釣りビジョン

2011.5.1号

福田丸・千葉県外川港
迫力満点!千葉県、銚子・外川沖の大型ヤリイカ

08_main.jpg
3月に入って絶好だった千葉県、銚子・外川沖の大型ヤリイカ。何とも皮肉な話だが、3月11日の大震災の日には50cm前後の特大サイズばかりを50~70尾以上の釣果を記録した。まさに特大サイズのヤリイカだが、注目したいのは長さばかりではなく身の厚さだという。刺し身にするには分厚すぎて二枚に削ぎ切りにする。もはやアオリイカ並みという話。GW前後からが狙い目と聞き4月22日、銚子・外川港『福田丸』に出掛けた。

「つりステ」でお馴染み、末川かおりさん、数日前に一人で訪れ、
55cmの特大サイズをゲット!女将さんと末川さんの2ショット

“ダブルカンナ”が断然有利

この時期の外川沖のメインターゲットは大型のオスイカ。その為、仕掛けや誘いにもひと工夫があった。千葉県の南房から外房にかけて、ヤリイカ釣りでは11cmのプラヅノでシングルカンナが定番である。だが『福田丸』ではダブルカンナを推奨している。理由は単純にイカが大きく、バラシを少なくしたいからだ。そしてもう1つは、福田稔船長の誘い方にある。あくまでもヤリイカの活性が高い状況での誘いだが、「イカが1つ2つ付いて巻き上げては勿体ない。外れても構わないつもりでもう1度底まで仕掛けを落とします」(船長)。普通ならあまり追い乗りを狙わずに1尾ずつ大切に取り込むのがセオリー。しかし、1尾外れてもツノ数全てにイカを乗せてしまおうという大胆な発想である。この時もダブルカンナの方がイカは外れにくい。釣りが好きで自らも竿を出す福田船長ならではの理論である。

釣りが大好きな福田稔船長
ダブルカンナ
仕掛け図

黒潮大接近、潮速は3ノット

午前6時、大型快速船「第21福田丸」は、外川の真沖水深120mラインに到着した。「分かってはいたんだけど速いなぁ、表層が2.3ノット、中層が1.8ノット、下層は3ノットもありますよ」と船長。実は、4月に入ってからこの速い潮に悩まされ続け、“大本命"のポイントでは釣りにならない状況が続き、それ以外のポイントを転々と探る苦しい操船が続いていたと言う。だが、前日の最後に4点掛けがあったこのポイント「取り敢えずやってみましょう」という船長の投入合図でスタート。右舷に並んだ私以外の釣り人4人が仕掛けを入れると、アッという間に道糸が船の後方に走った。確かに潮が速い。そしてリールのカウンターが60mに差し掛かった辺りでほぼ同時に4人の竿先がガクガクと震え始めた。高速で巻き上げてみると正体はサバ。中には6本ヅノにパーフェクトという釣り人もいて、苦笑いを浮かべている。食べては美味しいサバも内心穏やかではない。

当日は5人が右舷に並んだ
30cm級は当日のアベレージサイズ

船長の読みが的中

仕掛けを入れ替える事3度。「60mを通過した!」、「こっちは底が取れた!」という声が聞こえ出した。するといきなりフワフワとしたヤリイカのアタリが竿先に伝わっている。ようやく着底した仕掛けを大事にシャクリ、出来る限り多点掛けを狙ってから巻き上げに入る。「身切れしない様にゆっくり巻き上げて下さいね」。船長から的確なアドバイスが飛ぶ。最初に仕掛けが上がったのはミヨシ(船首)の釣り人。特大サイズではなかったが、抱卵した30cm級のキレイなメスイカであった。続いて右隣りの釣り人が同サイズを一荷(2尾)でキャッチ。さらにこの流しで再びミヨシ(船首)の釣り人がサバの猛攻をかわし4点掛けを達成。この状況での多点掛けはお見事!そして速い潮の中で少しでも活性の高いイカの群れを探し出した船長の読みが的中である。水深が180m近くまで深くなると流し替え、全員がヤリイカの型を見ることが出来た。中でも絶好調だったのがミヨシ(船首)の釣り人。45cm級の中型も交え順調に数を伸ばして行く。朝から心配顔の船長にもようやく笑顔がこぼれてきた。

