2022年06月21日公開
静岡県・伊豆半島では、例年5月中旬から9月中旬まで磯での夜釣りが可能になり、地元の渡船店も5月7日から夜釣りの渡船を開始した。初夏のイサキを夜間のフカセ釣りで楽しんだ。
午前8時過ぎに出発
5月28日午前7時、目覚ましのアラームと同時に船長に出船確認の電話をかけた。前日の低気圧通過によるウネリが心配だったが、「何とかできそうですよ!」との返事。同行の仲間3人に「出船OK」と迎えの時間をLINEで送った。ものの数秒で返信が来るところをみると、皆この連絡を心待ちにしていたようだ。私も前夜から準備万端で荷物を車に乗せ、出発前のコーヒーで心を落ち着かせた。
今回のメンバーは、磯釣りクラブの仲間である杉崎さん、竹中さん、高橋名人と私の4人(通称、釣れないカルテット)。目指したのは静岡県・下田須崎港『すさき丸』。須崎(特に外浦地区)は西風にめっぽう強く、西伊豆、南伊豆が出船出来ない時の“頼みの綱”の場所である。我々の住んでいる湘南からは3時間程度のドライブ。迎えや昼食休憩を考えて午前8時過ぎの出発とした。11時30分頃に伊豆市の定食店に立ち寄り、昼休憩。ここは天城の郷土料理である鹿肉・猪肉の定食が食べられるのだが…普段食べ慣れないので誰も注文しようとしない。私も天丼で英気を養った。
「赤根島」に渡礁
13時過ぎに港に到着、日中釣りと夜釣りの釣り人で駐車場はいっぱいだ。暫くすると別渡船の釣り人が帰港して来たので話を聞くと「横根は西風が強過ぎ釣りにならなかった。磯でシャワーを浴びて来た」との事。この日の日中は5~8mの西風、夜中から風は収まる予報である。
14時30分に出船。今回は我々を含めて4組。港を出ると強い西風の影響で爪木崎灯台までは大荒れだったが、外浦に近づくにつれて次第に波が落ち着く。1組目は「尾山」、2組目と3組目は「輪島」に渡礁、我々を乗せた船は「赤根島」に向けて舵を切る。赤根島は『釣りビジョン』でもエド山口さんが乗った場所で、メジナ、ウミタナゴ釣りの実績場である。期待を胸に無事渡礁した。
日中の部は思い思いの釣りで楽しむ
“本番”の夜釣りまでは、各自思い思いの仕掛けを組んでいる。杉崎さんはキビナゴのスルルー、高橋名人はフカセ、竹中さんはヌカ切り、私はエギング。開始後間もなく、「竹中さん、釣れてるぞーっ!!」と高橋名人の声が上がった。振り向くと赤い2号竿がひん曲がっているではないか。竿を両手で抱え踏ん張る姿を見て、これはタモ入れの補助が必要だと急いで磯を駆ける。タモを準備して磯際まで行った瞬間、痛恨のバラシ。5号のハリスが歯形と共にプッツリと切れていた。ヌカ切りの詳細はここでは紹介しないが、小サバなどの餌取りが多いこの時期に大物狙いとして実績が高く、前回の釣行でも71cmのタマン(ハマフエフキ)を釣り上げた竹中さん得意の釣法だ。私は、エギングを5投で早々に諦め、そのままのタックルでメタルジグ40gにタコベイトを組合せた仕掛けの2投目、ジャーク&フォールのフォール中にガツンとアタリ。下に突っ込む魚に対し、強引にリールを巻いたが敢え無くラインブレイク。1.75号のリーダーでは太刀打ち出来なかった。その後はPEライン4号に5号のリーダー仕掛けに変えるがアタリなし。フカセ釣りをしていた高橋名人から小サバを貰い、2人で小サバの泳がせで磯際のヒラスズキ、沖目のマダイを狙ってみたが音沙汰なし。結果、日中釣りは釣果らしい釣果無し。夜の部の準備を進めた。
待ちに待った夜の部開始!
