釣りビジョン

大混雑の人気釣り公園で、1メートルの【あの魚】を釣ることができるのか?

2024年08月04日公開

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「釣り公園」といえば、いつ行っても釣り人がわんさかといて、よほど運がよくなきゃ魚なんか釣れない…というイメージがある。だから、ほとんど行く気が起きることはなかったのだが、ちょっとしたきっかけで竿を出してみた。ターゲットはタチウオ。いざ行ってみると想像を超える大混雑。でも、釣れないかというと、そうでもなかった。

ことの発端は「ウナパ」だった

6月下旬、東京・神田に釣り仲間が7人集まり「ウナパ」を開催していた。「ウナパ」とは、カンの良い読者ならお気づきだと思うが、「ウナギパーティー」の略だ(気づかない?)。私の釣り仲間に1人、ウナギ釣りの名人がいて、彼が江戸川や荒川でせっせとウナギを釣っては、自宅の生け簀で泥を吐かせていた。そうして貯め込んだ江戸前のウナギがなじみの割烹で絶品の酒肴へと変身! それに舌鼓を打ちつつ、酒を酌み交わす…という世にも楽しい会、それが「ウナギパーティー」なのだ。

そんな宴もたけなわの頃合いに、ウナパを欠席した友人からグループLINEが来た。
「今、横須賀でタチウオが良く釣れているぞ。護岸からジグ投げて」
それを読んだ一同は、「今から持ってこい!」とLINEで返信したり、「タチウオでタチパをやろう!」などと勝手なことを言ったりして盛り上がった。でも私は、これをきっかけに「俺も釣りたいな」と、釣り欲に火がついてしまったのだ。

上州屋横須賀中央店のアドバイスに感謝!

それから約20日後、私はやっと横須賀に行く時間を作ることができた。7月13日、連休の中日だ。横須賀には釣りのできる公園が2つあるのだが、とりあえず情報収集と仕掛け購入のために上州屋の横須賀中央店を目指した。本当は17時頃から釣りをしたかったのだが、準備に手間取ったこともあり、上州屋に到着したのが17時半過ぎだった。

今回はタチウオ用のテンヤで釣ってみようと決めていたので、テンヤ、エサの冷凍キビナゴ、タチウオバサミ、タチウオ用のケミホタル、テンヤにエサを固定する針金も購入した。ワイヤーリーダーはテンヤの付属品として入っていたので買う必要がなかった。テンヤとはルアーで言うと、ジグヘッドみたいな仕掛け。ただ、ワームも生エサもつけられるように設計されている。

実は私もテンヤの釣りは初めてなので、リーダーの長さやケミホタルの位置など、お店のスタッフに聞いてみた。すると、優しく丁寧に教えてくれて、心から感謝! 最後に「今からで大丈夫です。きっと釣れますよ」といって送り出してくれた。

 

釣り場に着いたのは18時過ぎ

「うみかぜ公園」にするか迷った末に「横須賀市立 海辺釣り公園」へ。ここは22時で閉門となる公園だ。時計を見たらすでに18時を回っている。日曜日なので釣り場は恐らく混んでいるだろう。でも、一般的には夕飯の時間が近い。この時間に釣りを切り上げる人もいるはずだ。そう思っていると、釣り道具を持った熟年夫婦が公園から車へと戻ってきたので、声をかけてみた。
「釣れましたか?」
すると、旦那さんが照れ笑いを浮かべつつ、答えてくれた。
「いやいや、釣れないよ。釣れるのはこれからだってさ」
ふむふむ、彼らには悪いけれど、悪い知らせではない。まずは、荷物を持たずに釣り場へと偵察に出かけた。

公園の門をくぐり、トイレの横を通って、釣り場となる護岸が視界に入ると、目を疑った!人、人、人! 約450mある広大な釣り場に、釣り人がずらりと並んでいた。家族連れ、カップル、子供の軍団、ガチの釣り人…スタイルこそバラエティーに富んでいるが、ものすごい人数だ。18時過ぎにのほほんとやってきた私に、竿を出すすき間など皆無だった。

周囲に目を配らせながらもほっこり

もちろん、このまま何もせず手ぶらで帰る気は毛頭ない。仕掛けやエサまで買ってしまったのだ。まずは車まで戻って釣り具を選び、かなりの大荷物を抱えて釣り座を探しに出た。しかし、先端まで歩いても本当に割り込むすき間がなかった。弱った私はもともとこの情報をくれた友人に状況をLINEした。するとこんな返信が。
「暗くなってくると、家族連れが帰るよ」
なるほど、確かに子供連れで22時まで釣りをする人はめったにいないだろう。

