釣りビジョン

これからがのっこみ本番か?数も型にも注目「富浦沖のコマセマダイ」千葉県富浦港『共栄丸』

2024年05月09日公開

1162_main

マダイ狙いの王道「コマセマダイ」釣り。ハリスの長さ調整や巧みなコマセワーク、タナ取りの「読み」が重要になってくる。今期も〝のっこみ〟の時期に合わせて釣行を目論んでいたところ、ようやく釣果が上向いてきたという知らせを受け、千葉県は内房富浦港の『共栄丸』を目指した。

【この記事を書いたライター】山口 充

アクセス

東京湾アクアライン経由、もしくは京葉道路経由で館山自動車道・富浦ICで降り、突き当り(多々良)を右折した先のカーブをすぐ左折すると、600m左に「共栄荘」の看板あり。

共栄丸が停泊している所に車が停めることができる。時間になると船長と女将さんとで受付を開始。乗船名簿に必要事項を記入して順番に釣り座を決めていく。

タックル

コマセマダイ釣りの醍醐味のひとつが竿だ。長めで、なおかつ満月のようにしなる「ムーチングアクション」の専用竿を使用するのだが、マダイの突っ込み・引きを吸収する、細いハリスにかかる負担の軽減する、船の揺れを吸収して棚を安定させる、コマセカゴが不用意に動きコマセが多く出てしまう事を防止する、等々…コマセマダイに特化したメリットがある。その曲がりを見ているだけでも興奮してしまう。

近年はグラス総巻の竿も軽量化され、小型電動リールのパワーも上がり操作性も格段に向上した。道糸はPEの3号~4号、コマセカゴは80号。マダイ釣りではコマセを多く出してしまうと他の魚が寄り過ぎてしまうので80号でもスリムなコマセカゴが使われることが多くなってきた。

仕掛けは全長13m前後で、フロロカーボンライン4号前後。スイベル付き、無しの両方が使われていた。天秤はアーム長50cm前後で、クッションゴムは1.5mmを1m。針はマダイ針9~11号。結び目のことも考慮してハリスとのマッチングで合わせて行く。

 

何時来ても雰囲気がある富浦沖

船長の笹子宏宣さんがコマセカゴや釣り座のセットをしてくれて乗船。コマセとなるオキアミが配られ、バケツに入れて解凍し各自準備を開始する。ちなみに今回は女性アングラーの参加が2名。最近、コマセマダイ釣りを楽しむ女性が増えたように感じる。

午前5時をまわり、女将さんに見送られ、朝焼けの中富浦沖へ出船。房総半島の山側から上がるご来光。何かが起こる雰囲気満点だ。航程約15分でポイントに到着すると「棚は上からです。上から45m。コマセはサバが多いので一つまみ程度で」と船長。さらに、「最近は警戒心が強いのでコマセワークをスローに行って下さい」と付け加えた。

開始してすぐに棚を5m上げて40mその後35mと細かく笹子船長が指示してくれる。すると左舷大ドモでヒット。ムーチングアクションの竿が撓るコマセマダイ独特のファイトだ。上がって来たのは綺麗な良型マダイであった。続いて左舷胴の間でもマダイがヒットした。少し上からゆっくりと落とし込んでヒットしたようだ。

イサキやサバの活性が上がる

潮回りを繰り返しながら反応が出てくると仕掛けを再投入。棚は海面から30mの指示が出た。本日最も浅い指示棚だ。「良い反応が入ってきました」と笹子船長。すると右のミヨシでヒットが確認されマダイが上がってくる。船中トリプルヒットで、正にノッコミらしい展開だ。このタイミングでサバの活性も上がってしまったが、型は良く嬉しいゲストフィッシュとなった。

ゲストフィッシュが連発している間にもマダイが連続ヒットするシーンも見られ、タモが間に合わない。コマセが効き過ぎるとウマヅラハギも顔を出すようになった。それらの反応が落ち着くと、今度は大型イサキが登場。美味しそうなイサキだ。反応がなくなると船長が細かく潮回りを行っていく。そのたびに何処かでマダイがヒットする展開となった。

しばらくすると潮止まりで魚の活性は低下。こうなるとフグやウマヅラがハリスを切ったり、アタリが出ないまま餌がなくなったりする状況になる。ここで船長は15分ほど走りポイントを変更。40mの指示棚で再スタートした。

大型ヒットでハリス切れも

再スタートしたポイントだが「良い反応ですよ」と船長。すると左舷右舷共にすぐさまマダイのヒットがあった。バラシも多かったが、数枚が取り込まれた様子だ。中には大型マダイらしきヒットによるハリス切れもあったとのことだが、号数を落とし過ぎないことも重要だ。個人的にもアタリが少ないとハリスを細くすることがあるが、活性が上がった時に大型魚がヒットすることを考えるとリスクが高くなってしまう。

ただし、竿のアクションは同じでも柔らかさが違い、柔らかすぎる物だと針が飲み込まれたままになりやすいので、状況でハリスを太目のものにチェンジするのもひとつの手。コマセダイはこのバランス、セッティングも面白い所なのだ。

後半もアタリが続き午前11時45分に沖上がりとなった。「今年は遅れていましたが、これからがスタート。まだまだ楽しめます」と笹子船長。桜満開も、タケノコも、マダイの「のっこみ」も遅れてスタート。自然の不思議を感じながら帰路に着いた。今期はこれから大型が出る可能性が高いので、是非楽しんでいただければと思う。

今回利用した釣り船

千葉県富浦港 『共栄丸』
〒299-2404 千葉県南房総市富浦町多田良880
TEL:090-7244-0460
定休日:なし 釣果・施設情報 共栄丸 ホームページ

出船データ

コマセ・マダイ予約乗合・午前便 ※午後船は要確認
料金=午前船1万2,000円、女性 1万1,000円、中学生まで 5,000円(コマセ、氷付き)
   午後船9,000円、女性8,000円 
※予約は前日までに。詳細は問い合わせ
レンタル=貸し竿(手巻き 無料、電動 2,000円)
午前船
集合=4時30分
出船=5時頃
沖上がり=11時30分頃

午後船
出船=12時30分
沖上がり=17時
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

山口 充
プロアングラーとしてテレビ出演、企画、撮影、雑誌執筆やカメラマンをこなしながら「旅と釣り」をテーマに日本中を釣り歩く。公益財団法人日本釣振興会神奈川県支部長・普及振興委員会。2016年JGFA・MVPアングラーズアワード受賞。伝統の和竿「横浜竿」を使い、2020年IGFAタチウオ世界記録を獲得。
このライターの他の記事も読む

その他オススメ記事

釣りビジョン倶楽部