2023年12月14日公開
千葉県・大原沖のフグが連日釣果情報を賑わせている。11月末の竿頭50匹前後から始まり、12月に入ると“定量”と呼ばれる持ち帰り規定数の80匹を数多の人が達成する早上がりを3日連続でマークする大爆釣。この好機に乗り遅れまいと、師走のフグ祭りに湧く大原港『敷嶋丸』へと駆けつけた!
集合は船着場へ午前5時までに!
大原港へは、首都圏中央連絡自動車道・市原鶴舞ICを降りておよそ40分。集合は「船着場へ午前5時まで」とのことだったが、4時には殆どの予約者が駐車場に出揃った。初めての際は船宿HP・アクセスに詳しい説明があるので確認を。
現地に到着したら『敷嶋丸』の看板を掲げた東屋にある座席ボードから番号の書かれたキャップを取って釣り座の確保。4時過ぎに灯りが点いたら軽トラの荷台で乗船名簿の記入と乗船料の支払い、餌の冷凍エビを購入する。乗船して釣り座に道具を運び込んだら、餌を解凍しつつ仕掛けをセット。釣り場が港から近いので、付け餌の下ごしらえ(詳しくは後述)は出船前に済ませて置きたい。かくして出船準備は滞りなく整い「第一敷嶋丸」は5時10分に出船した。
釣り場まで航程10分、1投目からアタリ!
日の出前の暁暗の中、釣り場までは僅か10分程。放射冷却で冷え込む時間帯だけに、走る距離が短いのはありがたい。大原沖の水深8m付近で船長のアナウンスを合図に期待の第1投。最初に竿を曲げたのは右舷胴の間(中央)の市川さん。明確なアタリを合わせ、サイズこそ控えめながらも“本命”のショウサイフグ。幸先の良いスタートを切ったが、何故かフグたちはご機嫌斜めで後が続かず、左舷で同サイズが1匹と、大オモテ(船首)で竿を出した上乗り役の山本元次郎船長が2匹を取り込んだのみ。前々日までの大爆釣はどこへ行ったのか、船長は細かく移動を繰り返しながらの拾い釣りで、活性の高い群れの捜索が始まった。
辛抱の釣り、当たれば良型!
大原沖から太東沖までの水深8m以浅の砂地や根周り、根の上を捜索しながらの釣り。この釣りではサイズアップして中〜大サイズの個体が上がり始め、派手さこそないもの、魚桶は着実に充たされて行った。
青みがかって見える背中に白い水玉模様のショウサイフグをメインに、これと良く似たコモンフグは背中が褐色で腹側の尻ビレが黄色い。また、岩場で釣れる全身に突起があり、ヒレの色が濃いヒガンフグ(通称:アカメ)と、3種のフグが上がっていた。さらに昨今では判断の難しいハイブリッド種も居るようで、フグの選別や処理には言うまでも無く免許が不可欠であることを痛感する。地方によって呼称もまちまちで、それぞれ有毒部位も異なるので、素人調理は厳禁と今一度強調しておきたい。
遂にホットスポット発見!!
様々な釣り場を巡って船は灯台と地層を臨む太東沖へ。「根掛かりに注意して、仕掛けを海底から少し上げて」のアドバイスでスタートしたこの釣り場では、あちらこちらの釣り座で竿が曲がり、立て続けに魚が取り込まれた。しかも良型中心のホットスポット。仕掛けを海底に置いておくとたちまち根掛かりしてしまうものの、カットウバリのサイズを小さくしたり、短い方の1本バリにする等の工夫で障害物の合間を果敢に攻め、手の合う釣り人から釣果を伸ばして行った。
船長に訊くカットウフグのコツ
今期のフグについて、山本幸夫船長に訊いた。
「いつもは11月くらいで止まっちゃったりするけど、今年は12月入ってからも良かったんで、まだまだ良い所もあると思います。根の中に入ってますけどね」
──ビギナーの方へのアドバイスやコツは?
「空合わせはした方がイイ。アタリ待ってても良いから、空合わせはする。それで常に糸は張って置いて、糸を弛ませない。しゃくった時もあんまり大きくしゃくらずに、しゃくった後、糸を弛ませない」
──空合わせのタイミング、見つけ方は?
「周りを見てて“いっぱい釣れてきたな”と思ったらちょくちょく空合わせする。“釣れてないなぁ”と思ったら、ちょっと置いておいてみたり」
フグ釣りの基本にして一生モノのテクニック、これは覚えて置きたい。
加えて、乗船中は船長が海底の様子と釣り方のアドバイスを釣り場毎にアナウンスしてくれるので聴き逃さないよう心掛けたい。
また、外房のフグ釣りと言えばエサにアオヤギを使用するのが定番だったが、近年は品薄で冷凍エビが用いられている。餌バリへの付け方を船長に見せて貰ったので、画像とキャプションをご覧頂きたい。
釣って楽しく、食べて美味しい!
かくして、この日の竿頭は合計18匹のフグを釣った大久保さん。みなさんおおよそ10匹前後を取り込んでいて、型も良いので“足るを知る”には充分な釣果。ヒラメやカサゴ、ニベにスミイカなどのゲストフィッシュもクーラーを賑やかせ、笑顔の沖上がりとなった。
釣れたフグは“ふぐ処理師免許”を持つ船宿スタッフによって可食部分のみの棒身(身欠き)にして貰えるので、帰宅後の調理もカンタン。刺し身は勿論、鍋ダネにしても、一夜干しにして焼いても、唐揚げ、天ぷら、雑炊にしてもその美味しさは折り紙付き。テクニカルな釣りの楽しみと、食べて美味しい食卓での楽しみ。この好機に大原のフグ釣りを是非お楽しみ頂きたい。
※ヒガンフグを“アカメフグ”、“アカメ”、“メアカ”などと呼ぶ地域がありますが、標準和名でアカメフグとヒガンフグは別種です。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:1万円(餌別・氷付き)
餌:1パック500円(通常1日2パック程度)
集合時間:午前5時までに船着場へ(予約時に確認を)
出船時間:準備が出来次第
貸し竿:あり(予約時に確認を)
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他