2022年02月24日公開
まだまだ寒さが厳しい2月中旬。大分県南東部に位置する津久見の磯へ、グレ(メジナ)を狙って出掛けた。この時期は海水温が低下し、グレは産卵活動に入って喰いが渋くなる。そんな状況になると、ここ津久見では、数を狙うというよりも一発大物の型狙いとなる。
地着きの大型を狙うには絶好の釣り場
この時期のグレ釣りは潮が通す外海に面した磯よりも、比較的緩い潮になる湾内の磯の方が海水温の低下も鈍いので、地着きの大型を狙うことができる。津久見は湾内に磯釣り場が多く、まさにこの時期には打って付けの釣り場になる。津久見の磯には、昔からチヌやマダイが多く、チヌ釣り場としては大分でもトップクラスの実績を誇る釣り場だ。毎年乗っ込みを迎える4月頃には、連日のように大型のチヌやマダイが釣れる。
さて、この日はグレ狙いなので、津久見湾の出口付近にあたる「ハチミツ」に瀬上がりした。今回お世話になった渡船は津久見の『IG-MARINE』。この日、グレ釣り初挑戦の女性アングラー・田尻さんが同行するので、猪熊船長が足場のよい磯へ案内してくれた。
潮時を考えて一日のプランを立てる
この日の満潮は午前7時30分頃。出船が7時なので、瀬上がりした頃に丁度満潮を迎える。したがって、11時30分頃に迎える干潮までは下げ潮を釣ることになる。北側から流れてくる下げの潮は海水温が下がりやすい。午後からの満ち潮の方が海水温は上がりやすいと予測した。そこで、午前中は深いタナを想定、午後から海水温が上がりだしてから上から下まで探っていく釣りをするプランを立てる。
この日の仕掛けは、竿1号に道糸1.5号、ハリス1.5号、グレバリ4号、ウキは00号をセット。ガン玉はなし。付け餌は撒き餌の中からオキアミを取って使用した。午前中は小型のグレや足元の際付近に見えるカンダイやメバルなどを狙い、午後からの潮に備えて準備することにした。
初挑戦で釣りあげたのは70cm級の“トド”
潮がよくなる午後に備えて、午前中はグレ釣り初挑戦の田尻さんにレクチャーをすることに。まずは実際に釣りをしながら、撒き餌を撒く位置や仕掛けの投入点、ラインコントロールの仕方や餌の馴染ませ方などを指導する。暫くすると、仕掛けの投入から撒き餌の打ち方までの一連の動作がスムーズにできるようになってきた。
目の前にはボラの大群。このボラを釣ってやり取りの練習をすることに。仕掛けを投入してから道糸を張り、ゆっくりと付け餌を落としながらも、ハリスを斜めに張って沈めるよう指導していると、竿先にコツコツとアタリが出た。一旦ラインを送り、再びラインが走ったところで合わせを入れると、がっちりとハリ掛かりしたようだ。右に左にと走られながら重量感ある引きに必死に耐える。竿の角度やリールを巻くスピード、ため方などいい勉強になる。やっとの思いで浮かせてタモに収めたボラは70cm級の“トド(オボコ→スバシリ→イナ→ボラ→トドと呼び名が変わる。「とどのつまり」のトドはここから来ている)”級。田尻さんの仕掛けは竿1.5号、道糸1.75号、ハリス1.75号、ハリはグレバリ5号、0号のウキ。G6のガン玉をウキ下に打っている。初めて釣った魚は“本命”ではないものの、その重量感や引きの強さに早くも感動と達成感を覚えたようだ。
“本命”の潮で“本命”のグレを狙う
