集合時間は午前5時30分、5時少し前に船宿前に到着。案内に従い船宿から50m程先の入り口から港に下りて停泊中の船の前に駐車する。既に釣り人の車で一杯だ。受け付けを済ませ支度をしていると停泊中の船にライトがつけられ皆が船に乗り込む。準備ができた6時少し過ぎ、片舷5人ずつでの出船となった。

航程30分程で城ヶ島西の最初のポイントに到着。船のエンジンがスローダウンし、ポイントを探索した後、バックギアを入れたエンジン音と共に「どうぞ、170m！」という船長のアナウンスで皆いっせいに仕掛けを落とす。しかし、しばらく流したものの不発。1時間で城ヶ島南側の水深185mのポイントへ移動することとなった。すると、右舷ミヨシ（船首）で1杯目のヤリイカが上がった。「底で掛かったよ！」と釣り人が教えてくれる。

その日の状況にもよるが基本的にヤリイカは底で掛かることが多いため、思い切ってツノの数を少なく（4、5本）するのも一つの戦略かもしれない。着底までのスピードも速くなり、感度も良く、手前マツリなどのトラブルも少なくなる。また、巻き上げ途中にイカが乗っているか否かを感じる“乗り感”についても、ツノの数が少ない方がわかりやすい。

この日は北風予報。風は冷たく時折小雨も降ったが、城ヶ島沖のポイントは潮が速過ぎず波も穏やかで釣りやすい状況。しかしながら、どうにもイカが乗ってこない。9時を過ぎるまで沈黙が続いた。

そこで船長から「沖へ行くよ」とのアナウンス。風予報だと沖は荒れていることが予想されるが移動後に期待。40分程で洲崎沖のポイントへ到着。やはり沖はウネリが高く海が悪い、立っているのがやっとだ。

「潮が速いから１投だけね。水深200m、タナは底だよ！」の合図で釣りをスタートする。しばらくすると電動リールの巻き上げ音が響き、やっとイカが乗り出した。ところが、ウネリが高くてバラシが続出。なかなか船縁まで上がって来ない。また、サバにも邪魔されたりと我慢のタイミングであったが、それでもスルメイカの多点掛けに加えて、ポツリポツリとヤリイカの顔も見られた。海の状況は相変わらず悪いがどこも同じような状況らしく、しばらくすると周りに船が集まりだした。

厳しい状況の中、ブランコ仕掛けでヤリイカばかりを上げている方の釣り方をじっくり観察させてもらった。投入後、着底直前に巻き上げ、レバーを一瞬倒して電動リールの自動糸送り機能オフ。その後はサミングでゆっくりとオモリを落とす。着底したら糸フケをとり、ふわっと静かに大きくしゃくってアタリを見る。アタリがなければオモリをストンと落とすの繰り返し。タナは船長の指示通り底を中心に狙っている。この方は180㎝前後の長めで柔らかい竿を使用していた。ヤリイカは、ソフトな誘いと小さなアタリを見極める〝間〟が重要かもしれない。

『栃木丸』では、イカの釣り方を親切に教えてくれる「イカ釣り教室」を開催しているので初心者にも安心だ。今回はベテランのお父さんに誘われて釣り初めての娘さんがカップルでチャレンジしにきていた。子供の頃にお父さんと釣りをした記憶はあるが、大人になってからは釣り自体が初めてという娘さん。婚約者の方と共に、お父さんからのレクチャーを受けながらのイカ釣りだ。電動リールの使い方から投入、誘い方、投入器への道具の仕舞い方など、初心者にはなかなか難しい釣りだが、戸惑いながらもしばらくすると一人で一通りのことが出来るようになっていた。

この日は生憎の天気とイカの乗りも厳しい状況だったが、流石はベテランのお父さん。９杯で竿頭！“お土産”もしっかり確保しつつ、親子で釣りが楽しめたようだ。

本番はこれから！
投入器を使ってイカヅノを投入するという、一般的な魚釣りとはちょっと趣の異なるヤリイカ釣りだが、これからベストシーズンを迎える！ベテランからビギナーまで楽しめる釣りだし、何より釣れれば最高の食味が味わえる！ぜひ、チャレンジしていただきたい！