私の夜釣り仕掛けは、磯竿2.2号/リール4000番/道糸PE1.5号/リーダー5号/ハリス5号/ハリは上バリに夜光チヌバリの2号、下バリに尾長バリ7号の2本バリ。ウキは自作の管付き「ウキくん TYPE-NIGHT」にこれまた自作のLEDトップをセット、タナ2尋(約3m)の半誘導仕掛けとする。コマセはオキアミ3kg、アミエビ8kg、パン粉2kg、ヌカ3kg。付け餌は生オキアミ/加工オキアミ/白エビのむき身/加工白エビを下バリ用とし、上バリにはイサキの大好物シラスをイメージしたピンテールワームを準備した。まずはウキくんの浮力確認のため足元から始めた。ウキの浮力が00程度である事が分かったので、オモリは付けずにコマセを先打ちし、仕掛けを入れ、追いコマセを打つ。ウキが足元の潮に馴染むと、スッと20cm程ウキが入った。軽く合わせると、ギューッと竿が絞り込まれた。上がって来たのは35cm級のイサキ。私の釣りを後ろで眺めていたベテラン3人は、自身の釣り座へ戻った。暫くは沖に緩やかに流れる潮で、杉崎さん、高橋名人、私の釣り座ではタナ2尋程度でポツリポツリとイサキが釣れる。竹中さんは流すコースが限定されるため苦戦を強いられているようだ。その後、潮が下げ潮に変わる。竿3本程度先に仕掛けを投入しウキを潮に流すと、潜り潮でウキが入り込む場所を見つけた。そこで道糸に強めのテンションをかけてアタリを待つと、コンコン、スーッと道糸が走る。何とも気持ちの良い瞬間だ。サイズは30cm程度。このパターンで7連荘を達成する。その後、私にアタリが遠のくが、隣の竹中さんがコンスタントに釣り始めた。「タナがどんどん深くなってるよ、4尋位」。そうアドバイスを貰ったが、ウキくんで4尋は勝負が遅いので、ここでオモリ負荷1号の仕掛けに変更すると、ウキを消し込む鋭いアタリでイサキを追加する。
高橋名人、竹中さん、私が釣果をあげる中、下げ潮が不利な釣り座の杉崎さんがしびれを切らせて「もう1時間半も釣れてないよー。間に入れてー!」と、高橋名人と私の間に入った。すると、そこから私にはさっぱりアタリが無くなり、おまけにピンテールワームはフグの餌食になり、上バリも餌に変更するが全く釣れない。一方で杉崎さんは爆釣モードに突入しニコニコとイサキを釣り上げている。「なんでぇーっっ!?」。すっかり調子の狂った私は、風も収まったので、後半戦は当初から気になっていた船着け側の釣り座に移動した。今度はウキくんの全誘導仕掛けに変更、上から丁寧に探ってみる。タナが深いことは分かっていたので、余計なテンションはかけずにゆっくりと仕掛けを入れていく。コンコン、コンコンと道糸に魚信が伝わるがアタリが来ない。そこから暫く待つと、スーッとラインを持つ指にアタリが伝わる。どうやら居喰いをしているようだ。食い渋りの際はPEの全誘導仕掛けに分があると思っているが、超ベテランの杉崎さんは元来重仕掛けの名手で、この喰食い渋りでも0.8号負荷の仕掛けで数を伸ばしていた。流石である。手返しは非常に悪いが一流し5~7分程度待てばイサキが釣れるので、この仕掛けで最後まで粘ってみた。餌は4種類準備したが、食い渋りの状況では生オキアミと加工白エビが有効だった。
十分な釣果に満足!この時期のイサキは最高に美味い!
磯上りは午前5時30分だが、運転手の私は4時過ぎに片づけを終えて磯の上で仮眠。どこでも寝られる性分なので、船が見える5分前までしっかりと体を休めることが出来た。皆の釣果は、イサキを1人20~30匹。型は23~35cmでもう少しサイズが欲しいところではあるが、十分な釣果だった。港に戻り、他の釣り人の釣果を聞くと、我々以外はカゴ釣り師だったようで、釣果の良い人は2人で60匹程度イサキが釣れていた。毎年、梅雨時には型も望めるようになるので、今後が大いに楽しみだ。
14時前に帰宅、道具の片づけ、魚の処理、料理を済ませ、17時にようやく“3食兼用飯”にたどり着いた。魚料理も釣りと同じくらい好きだが、悲しき週末アングラーには十分な時間が無かったため、この日は簡単に刺し身とフライ、刺し身の切れ端で漬けを作って終了。それでも家族は「凄く美味しい」と初夏のイサキ料理を楽しんでくれた。これがあるから魚釣りはやめられない!