2023年09月03日公開
遂にこの日がやって来てしまった。私の夏休みも今日が最終日だ。締めの釣行に選んだのは、富山県が誇る一級フィールド「神通川」。大河川も大アユも決して得意ではないが、私にはアユを掛けながら、どうしても見たい景色があった。
空港前ポイントでダブルの歓喜!
朝、どこのポイントへ入ろうかと悩んでいると1通のメールが…。夏休み初日を共に楽しんだアニキからだった。「今日、僕は神通川に来ています」。なんと!すぐさま合流することに。その場所は兼ねてから私が憧れていたポイントだった。
「何というラッキー!アニキがいてくれるのなら安心だ」。オトリと日釣り券を買い、早速釣り場へ。この日は水位が下がっていた事もあり、私が想像していたよりもハードな釣り場ではなくひと安心。川を見ると満員御礼!川に2列3列と釣り人が並んでいる。それだけの人に応えてくれるアユがここにはいるのだ!
「本番は午後から。午後に向けて、いかに午前中に元気な野アユをスットクしておけるか」。これがアニキからのアドバイスだった。釣り方はまさかの立て竿、上飛ばしが有効とのことだ。先日の庄川同様、オトリが少しでも弱れば掛からない。オトリ命だ。アニキのアドバイスを胸に、いざ川へ!
まずは陸からヘチを狙って丁寧に…。すると、下流の相方がすぐさまアユを掛けた。しかし、痛恨のバレ!「フフフ、やっちゃったな」(笑)。「バレはだめですよ」とアニキに言われたばかりなのに。よそ見をしていると、私にゴン!ズバーン!重みのあるアタリが。「キター!」。この日が初おろしの大鮎ロッドが大きくしなった。私は絵に描いたような、あたふたっぷりだ。(笑)
慎重に寄せて取り込む事にする。これがあとちょっとというところで、ラインに手が届かない。思いっきり手を伸ばし、掴んだラインの先には「デカーーー!」と叫んでしまうアユが!「これが神通川か〜。感動〜、もうこれで帰れる」(笑)。
いや、私にはもう一つ目標があったのだ。「飛行機が見たい!」。雑誌でしか見た事のない、神通川でアユ釣りをする人々の真上を通る飛行機を見たいのだ。
アユの写真を撮っていると、アニキの「後ろ〜!」の叫び声が!振り向くと、想像以上の迫力で飛行機が川を横切って来た。ここでもあたふたカメラを向けて撮影成功。「わ〜すごい!」とあまりにはしゃいでいた私に、対岸のおじさまが笑顔で「飛行機見られてよかったな〜」と手を振ってくれた。釣ったアユに歓喜し、飛行機に歓喜。幸先の良いスタートとなった。
オトリが変わりさえすれば大アユ連発!
とりあえず目標を達成し、やっと落ち着いて釣り開始。釣ったアユを放つと手元からものすごい勢いで泳ぎ出した。竿を立て上飛ばしに。すると一定の速度で泳いでいたオトリが急に走り出した。その瞬間である、ゴン!ズバババーン!強烈な引きがキター。これはさっきよりも重い。これまたゆっくり寄せて来て取り込み成功!
「デ、デカイ!」。体高がある23、24cmのアユだった。あまりにも立派すぎて、オトリに使って根掛かりしたら…と思うと、観賞用に取っておきたくなるほどだ。でも使おう。アニキに使いなさい!と叱られそうだ。
ここからが凄かった!オトリをうまく循環できたこともあり、“ズバーンズバーン大アユ連発!”。釣れてくるアユはどれも半端ない引きだ。こりゃ〜凄い!竿が気持ちよく曲がる。アユとの引き合い、そしてやり取り。この上ない楽しい時間だった。少しアタリが減ったのでランチ休憩を挟むことにした。さあ〜活性の上がる午後の時間がやって来るぞ!
皆、午前中に釣った元気なアユを携えて川へ。せっかく遠路はるばる神通川に来たのだから、午前中とは違うポイントに入ってみたい。午前中よりも下流の瀬肩、左岸チャラ瀬へ。
アユが跳ねている。期待が高まる中、オトリを放つ…が、反応がない。暫く粘ってみるもののオトリは弱るばかり。「やっぱりトロ場なのか?」。もう一度トロ場に移動してチャレンジだ!すると上流にいた相方が入れ掛かりを見せつけてくるではないか。
「いや〜掛かるね〜。ひと流し1匹ペースだ」。私も引き舟からエースを出動させる事に。頼むぞ!と願いを込める。沖に向かう途中でズバババーン。“キター!気持ちいい〜!”。グイーンと竿がしなる音が聞こえるようだった。タモに収まったアユは、今日一番の良型アユだった。太い!このアユを放つとまたしてもズバーンだ!ここから5連チャン。こうしている間にも上流の相方、対岸のアニキ達の竿も曲がっていた。
アニキの言う午後の本番が始まったのだ。川が赤く染まる夕暮れまで存分に大アユに遊んでもらう時間は続いた。大アユの引きに堪えた腕はすっかり筋肉痛に!こんなに嬉しい筋肉痛があるだろうか。2023年夏やり切ったり!竿をたたみ、持ち上げる引き舟はズッシリとした重量感だった。
どんな日も、どんなアユも、私達の夏を楽しませてくれた!
長いようであっという間だった夏休み。楽しい時間は早く過ぎ去ってしまう。台風やゲリラ豪雨と、計画通りの旅程ではなかったが、これもまた旅の楽しさの一つであろう。釣れる日も釣れない日も、小さなアユも大きなアユも私にとってはかけがえのない楽しい夏の日々となった。
夏休み最終日、茜色に染まった神通川の空を見上げていると、この夏の思い出が走馬灯のように思い出された。まもなく秋。腹に卵を蓄えたアユ達が最後の輝きを放つ季節がやってくる。さあ、アユ釣り師達よ!最後の力を振り絞るアユ達に備えようではないか。