私は小学3年生くらいの娘さんを連れたお父さんの背後に陣を構えた。よく見ると、私のように釣り場のキャンセル待ちをしている人もぽつぽつ見かける。時計を見ると、もう18時半を回っている。この親子、そろそろ帰るだろうか? いや、帰るに違いない。いや、帰ってくれ。そして、親子の会話が耳に入ってきた。
娘「パパ~、動画観てもいい?」
父「いいよ」
娘「パパ、釣りに来ると1.5倍くらい優しくなるね!」
ウ~ム、私の娘も小学校3年の頃はこんな感じだったなあ…と、釣り座が空くのを待ちながらもほっこりする。こんな無邪気な感じなら、19時になればお腹もすいてくるだろう。でも19時を回っても、彼らは帰るそぶりを見せない。それどころか、見える範囲のどの釣り客も帰らない。
娘「釣れないね」
父「そうだな」
おっ、そろそろ帰りたくなってきたか?
娘「でも何もなしで帰るわけにはいかないよね?」
え? その展開?
娘「明日も休みだから今日はとことんできるよね!」
父「うんうん」
こりゃダメだ。この親子ガチだわ(笑)。

テンヤ釣法3投目にまさかのタチウオ!

途方に暮れていると、この親子の3人くらい先の釣り人が帰り支度をし始めた。私がそのすぐ後ろに移動すると、その人がぼそっと言った。
「いいよ、ここで釣りして」
「ありがとうござます!」

ついに、19時半から釣りを開始することができた。1時間近く待ったので、もう仕掛けの準備は万端。テンヤに冷凍キビナゴがしっかりと固定されているし、ケミホタルも発光済みだ。
「釣れましたか?」
と、釣り座を譲ってくれた人に聞くと、ため息まじりに応えてくれた。
「全然釣れないよ」
「何時から釣りしてるんですか?」
「朝からずっとだよ」

こりゃ、悪い日に来ちゃったな…と思いつつテンヤをキャスト。ジグヘッドリグのミドスト(ミッドストローリング:シェイクしながらリーリングする技)のイメージでシェイクしながら引いてみた。テンヤでタチウオを狙うのは初めてなので、イマイチやり方がわからない。そして3投目、無意識にミドストしていたら、ドスンと重くなった。
「え?喰った?」

結構引いてるぞ。この引きは、きっとタチウオだ。しかも、まあまあいいサイズ。抜きあげたら思ったよりでかい。私の極太の指で3本半。普通の人なら4本以上はあろうかというタチウオだった。あとで計ってみたら95cmあった。ドラゴンには程遠いけれど、岸からこのサイズが釣れるのはうれしい。場所を譲ってくれた人は、まだ片付け途中だったけれど、茫然としていた。なんだか、釣れちゃってごめんなさいという感じ。隣で釣りをしていた人はすぐに声をかけてきた。
「いきなり釣れましたね! しかもいいサイズ。テンヤですか?」
「キビナゴでテンヤです」

ちょっと誇らしげに答えてしまった。テンヤで釣ったのは初めてなのに。ただ、その後が続かなかった。誰も釣れない時間帯に突入。さすがに20時半を回ると1人減り、2人減り…21時になると、だいぶガラガラになってきた。やっぱり私のあれはまぐれだったのかと、多分そこに残っていた釣り人全員が思ったに違いない。

ところが21時21分、また私のタックルがグワンと曲がったのだ! タチウオ2本目。サイズは落ちたがきれいな魚体だ。断じてまぐれではない…と思いたい。このミドスト風味のアクションが良かったのかも? 片付けて、公園を出たのは21時56分。例の親子も21時半過ぎまで釣りをしていた。横須賀の釣り公園、たった4時間たらずの滞在だったけど、なかなか楽しかった。ぜひまた来よう。

施設等情報

【横須賀市立 海辺つり公園】
住所:〒238-0013 神奈川県横須賀市平成町3-1
開園時間:5時~22時 「横須賀市立 海辺つり公園」ホームページ

施設等関連情報

【つり具の上州屋 横須賀中央店】
住所:神奈川県横須賀市日ノ出町2-13-20
営業時間:公式サイトの営業カレンダーで確認
つり具の上州屋 横須賀中央店
     
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この記事を書いたライター

横沢 鉄平
フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。ロッド&リールの「三匹が行く」、ルアーマガジンの「ドラマチックハンター」など、長期連載企画での出演経験も多数。キャンプ用品の「ヨコザワテッパン」考案者でもある。
YouTubeチャンネル「ヨコテツ」も、ささやかに継続中だ。
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