2024年01月05日公開
ようやく冬らしい気温になって来た関東地方。寒さが楽しみを連れて来る釣り物と言えば、海水温の低下と共に身が厚く重量も増して、味覚もアップする“寒ビラメ”。今年も12月1日の解禁日から大物が上がり、数も釣れているとの情報をキャッチ。茨城県は日立久慈港『大貫丸』を訪ねた。
乗船までの段取りが安心安全!
日立久慈港は、常磐自動車道・日立南太田ICからおよそ15分。港前にコンビニエンスストアがあり、ここで温かい食べ物を買ってから港内へ。集合は船着場に午前5時。早めに着けば船の近くに車が停められるので、集合時間まで食事で身体を温めながら、船に灯りが点くのを待つ。
やがて両船長と女将が到着して、船と受け付けの支度を始める。まずは乗船名簿に記入して、予約順に割り振られた座席表を確認する。乗船料の支払いや乗船は5時10分頃からこの番号順に行う。これからの時期、日の出前の凍ったデッキは滑りやすく危ないので、大船長、若船長、上乗りさんの3人が乗船や道具の積み込みをマンツーマンでサポートしている。この受け付けから乗船までの流れが非常に安全かつスムーズなので、乗船の際は受け付け開始前に席番号の確認をお忘れなく。
かくして出船前の準備は滞りなく整い、定刻の5時30分に「第5大貫丸」は出船した。
スタート間もなくアタリ!
夜明け前の暁暗の中、船はゆっくり進んで日立沖の釣り場に到着。水深24m、暗闇に目を懲らすと長い防波堤が見える沿岸の障害物周り。船長から「オモリを引き摺らないように」と「釣れたら声を掛けて」の案内があって投入の合図。
暫しの沈黙の後、船中最初に竿を曲げたのは左舷トモ(船尾)の中村さん。取り込まれたのはマトウダイだったが、再投入して再びアタリ。タモに収まったのは待望のヒラメ。船中の期待は高まった。
やがて空が白み始める頃、ミヨシ(船首)から次々と竿が曲がる“時合い”に突入。船長と上乗りさんがタモ入れに奔走するが、追いつかないほどの喰いっぷりで船上はにわかにヒートアップ。雲間に太陽が顔を覗かせるまでの暫くの間、緊迫と白熱のひとときを楽しんだ。
この喰いが落ち着いた後も、流し毎にあちらこちらの釣り座で竿が曲がり「良く釣れてるなぁ」と感嘆する。本番はまだまだこれからだろうが魚のコンディションも良く、この海域のポテンシャルには驚かされた。
美味しい“ゲストフィッシュ”図鑑
この釣りの隠れた楽しみのひとつに、ヒラメ以外に釣れてくる“ゲストフィッシュ”が挙げられる。掛けた後の釣り味が楽しいマトウダイは、食べても美味しい。春に産卵を控えた冬場は特に美味で、カルパッチョやムニエルにするほか、アクアパッツアにすると見た目もインパクト大で頭部も無駄なく味わえる。
またこの日も岩礁帯で良く釣れていたカサゴ。煮付けたり唐揚げにするのが定番だが、開いて塩焼きにしたり、味噌汁の具にしても美味しい。大型の個体は刺し身も試して頂きたいが、下処理の後、何日か冷蔵庫で寝かせるのがお勧め。
そしてこの魚も常磐エリアのヒラメ釣りでは定番のゲスト、クロソイ。釣れたら左側のエラを切って血抜きをすると身が美しく日持ちするようになる。煮付けたり鍋ダネにするのが定番だが、塩焼きにしても美味。
往々にしてイワシを餌に釣れる魚は押し並べて美味しい。この他にもマゴチやアイナメも釣れるとのことなので、偶然の巡り会いを楽しみに、釣れたら大事に持ち帰りたい。
これだけ釣れてて釣果の谷間、今季も期待大!
かくして、この日は左舷ミヨシの茅根さんがヒラメ8匹で竿頭。数は獲らなかった釣り人も2kgクラスの良型を複数上げていて、皆さん笑顔での沖上がりとなった。
今シーズンは解禁日に7.1kgの大判も上がっている。大貫翔平船長も「例年より数は出てますね」と魚影の濃さを挙げていたが、取材後にイワシの群れが入り、連日3〜4kgの良型を捉えている。3kgオーバーの個体が船中20匹以上という日もあり、まだまだ数型共に期待大な日立沖の“寒ビラメ”。この好機に是非、腕利きは勿論のことビギナーの方々にもチャレンジ頂きたい。
今回利用した釣り船
出船データ
集合時間:午前5時(変動あり、予約時に要確認)
出船時間:準備出来次第
乗合船料金:1万3,000円(氷・生き餌・昼食付き/※女性・中学生以下:11,000円)
貸し道具:各種あり、予約時に確認を
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他