2023年09月10日公開
今回は、茨城県・日立久慈港『弘漁丸』から、一つテンヤ・マダイをお届けする。極細PEラインや細めのタックルを使い、マダイと一対一の勝負が楽しめる。更に高級“ゲストフィッシュ”も多彩だ。厳しい残暑の中でも良型も姿を見せ出し、茨城の海は少しだけ秋の気配。ビッグファイトを期待して日立久慈港に向かった。
アクセス
日立久慈港には 常磐自動車道・日立久慈ICで降りて約10分。港に着くと手前側に船が着いているのでその前で待機。集合時間になると船長、女将さんが到着し釣り座をクジ引きで抽選するスタイル。グループなどで行く場合は事前に相談すると良いだろう。荷物を下ろしたら港内に釣り人用の無料駐車場があるので車を移動する。
タックル
タックルは、一つテンヤ専用の竿が必要。極細PE0.6~0.8号の道糸を使い軽いテンヤを沈めて行く。感度も必要だがフッキングパワーも必要。またテンヤをシャクリ上げたり、落とし込んだりする操作を行うので長目の物が基本。
竿の長さは2.1~2.4m、中型スピニングリール、先糸はフロロカーボン3号前後を1.5mほど使用、テンヤは様々なタイプが有るが5~10号を状況に寄って使い分ける。今回、誘導式を使う釣り人が多かった。また潮が速く、マダイが浮いている場合は潮に乗せ易い「タイカブラ」も有効だろう。餌のエビは硬化剤で崩れ防止をすると釣果アップも期待できる。
細かいセッティングが鍵
船長の小泉大輔船長は、様々な釣りに精通しており、『JF茨城県漁業研究協議会』の副会長だが、気さくで優しく話し易い人だ。船長が取材告知をしてくれていてほぼ満員。撮影だけになるかと思いきや「山口さん釣りしなよ」と嬉しいお言葉。一息ついたらお言葉に甘える事にした。
餌が配られて、そこにおしぼりも。こういう事は、初めて来た人も、ビギナー、ファミリーも嬉しく感じるはずだ。午前5時を廻り朝焼けの中、日立久慈港を離れ、航程約40分の久慈沖へ。テンヤの重さを釣り人に聞いて見たところ、5号から12号と幅が有った。テンヤの形状や竿、道糸とのマッチングで変わるのも面白い。また、左舷、右舷、潮先、潮下でも効能が変わるのがこの釣りのカンドコロ。
ポイントに到着してスタート。水深は約20m。底から1mから3mに反応が有るとの事。すると直ぐにアタリが有り小型ながらマダイがあちらこちらでヒット。ただし、バラシも多く、各釣り人、悶絶しながらのスタートとなった。アタリ自体は多く、型は選べない物の楽しい時間帯が過ぎて行った。
高級“ゲストフィッシュ”も登場
アタリが少なくなると船長は水深の深い場所に変更。海底まで27m。この釣りの特徴として、通常の船釣りならオモリの号数指定が有るが、自分の釣り方に合わせた号数で狙える所が面白い所。
左舷大ドモ(船尾)でビッグファイト!上がって来たのはヒラメ。無事ネットイン。夏のヒラメは肉厚でパワーも有り食味も最高。日立久慈港はヒラメ釣りとしても有名なエリアなのでこれからのシーズンが楽しみだ。
その間もマダイのアタリは途絶えず時折良型らしきファイトが有る物の外れてしまう事も多かった。すると右舷側でも強烈な引き。道糸も竿も細いので実にスリリング。上手くコントロールして上がって来たのは良型イナダ(イナワラ)。左舷胴の間(中央)でもヒット。突然の突っ込みも上手くかわして良型マダイをキャッチした。水深が浅くマダイも走るので釣り味は最高だ。
その他、ショウサイフグ、カンダイ(標準和名・コブダイ)やカサゴもヒットして賑やかな船上。因みにカサゴはウッカリカサゴでは無く、本カサゴ。この辺も色々調べてみたい。興味深い部分であった。
良型マダイヒット
アタリが少し遠のき、私も参戦してみた。和竿にテンヤ8号をセットしてスタート。テンヤが着底する感覚を確かめながら修正していく。暫くアタリが無く、出来るだけスローにして喰わせる間を作る事にした。テンヤを5号まで落として、付け餌のエビのサイズも大きくして、沈降速度をギリギリまで遅くすると…当たった!フッキングも決まり、和竿独特の調子で引き味を楽しみながら無事マダイを上げる事が出来た。
この辺のセッティングは潮上、潮下でも変わって来る。今回の差は2、3号程度。潮回りで順番に船の向きを変えてくれるのでフィーリングに違和感が有ればすぐに交換したい。その際、餌は取り付けた状態にして置くと手返しがアップする。底付近から長い和竿を活かしてシャクリ上げ、長めのストロークで落とし込むと細かいアタリからヒット。
トルクの有る力強い引き。「んっ、何処かで味わった引き?」。姿を現したのはアイナメ。お隣でも「大型マダイか?」と思いきや大型ウマヅラ。最近は専門に狙えないかと話題のターゲットだ。右舷で「これは!」と期待出来るやり取りが行われていた。
時折、激しい引きで道糸が出されていく。上がったのは2.2㎏の良型マダイ。このクラスになると浅瀬の為、引きもワラサに近く油断出来ない。
最後までマダイのアタリは続き午前11時に沖上がりの時間を迎えた。トップは15匹、良型も交じるので、是非シンプルな道具でビッグファイトを楽しんで見ては如何だろうか。