2022年09月21日公開
夜釣りシーズンも終了の9月中旬、“釣れないカルテット”(磯釣りクラブ仲間の杉崎さん、竹中さん、高橋名人、私)で、静岡県・西伊豆田子の沖磯へ出掛けた。例年、この時期はイスズミ、アイゴの猛攻で、釣果に恵まれることは稀だが、それでも出掛けたいのが磯釣り師の性。“青物”、“根魚”を様々な仕掛けで楽しむ“五目”釣りに挑戦した。
台風のウネリを考慮、絶景の沖磯「三本」に渡礁
田子の沖堤ではカンパチ、イナダ、キメジなど“青物”が連日釣れており、30人弱のルアーマンで満員御礼。その上、釣行当日は台風14号が南大東島の東に停滞、西伊豆にも台風の影響でウネリが出始めていた。そこで、沖磯希望の我々は、船長と相談して足場が高くて比較的安全な「三本」に渡礁することに決めた。港を出て「三本」に近づくにつれて波が立ち始めた。波が低くなるタイミングを見計らって、船長が安全に磯付けして無事に渡礁完了。「三本」は富士山を眺めながら釣りが出来る絶景の沖磯だ。
朝マヅメは“青物”を狙ってみたものの…
「やはりこの時期は“青物”を釣りたい!」という気持ちと、ルアーマンが好調との情報から、フカセ釣り師の私も今回はルアー釣りに挑戦してみた。この日のために新調した10ftのMH(ミディアムヘビー)タイプのショアジギングロッド、リール5000番、道糸PE3号、フロロカーボンリーダー50Lb。ルアーは30g程度のポッパーと40g程度のメタルジグを準備した。
同じく“青物”狙いの竹中さんは、キビナゴのスルルー仕掛け、杉崎さんと高橋名人はフカセ仕掛けでスタート。
「三本」は足場が高いので、思うようなタナとスピートでルアーを泳がせるのが中々難しい。少し足場の低い場所に移動し、表層から中層を意識して、リトリーブ、ジャーク、リフト&フォールを繰り返してみるがアタリなし。事前に動画で勉強して来たが、にわかルアーマンに“青物”が釣れるほど甘くはなかった。この日の海水温は29℃、海中では“餌盗り”達が乱舞していた。
この日最初に竿を曲げたのはベテランの杉崎さん。1号の磯竿を気持ちよく曲げて上がって来たのはブダイ。小型ではあるが煮物用のお土産を確保した。
私の横でスルルーをしていた竹中さんにも強烈なアタリ。2.5号の磯竿で上げたのは、元気一杯のイスズミ。フカセ組のコマセに寄って来た大量のイスズミが、キビナゴにも飛びつくほど湧き上がっていた。
その後は立て続けにダツを釣り上げ、3匹目のダツは1m超えの大物だった。私は“青物”の気配が皆無でダツしか見えない状況から、2時間でルアーを諦めて同じロッドで“根魚”を狙った。仕掛けは六角30号オモリの胴突き仕掛け。ヒラマサバリ13号にキビナゴを付けて足元の根回りを探ってみた。すると1投目に小振りながらアカハタがヒット。「これはイイぞ!」と気をよくして、2投目も同じポイントに入れてみると、コツコツと“餌盗り”が突く感触。しかし、キビナゴの頭だけを残して見事にやられてしまった。その後も色々なポイントに投入したが、“餌盗り”の猛攻をかわすことが出来ない。そこで、根掛かり覚悟で沈み根の際で待っていると、ゴゴゴッと強いアタリの後にドラグが出るような重量感のある引きが来た。強いロッド性能を活かして、ゴリ巻きで上げたのは“尺(約30cm)”に迫る良型カサゴだった。その後、丁度餌のキビナゴがなくなったところだったので、竹中さんと二人仲良くフカセ仕掛けに変更した。
イスズミの巣窟でオナガグレを狙い撃ち!
フカセ仕掛けには、万が一の“青物”に備えて、磯竿1.5号、リール2500番、道糸PE0.8号を用意。ナイロンリーダー2.5号を4尋(1尋=約1.5m)、フロロカーボンハリス1.75号を1尋、ハリは4、5号だ。ウキは自作の「ウキくん 000 TYPE-D」で、タナ1尋半のところに1.5号のハリスを「なるほどウキ止め」の要領で留めた半誘導仕掛け、完全フカセでスタートした。コマセはオキアミ3kg、パン粉1kg、ヌカ2.5kgを準備。
先にフカセをスタートしていた杉崎さんと高橋名人に様子を聞くと、コマセの着水と同時に45cm級の大型イスズミがボイル。その後を追って、35~40cm級のイスズミが競ってコマセを喰い、オナガグレはその後に出てくる状況とか。私もタイミングを見計らって仕掛けを投入するが、正面からの風と当て潮が相まって、コマセと付け餌が簡単にズレてしまう。そうなると付け餌を完全に見切られて、全く釣れない状況になる。そんな難しい状況下で、竹中さんはコマセを2、3投先打ち、オナガグレが出てくる少し前のタイミングで、仕掛けをやや潮上に投入。当て潮の中、仕掛けに張りを作りながら待っていると、ウキ止めストッパーが勢いよく走った。イスズミとは違う素直な引きで海面下に現れたのは、群青色のオナガグレ。サイズはそれほど大きくないが、イスズミの巣窟で釣り上げた30cm強の綺麗なオナガグレに竹中さん、思わず笑みがこぼれた。
杉崎さんと高橋名人も、イスズミと戯れながらも時々オナガグレを釣っている。ところが、私だけイスズミすら釣れない状況。見兼ねた竹中さんから「ここを釣ってみな」と言われたのが、沈み根が入り組む激狭な水道ポイントだった。「こんなところで掛けても捕れないのでは?」と思いながらも、釣れないよりはマシかとやってみた。先ほどの竹中さんの釣り方を真似してみると、イスズミだったがいきなりヒット。中々の大物だったので、レバーブレーキをフルロックで糸を出さずに堪えていると、根ズレでハリスがプッツン。そこでドラグを少し緩めに調整して再挑戦。
ここは沈み根から出るサラシの影響で、ハリスが見えにくくなっているのか、あれほど付け餌を見切っていたイスズミが、警戒心なく喰って来る。ラインブレイクの失敗を反省して、糸にテンションを掛け過ぎないようにドラグとレバーブレーキを使いながら魚を誘導。すると、ハリスは擦れていたものの中型のイスズミを釣ることが出来た。根の激しい場所は強引にやり取りするよりも、多少ハリスが擦れようが、ハリスに余力を残した方がうまく捕れると実感した。
オナガグレの動きを観察して釣り方を考察する
オナガグレの動きを観察してみると、イスズミよりも僅かに深いタナで餌を拾っているように見えた。そこでサルカンの上にジンタンの8号を追加して、やや深めを狙った。イスズミは相変わらず湧いているが、幸い付け餌を見切っているようなので、付け餌はイスズミの層を通過することが出来る。ウキくんにハリスの重みが乗り、ゆっくり沈み始めたところで、道糸を引っ張るアタリ。オナガグレであることを確信。心地よい引きを楽しみながらようやく1匹目のオナガグレをゲットすることが出来きた。小型だったが、苦労して釣っただけに本当に嬉しかった。
その後は、このパターンで30cm前後のオナガグレを釣り続け、気が付けばベテラン3人の釣果を上回っていた。普段の釣りでは2.5~3尋程度がポイントになることが多いため、海中の様子を観察することが中々難しい。しかし、魚が上ずっている状況では、魚の動きを観察し仕掛けを組み立てることが、よい釣果に結び付くことを実感出来た。
この日の海は一日中賑やかで、時折タカベやアイゴも顔を見せ、まだまだ海中は夏といった感じだった。16時に近づいたところで船がやって来た。「南の方からウネリが入って来ているとの情報なので、少し早いですが上がりましょう」と、安全を考慮して撤収となった。
釣果としては、オナガグレ、ブダイ、アカハタ、カサゴ、タカベ、アイゴ、ダツ、イスズミと4人で“八目”釣り達成となった。お目当ての“青物”は不発だったが、この時期は魚種を絞らずに色々な魚を狙ってみるのも楽しい。