干潮の時間を迎えた。いよいよ“本命”の満ち潮が右沖から流れ出し、手前に当てて跳ねた潮が左沖へといい感じで私の前を流れていく。足元にボラの大群用の撒き餌をしっかりと打ち、ボラが手前に寄ってきた頃合いを見て、15~20m沖にグレ用の撒き餌を打つ。仕掛けを全遊動にして、付け餌とハリの重さだけでゆっくりと仕掛けを潮に馴染ませていくと、“からまん棒”にアタリが出るようになった。前アタリがあってからウキがシモリだし、ラインがスッと走ったところで合わせを入れると、重量感のあるグレの感触が竿を伝わってきた。中々の引きを見せ、足元で必死に突っ込もうとするのをなんとかイナしながら耐え、無事にタモに収めた魚は45cmほどで体高のある丸々としたグレだった。田尻さんもビックリしている様子で、仕掛けの投入にも熱が入っている。海中のグレは視認できないが、活性は上がってきたようなので、田尻さんにタナを3ヒロ(1ヒロ=約1.5m)ほどに変えるようアドバイスすると、ウキがスーッと吸い込まれるように入っていく。「ウキが見えるか見えないくらいまで待って、合わせを入れるように」と伝えると、ガッチリと竿に乗ったようで、良型を思わせる竿の曲がりを見せている。先程のボラでのやり取りの経験を生かし、なんとかタモに収めた魚は40cmを切るくらいの良型のグレ。初の良型グレに本人もご満悦のようだ。
私も手返しを繰り返していると、喰いこそ渋いが1投1匹ペースでグレが釣れるようになる。型はすべて35~40cmの良型ばかり。
1時間ほどで2桁釣果
1時間ほどで2桁釣ったところで田尻さんの様子を見ると、ポツリポツリと30cm級後半のグレを釣っている。さらに、いい感じに仕掛けが潮に馴染み、今にもウキが入りそうな雰囲気だ。竿にまで伝わるアタリがあったようで慌てて合わせた。今度はこれまでにないような竿の曲がりで、必死に魚の引きに耐えている。力負けせずに竿の角度に注意しながら寄せてきたグレはデカイ!!魚の最後の抵抗を必死に堪え、無事にタモに収めたグレは40cm半ばの大型。計測してみると43.5cmのナイスサイズで、ビギナーにしては出来過ぎの釣果だった。
当日はアドバイスしながらの釣りだったが、私が33~45cmまでを15匹、田尻さんが37~43.5cmまでを4匹の釣果だった。
津久見の磯はこれからも大型のグレがねらえるシーズンが続く。当日、ほかの磯では、大型のマダイやイサキなどが数多く上がっていたようだ。
釣り人を魅了する津久見の磯の魅力
津久見の磯では、通年グレが狙えるが、春を迎えるこれからの時期はチヌやマダイの釣り場としても有名で、毎年のように60cmに迫るチヌや特大のマダイ、イサキなどが数上がっている釣り場だ。昨年は58.5cmのチヌの実績もあり、これからはチヌを狙っての釣行もおすすめ。
『IG-MARINE』の猪熊博之船長は、フカセ釣りをする人なら誰もが知るプロアングラーで、自らが釣り人だけに細かいアドバイスや、うれしい弁当の配達サービスなどもしてくれる。磯場だけに限らず、沖一文字なども点在しているので、女性でも気軽に釣行することもできる。フカセ釣り初心者の方にもおすすめのフィールドだ。
なお、津久見までのアクセスは、東九州道を南下、津久見ICを降りて直進10分ほど進むと『IG-MARINE』のある長目港に到着する。事前予約をして、釣行の際には必ず救命胴衣を身に着けて釣りをすること。周辺には多くの釣り場がある。どこで釣りをするにしても必ずゴミは持ち帰り、地元の人への配慮を怠らずに、住民最優先で釣りを楽しんでほしい。
施設等情報
施設等関連情報
千怒沖一文字波止渡し: 2,500円/人
出港時間: 6:30~7:00(要問い合わせ)
※料金などの詳細は公式ホームページを参照
この記事を書いたライター
若い頃にはGFGや釣研FGなどで年間大物賞などのタイトルも獲得。釣り人口の増加に寄与するため、地元メディアにも出演して、釣りの普及活動等も行う。
また、釣り具用ネームシール等の販売を通じ、全国の釣り人の輪を広げるために尽力している。