2023年08月17日公開
今年もまた「アユの桃源郷」へと足を運んだ。安房峠を越えて向かったのは昨年絶好調だった岐阜県は奥飛騨の高原川水系。何やら今シーズンは一味違った楽しみがあるとの事。夏の川を彩る飛騨のアユ達に翻弄されつつも、感動のストーリーが待っていた。
高原川釣行は上流の天気を要チェック!
昨年初めて訪れて以来、すっかり高原川のファンとなった私。今年も待ちわびていた高原川釣行が叶った。ただ、近年厄介なのが「ゲリラ豪雨」だ。どこからともなく湧き上がる雲は予想が付かない。特にここ高原川は、神岡の町に雨が降らなかったとしても、穂高岳や平湯方面で雨が降ってしまうと、増水・濁り、なんて事も多々ある。山の天気は変わりやすく、これが中々予想困難なのだ。今回も穴が開くほど天気図を見ての出発となったのだが…去年の初釣行時同様、夜明けの高原川は真っ白に濁っていた。「あ〜、ゲリラ豪雨よ、今年もか〜」。しかし、途方に暮れた昨年の私とは違う。何度も高原川に通い、こんな時でも支流の双六川は釣行可能な事を今年は知っていた。
どこまでも澄み渡る双六川。金色に光を放つ大アユ出現!
予想通り、双六川にはなんとか濁りが入らず釣り可能!早速1年振りに『オトリ屋もんじろう』へ。「ただいま!高原川!」。ここへ来るとそんな思いになってしまう。今回もポイントを丁寧に教えて貰い、早速双六川へと車を走らせた。
眼下に見える双六川は、相変わらずエメラルドグリーに澄み渡る清流だった。合流点付近は混雑していたので、最上流のポイントへ向かう。大石が点在してトロや淵、瀬が続く渓流相のポイントである。因みに、透明度が高いので今一深さが分かりにくい。要注意だ。そして、ここにはもう一つ“歓迎されざる者”アブも多く見られる。虫除けは必携である。
「デカイぞ!」と興奮の声!
早速、橋上の大石に囲まれた段々瀬からスタート。オトリアユを石裏の緩い流れへ。たまに反応はあるもののハリ掛かりせず。そんな時下流へ入った相方から着信が!「デカイぞ!」と興奮の声。釣れていない私には実感なしである。
大石を越えては竿を出しという中々ハードな時間が続いた。「ハリが合っていないのか?」。しかし、ここで“もんじろうさん”の言葉を思い出した「竿抜けを狙って」と。駐車ポイントから近いポイントは皆竿を出すはずだ。そこで覚悟を決めて、大きく下流に移動。大きい深い淵があり、これ以上遡行は不可という地点まで辿り着いた。流心の流れの際へ、大分お疲れになったオトリくんを向かわせる。
すると不意をつかれた。ドッキューン!一気に目印は川へ引き込まれ、一気に流れへと持って行かれた。「なになに?これ何?」。竿を持つだけで精一杯。竿が折れるんじゃないかと心配になる程だ。「逃してなるか〜!」。両手で耐える。焦らず焦らずと言い聞かせていると、何とかオトリアユが顔を出した。掛かりアユは見事な背掛りだ。中々水を切れない。掛かりアユは力の限り走る。これ以上下がると一段下に落ち、きっと取れない。抜くしかな〜い!竿を一気に突き上げる。何とか無事ネットイン。「デカイ!」。体高があり重量も凄いのだ。美しいその大きな魚体に暫く見惚れてしまった。ここで相方に電話を!「デカイぞ!」と興奮返しである。(笑)
竿の入れにくい場所にオトリを出すと連発!あまりのアユの大きさに仕掛けが飛び、掛けてはドンブリでなかなか数は増えないが、“今季1”のビッグアユとのファイトに明け暮れた。夏の日差しの中、清流でのビッグファイトが忘れられぬ夏の日になった事は言うまでもない。
2日目は本流復活!ビッグアユ登場だ!
翌朝。目を覚ますと、昨日の濁りが嘘のように復活してるではないか!今日もお世話になります“もんじろうさん”。上流上宝方面のポイントを教えて貰い、レッツゴー!
復活した本流には多くの釣り人が戻って来ていた。混雑を避けて、今日も大きく上流へ。段々瀬が続くポイントで白泡狙い!川を切れば(渡れば)大きな魚体が走る。ここのアユも大きそうだ。昨日の反省を生かし、仕掛けをワンランク強いものに替え、ハリも大き目を選んだ。
河原は大石ゴロゴロで足にきます!腰にきます!今日も竿抜け目指して歩くぞ〜。ひたすら下流の瀬を目指して歩く。瀬の落ち込み白泡の中では反応バリバリ。反応のあるところで粘ればガッツーン!である。
そして、今日もタモに収まるアユ達は型揃い。数を狙うには足を使わなくてはならないが、アユがいるところではハッキリとした反応があり、お手本のような強いアタリでハリをさらっていく。何とも気持ちの良い釣りを味わわせてくれるのだ。これぞ“高原アユ”!
迷わず行こう!行けば分かるさ高原川
今年の高原川は一味も二味も違う!アユがデカイ!とにかくデカイ!特に追星が美しく、何より香り高き“美アユ”である。全国各地様々な河川を釣行して来たが、ここのアユの香りの高さはトップクラス!アユがタモに収まった瞬間スイカの香りが漂ってくる。勿論味も素晴らしい。
現在は垢腐れ、しかも釣り荒れしている場所も多いが、一雨きた後には、このビッグアユの入れ掛かりが待っている事だろう。緑輝く山々に囲まれた清流には蝉の声、鳥のさえずりのみ。静かなる清流で忘れられぬ1匹に出会い、忘れられぬ夏の日を。胸がスッとする癒しの釣り時間が待っていてくれるはずだ。行けば分かるさ高原川!