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【女性釣り師がハマる】かかり釣りのチヌ攻略について

2025年03月20日公開

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私事だが、何を隠そうここ数年「かかり釣り」にハマっている。きっかけはメディア取材だったのだが、もともと好きなヘラブナ釣りに共通する魅力を感じる。ダンゴの配合や水加減、握り回数でポイントを作り魚を寄せて釣りを組み立てるところが実に面白く、本アタリまでの駆け引き、また力いっぱいのアワセが決まった時の快感がクセになる。先日、どうしても名手・山本太郎大先生の動画を見たくなって、釣りビジョンVOD『チヌ道一直線』の最新作を視聴してみた。釣りにおいて〝釣れた〟〝釣った〟の差は大きい。少しでも学べるところがあれば!と目を凝らした私なりの仰天ポイント、学びポイントをまとめてみた。

短竿、フロロカーボン2号で青物とやり取り

釣り場は三重県桂城湾・白浦。ロケ前日まで数日間釣果がなく、チヌは港に入っているようだが口を使わないという。渡った筏は「木の前」。水深25mと深場に設置された筏だ。ただ深い分、水温が安定していて澄み潮によるプレッシャーも無さそうな印象を受ける。

午後の時合いに備え、また冷凍エサが溶けるまで、ボケジャコ・練り餌・くわせマルエビと、刺し餌のみローテーションさせながら、どの層にどんな魚がいるのか探っていく。途中、「時間がかかりすぎて、まどろっこしいな」と、ノーシズ(オモリを使用しない)から5Bのガン玉打ちに切り替え、練り餌で上層から探っていく最中、目の前で60cmクラスのメジロ(ワラサ)が喰ってきた!

山本「やめてよ食べよったわ~、食べてんのまともに見えた」

竿は1.6mの短竿、道糸はフロロカーボン2号。半月以上のしなりを見せる竿にドキドキである。本命ではないものの、道糸をほぼ出さず、竿のしなりだけでいなし、釣り上げる様はさすが。

かかり釣りの穂先はとても細く、針と刺し餌だけでも着底が取れる繊細さ。微かな変化も動きとして現れるので注目して欲しい。

ダンゴの握り回数、ポイントの見切り

ダンゴ釣りにシフト。25m下の海底まで届ける為に握り回数は30回と多め。ダンゴの握り回数は難しいのでとても参考になる。しっかり握ったダンゴは付け餌を海底に届けるだけでなく、直ぐには割れずエサ取りからガードする意味もある。

山本「早く割れてもチヌが寄る前に他の魚に取られてしまうと思うから、しばらく割れないようにしている。たぶん1分以上持ってると思う」

エサ取り対策でさなぎを使ったりコーンを付けたり、ウネリに対応して穂先を変えたりと工夫するも本命のアタリはない。となると悩ましいのが、ポイントを移動するかどうか。越冬中のチヌにとって居心地が良いだろう深場でこのまま続けるべきか、ボラがいる(ボラの下にはチヌがいることがよくある)浅場のポイントへ移動したほうがよいのか。

山本「普段からエサも取られない時間帯が普通だというならよいかもしれないけど、、、オキアミも取られない、これはまずいなというなら変わったほうがよいかもしれない」

など悩んでいたところ、ホシザメが釣れたことで移動を決断。

山本「ホシザメは過去に何度か釣ったことがあるけど、アカンときやった」

 

ボラの下にはやっぱりチヌがいた

水深12m、浅場の「2区」でダンゴ釣りを再開。この「2区」に居着いているボラの反応があれば、チヌに繋がる可能性は高い。残り3時間半、チヌを寄せる時間はあるのか。夕方のワンチャンスに向けてオキアミをメインに打ち込んでいく。そして、移動して6投目のこと。

山本「一瞬おかしな動きやったけどな。ボラがスレたんか」

僅かな変化を捉える。続いて、ボラのダンゴアタリをキャッチ。ダンゴが割れ小さなアタリに合わせる。が、本命ではなくボラ。「かけてもうたか」と、魚が散ってしまうことを懸念する山本さん。ボラを避け、付け餌をオキアミからボケジャコにローテーション。ボラのアタリをすべて見逃し、竿先を押さえる本アタリだけに集中する。そして、長いインターバルからの引き込むようなアタリ。が、「またボラかけた」とまたまたボラ。意気消沈する山本さんだが、これがまさかの本命チヌ46cm!これにはさすがの山本さんも「やめて、やめて」と苦笑いしつつ、足止めのダンゴを打っていた。

釣りの組み立て、付け餌の選択で見事に〝釣った〟チヌ

2日目は納得の1匹を求めて水深23mの「3区」で勝負。午後になるとようやく穂先に変化が現れる。オキアミに食ってきたのはマダイ。でも、その後が続かない。と、ここで山本さんが何を考えているのか、釣りの組み立てが語られた。

山本「昼前からやった限りではボラは寄らんやろうなと感じている。そうなった時に方程式が使えないから、ロングインターバルしかないかと。で、ロングインターバルで仕掛けをなじませて餌を動かんようさせるには、プラスを多めに取ってじ~っと置いとくしかないかなと。こうやってちょっとずつ絞り込んではいるけど、その答えの状態でひたすらやるしかないやろな。それで来てくれるか来てくれないか」

続けて「14時になったらコーヒータイムにしようか。15時って言いたいとこだけど、15時頃からピッチあげなあかんから」。この余裕が大事なんだろうなあ。やっぱり釣れてないと焦ってしまうし、1日中集中力なんて続かないし。どこで集中するかを決めて、それに向けてモチベーションをキープすることはとても大切だなとお勉強。

そして15時を迎える。1投に10分ずつ費やすとあと10投ほどで納竿。オキアミには反応があるが、釣れるのはマダイだけ。かといって、さなぎやマルエビを試しても反応がない。

山本「オキアミしか反応しない。チャリコ(マダイの幼魚)がまったく触らない餌で待った方がよいのか。ただ、それをしても時間がもったいないだけという気もする」

こんな時、山本さんはどうするのか!?「これしか思いつけへんわ」と選んだ餌は、唯一反応のある〝オキアミの2匹刺し〟。少しでも餌を持たせて本命を呼び込む作戦。すると、それが功を奏したのか、最後の最後に本命らしきアタリ!「本命であってくれ」と願う山本さんの前に姿を現したのは、、、43cmの見事なチヌ!まさに〝釣れた〟ではなく〝釣った〟1匹。まさかこんなドラマチックなエンディングになるとは。やっぱりプロは凄いなと。魚を引き寄せる執念というか、感服です。

これから暖かくなり好調期を迎えるかかり釣り。私も筏へ足を運んでみたいと思う。

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

今井 寿美礼
ジャンルを問わず釣りは何でも好き。シーガーフィールドテスター、フィッシングライター&インストラクター、Shipsmastアンバサダー、つりジェンヌオブザーバー。活動を通して女性の釣りを応援、現在は黒鯛のかかり釣りに夢中。
instagram:
@8sumire/?hl=ja
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