見事な4点掛け
良型の40cmオーバー

3尾掛けも達成

その後も場所替えする度にアタリが続き、ポツポツながらヤリイカが取り込まれて行く。速い潮に躊躇していた私もブランコ仕掛けで道具を下ろした。水深は120m、やはり何度か中層でサバにつかまったが、幾度かの入れ替えでようやく底が取れた。すると待ってましたとばかりにイカの乗り。追い乗りを狙って同じタナを探っていると、アッという間にオモリが吹き流されてしまう。そのまま底を取り直し続けたが180mくらい道糸が出てしまったので巻き上げてみると30cm級のメスイカが3尾、ダブルカンナをしっかりと抱いていた。おそらくイカのアタリをとらえてから50mは落とし込んで行ったと思う。それでもイカが外れる事は無かったのはラッキーだった。ダブルカンナの効果を実感した瞬間でもある。

マルイカも交じった
こちらも40cm級

群れの濃さを再確認

仕掛けが底まで落ちればイカが乗る。だが、あまりのサバの猛攻に全く仕掛けが落ちなくなってしまった。「今日は随分サバがうるさいなぁ」という船長の許可を得て、直結仕掛けを投入してみた。途中、サバらしきアタリはあるものの気持ちよく底が取れた。するとフワフワ・グングンとイカの乗りが伝わる。やはりイカに“やる気”はあるようだ。ブランコ仕掛けに比べて少し速めに巻き上げると30cm級のヤリイカが2尾付いていた。しかし問題はその後である。不慣れな直結仕掛けを使いこなせなかった私はイカのアタリはかなりとらえるのだが、全て途中でバラしてしまう大失態。終盤の2時間はほぼイカに弄ばれる形で過ごしてしまった。

竿頭は19尾。マサバは最高のお土産に!

この日は残念ながら名物の特大ヤリイカを拝む事は出来なかったが、船長の苦心の操船のお陰でトップは19尾。私はスソで6尾という釣果。ほぼ一日中うるさかったサバも大型のマサバばかり4尾を選び持ち帰って食べてみた。これが今まで食べた事のない程絶品のシメサバと味噌煮であった。仕掛けをダメにするサバもこの時ばかりは最高のご馳走である。福田稔船長も、「このシメサバを食べたらマグロの刺し身が食べられなくなりますよ」と笑うほどである。

福田船長の熱血指導
ヤリイカの2点掛け

名物の特大ヤリイカはこれからが本番!

さて、この日は小型のメスが中心の釣果だったが、このメスの群れを追って大型のオスが入って来るこれからが本番というわけだ。イカは絶対にいるのは分かっている。今現在突っ込んできている黒潮が離れれば潮も緩み断然釣りやすくなるはず。例年、GWから5月一杯は分厚い“二枚下ろし"のヤリイカが楽しめる時期。また、ダブルカンナを推奨している『福田丸』では、人数が多い時には必ず上乗りが同船してオマツリ解きを手伝ってくれるので安心だ。迫力満点の特大ヤリイカ釣りを味わってみてはいかがだろうか?

バレないように竿先を下げゆっくり巻き上げる

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県銚子外川港『福田丸』
〒288-0014 千葉県銚子市外川町1-10829
TEL:0479-22-5741 定休日:4月~11月の毎月第4木曜日
詳細情報(釣りビジョン)
福田丸ホームページ
出船データ
予約乗合(電話予約)
集合4時
出船4時30分 沖上がり 11時30分
(料金)1万1500円 氷付き
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー