2023年04月29日公開
伊豆半島の今冬、メジナ釣りは例年になく厳しい釣果が続いた。釣れないカルテット(磯釣りクラブ仲間の杉崎さん、竹中さん、高橋名人、私)も例外ではなく、苦いメジナ釣りシーズンを過ごした。季節は4月中旬、マダイ、イサキの釣果が聞こえ出した。そこで「今回はマダイとイサキを狙おう!」と西伊豆・雲見の磯に向かった。
マダイの実績が高い「前の島」に渡礁
3月上旬に雲見を訪れた時、60cmのマダイとイサキが数匹釣れた実績から、今回は更に期待が大きい!我々を乗せた船は午前5時30分に出港した。
雲見には大・小約25の磯が点在し、全体的に水深が深い磯が多いため、伊豆半島随一のマダイ釣り場としても知られている。今回は4人一緒に乗れる「前の島」をチョイスした。「前の島」は港から僅か1分の近場だが、平均水深15m、最大水深24mとマダイ狙いには適した充分な水深がある。更に、ここはダイビングスポットとしても有名で、魚影の濃さは申し分ない。しかし、この日の海水温は前日から1℃低下して17℃。更に春特有の“菜っ葉潮”が入り始めており、やや不安の中でのスタートとなった。
マダイを狙ってタナ竿1本半からスタート
この日の潮回りは中潮で、午前6時が満潮、正午過ぎに干潮を迎える。そこで午前中のチャンスタイムにマダイを仕留めるべく仕掛けを組んだ。
タックルは磯竿1.5号、リール3000番、道糸PE0.8号。ナイロンリーダー2.5号を4尋(1尋は約1.5m)、フロロカーボンハリス4号を2尋、グレバリ7号だ。
これに円錐ウキ1号をセット、1号オモリに浮力調整用のG3を追加。タナを竿1本半(約7.5m)の半誘導仕掛けでスタートした。
コマセはオキアミ6kg、パン粉2kg、ヌカ3kgをベースに押し麦も追加。付け餌は生オキアミと芝エビのむき身の2種類を準備した。
前日の低気圧通過の影響で予想以上にウネリが高く、磯際には大きなサラシが発生している。この影響で沖に払い出る潮が流れていた。サラシの先に多めコマセを打って仕掛けを入れた。2、3投流してみたが、アタリもなく付け餌にも変化が見られない。そこで浮力調整用のオモリをBに変更。仕掛けが馴染んだ後にゆっくりと沈ませて、竿2本(約10m)以上のタナを探ってみる。すると、付け餌が取られるようになった。
そこで付け餌を芝エビのむき身に変更、同じタナを探ってみるが同じように餌を取られてしまう。どうやらキタマクラが餌をついばんでいるようだ。サラシの影響で潮は沖に払い出るものの、沖の潮は動きが悪く潮色も悪い。ここで、ウキを自作の「ウキくん 000 TYPE-D」に変更し、磯際狙いに変更した。000浮力のウキなので、カウントダウンをしながら待っていると、竿先にコンッ!とアタリ。すかさず合わせを入れると、小気味よい引きが伝わって来た。この引きは間違いなくイサキだ!慎重に磯際まで引き寄せて魚影を確認したところで、何と痛恨のバラシ。イサキはラッキーと言わんばかりに海中深くに戻って行った。イサキは口元が弱いため早合わせは禁物。またしてもミスを犯してしまった。隣で釣っている竹中さんは「今日は新しい試みを行なうよ!」との事で、フカセ仕掛けに自作のナイロンカゴを装着した「カゴフカセ釣法」で、竿2本程度のタナを狙っていた。
時刻がベストタイムの午前9時を迎えようとした時、「来たぞーっ!」と隣から大きな声が聞こえてきた。竿を引っ手繰るようなアタリ、大きく竿を曲げて上がってきたのは、35cmのよく肥えたイサキだった。脂が乗って美味しそうなイサキに竹中さんもご満悦!
後半戦はマダイからイサキ狙いに変更
竹中さんの情報によるとイサキのタナは竿2本以上との事。竹中さんの隣でフカセ釣りをしていた高橋名人も深ダナを狙うべく、00浮力のウキにジンタンを段シズに装着し、遠投して沈め探り釣りでイサキを狙っていた。
時刻が午前11時を迎えた時、高橋名人にも待望のアタリ!1号竿の柔軟性を活かしてイサキをゲット。しかし皮一枚のギリギリのハリ掛かりであり、喰いはそれほど立っていないようだ。
途中から通常のフカセ仕掛けに変更した竹中さんが、この日2匹目のイサキを釣り上げたところで、我慢できずにイサキ狙いの仕掛けに変更する事にした。ハリスを4号から1.7号に、ハリを7号から5号に変更。しつこく磯際を狙っていたが、アタリもないので回収しようとしたところ、何やら重たい感じが竿に伝わってきて、ようやく上がってきたのはウツボだった。
イサキを釣った2人が遠投をしていたので私も沖狙いに変更。カウントダウンで約3分が経過したその瞬間、左手で掴んでいたPEラインがスススーッと走った。少し間を置いて合わせを入れると、重量感のある引きが伝わって来る。「これはいいサイズだ!」。途中根に張り付かれるものの何とか引き離し、時折見せる突っ込みをいなしながら少しずつ寄せてくる。「良型のメジナか!?」と期待が膨らむ中、海面に姿を現したのは45cmに迫るサンノジ(ニザダイ)だった。
最後の最後に強烈なアタリが…
干潮の時刻を過ぎた午後1時過ぎ、ウネリもようやく収まり、磯際から素直に沖に流れる緩い上り潮に変わった。相変わらずタナが深いので、勝負を早くするべくウキとオモリを3Bに変更し、竿2本程度のタナを流すとアタリが出始めた。アタリはウキの沈む速度が少し変化する程度で合わせを入れたが空振り、ハリはずれにより2匹連続で逃してしまう。
竹中さんも同様に空振り、ハリはずれを連発していたが、残り時間30分のところでついに杉崎さんが沈黙を破った。「“グンッ”とアタリが来たよ!」。30cmを超える居着きのイサキを釣り上げた。写真撮影を終えて急いで釣りを再開するが、その間に潮が速い上り潮に変わり、仕掛けが入りにくい状況になってしまった。G3のオモリを追加してウキが引き込まれるポイントで暫く待っていると、この日最大の強烈なアタリ!!それと同時にジージー!と道糸が引き出される。しかし、ここはドラグ性能を信じて竿でためていると、ようやく魚の動きが止まったので反撃開始。時折首を振るような動きから「もしかしてマダイか!?」と期待感が高まる。重量感たっぷりの引きを楽しみながら海面付近まで上げると、赤褐色の魚体が見えた。「コブダイだーっ!」。駆けつけた竹中さんにタモ入れを手伝って貰ったところで、時刻が午後2時を迎え、後ろ髪を引かれながらの片づけとなった。
“次回こそは”夜釣りでのリベンジを誓う!
この日はどこの磯も苦戦したようで、アオブダイやベラなど“本命”以外の魚しか釣れない釣り人が多かったようだ。“釣れないカルテット”はベテラン勢の活躍により5匹のイサキをゲット。「今日の状況では上出来ですよ!」と船長からお褒めの言葉をいただいた。
残念ながら今回は満足のいく釣果には恵まれなかった。しかし、伊豆半島では5月から夜釣りが解禁されるため、次回はジャンボイサキを狙った夜釣りでリベンジを果たしたい。