2024年05月29日公開
2024年は沖縄・奄美が一足早く梅雨入りした。平年に比べやや遅れ気味のようだが、この時期になると“梅雨イサキ”の釣果が聞こえてくるようになる。そんな折、千葉県大原ではすでに〝良型〟が釣れているとの情報をキャッチ!梅雨さながらの雨の降る中、アクアブリッジを渡り『つる丸』を訪ねた。
まずは船宿へ集合!受付方法もチェックするべし!
アクアラインや圏央道の完成で首都圏からのアクセスが格段に向上した千葉県大原港。『つる丸』のチェックインは港へ向かう途中にある船宿(休憩所)の窓口で行う。一度、受け付けを済ませてしまえば迷いようのない分かり易い所にあるのだが、初めての際は船宿公式サイトに丁寧な道案内の動画があるのでチェックしていただきたい。
集合時間の30分前には船宿に明かりが灯り、窓口がオープンする。取材日の天候は夜半からの雨。乗船名簿の記入や乗船料の支払いは、明るく雨風がしのげて、レインウエアを着込んだ港より断然快適。クレジットカードや電子マネーが利用できるのも便利だ。船宿仕掛けもこのタイミングで購入しておくと、朝一番の喰いの立つチャンスを逃さず済むのでお薦めだ。
受け付けが済んだら港へ向かい、駐車スペースに車を停めてウエアや釣り具の積み込み準備。船着場は夷隅東部漁協直営食堂「いさばや」のほど近く。公衆トイレと道を挟んだ向かい側辺りとなる。船には船長が乗船しているので、声を掛けて予約順に指定された釣り座にタックルを運び込む。仕掛けのセットは船がポイントに着いてからで充分なので、予約の釣り人が揃えば出船準備は滞りなく完了。船尾にある雨風の当たらないスペースへ移動して、午前4時30分『つる丸』は出船した。
竿入れから好反応!ハイペースで釣り上げられる良型イサキ
前日のシケの名残か、ややうねりの高い海を走ること50分程で朝イチの釣り場に到着。船長から「潮が速い」とのアナウンスがあり「ハイ、やってみましょう。20から17!」の合図で釣り開始。
この「20から17」という数値は“水面から20mまでプラビシを沈めて、竿をシャクリながらコマセを撒き、17mで魚のアタリを待つ”という意味。仕掛けの長さや斜めになった道糸の三角関数など、難しいことは一切考えずに言われただけ道糸を送り込み、コマセワークをしてタナを揃えれば良い。
開始間もなく竿を曲げたのは右舷胴の間(中央)の鈴木さん。上がってきたのはコロコロとした良型のイサキ。幸先良いスタートに笑みがこぼれる。この後は誰が2番手だったのかすら分からない好展開で、潮が速くうねりも高い難しいコンディションながら、指示ダナに合わせればアタリの出る好調な喰いっぷり。一荷で上がるのも珍しくないハイペースで、魚桶はみるみる充たされて行った。
「デカいの釣りに行きます」船長の宣言は現実のものとなった!
船内は好釣果。誰しもに心地よい疲れが出始めた7時50分頃、船長から「デカいの釣りに行きます」とアナウンスがあり、船を走らせることしばし。気付けば雨風も凪いで、雲の切れ間に青空が覗いていた。
釣り方はそれまでと一緒なのだが、アタリがあってハリ掛かりはするものの、ファイト中にハリスを切られたりハリが外れたりと〝バラシ〟が相次いだ。ドラグを効かせて慎重なファイトをすると、これまでより確実に大きいイサキが取り込まれてくる。この流しで上がったのはアベレージ38cmの文句なきジャンボイサキ。
釣れるペースはそれまで釣りを楽しんだポイントに軍配が上がるものの、大型狙いもまた別の趣があって楽しいものだ。しかも、この大きさに驚いていると「もっと大きいのが釣れるところがある」と船長。この日は潮型が悪くその場所に入れなかったが、みなさんの釣行で是非、確かめて頂きたい。
船長に聞く「イサキ釣りのコツ」
大原沖のイサキについて、若船長こと岩瀬正尚船長に話を聞いた。
──今期のイサキ、例年に比べていかがですか?
正尚船長「今年はホント早いです。例年はまだ全然太ってない時期なのに今年はもう脂すごい乗っちゃってるから。早めに来てください」
──釣り方のコツは?
正尚船長「コマセの撒き方が一番重要なんだけど、自分の撒いたコマセの中に、仕掛けを入れることができれば魚は喰ってくると思います。ハリスの太さは、太いと喰ってこないです。1.75号まで。2号だと条件が揃わない限り、だいぶ喰いが落ちます」
やはり船宿仕掛けを使っていれば間違いない。船でも購入できるので、手詰まりになったら船長や上乗り役の大船長に声を掛けるのが得策だ。釣れるタイミングでどれだけ釣ることができるかが、釣果の分かれ目となるこの釣り。手前祭りなどのトラブルを起こさないよう、さらに手返しアップを心掛ければ、釣果は充分期待できそうだ。
数も型も大満足、このタイミングを逃さずに!
この後も順調に釣れ続いたが、イサキとは全く異なるレンジのシマアジと思しき反応に、複数の釣り人の竿が引き絞られる一幕も。残念ながらこの日はリリースサイズのシマアジしか取り込めなかったが、色濃い魚探反応とアタリの多さに今後も期待大だ。
かくして、この日の竿頭はイサキ40匹を獲った常連の古山さん。他にもマダイやメジナなど多彩なゲストフィッシュもあり、帰港後に配布される氷を追加したらクーラーはちょうど満タン。重たいクーラーを手に、みなさん笑顔の帰港となった。
取材日には「反応のわりに喰ってこない」と言っていた船長だったが、この日を境に釣果は急上昇中。連日、竿頭は“定量”と呼ばれる釣って持ち帰る上限の50匹を達成して、遂には「クーラー満タン早上がり」との情報も届いた。梅雨を待たずに最盛期に突入した大原沖のイサキ。数もサイズも魅力だが、その食味もまさに今が盛り。沢山釣れる楽しさと、釣り人だけが味わえる旬の味。2024年初夏を代表する釣り物として、強くお薦めしたい。
今回利用した釣り船
出船データ
乗船料金:男性・12,000円(コマセ・氷付き)※女性・中学生・小学生割引きアリ
集合時間:4時※時期により変動あり、予約時に要確認
出船時間:4時30分頃※準備でき次第
※船宿仕掛け(500円)、救命胴衣・貸し道具(無料)あり
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他