに、このボートを担当してくれたメカニックは、もとJBトッププロの小島宏さんである。

●エンジンの問題
インペラとギアオイルの交換をお願いしたのだが、開けてみるとギアオイルは抜けていて水が充満していたとのこと…。また、ギアの噛み合わせに問題があったそうで、それも含めて修理してもらった。

●トリムの問題
トリムとは電動でエンジンの角度を調整する装置。試乗の際には問題なかったトリムモーターが不調…とのことで、交換してもらった。トリムメーターも不動だったのでこれも交換。

●キールガード
先端が剥がれていたのでこれも交換してもらった。

●エレキの取り付け
購入時にはエレキ、魚探、パワーポールなどの装備関係はすべて剥ぎ取られていた状態(そのぶん安い)。なので、エレキはレンタルボート用に使っていたツアープロ24V(モーターガイド)を使うつもりだったが、強度面などに若干の不安を感じたので、ウルトレックス36V(ミンコタ)に買い換えることにした。中古美品ウルトレックスの購入価格よりもまあまあ使い込んだツアープロの方が高値で売れたのは謎。レンタルボート用の需要だろうか?

以上の整備をマッスルマリンさんでお願いし、すでに仕上がっている。ありがとうございました! 請求書を見るのが怖い…。

他に、自分でやったことは…。

●オフセットトレーの導入
エレキペダルをセットするオフセットトレーがなかったので、ヤフオクで買って自分で塗装した。

●ボートカバーの交換
スキーターの純正カバーが付いていたが、完全に劣化していたので交換した。サンブレラなどの高級素材を使ったオーダーメイドのカバーはすごく良さそうなのだが、価格も250,000円くらいする…。さすがにそれは無理なので、U.S.Amazonで売ってる110ドルの汎用カバーを購入した。

また、売主さんにもいろいろと整備関係のお世話になっていて、とても感謝している。これから魚探の配線などを売主さんとやる予定なので、完成したあかつきには実際に浮かべて走って釣ってみた編もお伝えできたらと思う。

とまあ、古いくせにとんでもないハイパワーを誇るバスボートなのでいろいろ問題はあるし、これからも出てくるだろう。それも含めて今後も楽しんでいこう…と震えながら自分に言い聞かせている。

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

望月 俊典
千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。
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