2015年06月15日公開
千葉県・御宿沖で、カモシ釣りのヒラマサが好調との情報。“カモシ釣り”は、御宿から勝浦、行川周辺の伝統的釣法の一つ。御宿岩和田『太平丸』大野利広船長に状況を聞くと、「5月30日(土)は、朝一番から入れ食いになり、開始1時間半で船中18匹。最終釣果は0~6匹で、船中26匹の爆釣だった」との事。“海のスプリンター”の異名を持つヒラマサ。善は急げと、1日(月)出掛けた。
大型船に10人限定!
午前4時10分に船着き場に着いた。早くも数台の車が駐車している。暫くすると、軽トラックで船長が到着、出船準備が始まった。私を含め、9人が乗り込んだ。これならゆったりしたスペースだ。船長は「オマツリ防止の為、10人に限定している」との事。4時45分。全員が揃い、少し早めに出港した。
ヒラマサの引きを体験したら、嵌まる!
港を出ると、北からの微風が肌に心地よい。釣り場近くになると、船長は「ポンプ(コマセ注入器)が硬いので、逆さにして引っ張って下さい」とコマセの準備を促す。釣り人は、コマセ桶に海水が出るホースを差し込み、掻き混ぜながら、ペースト状にする。それをポンプで吸い込み、コマセ袋に2回、3回と注入する。5時30分、釣り場に到着。「ハイ、良いですよ。タナは18ヒロ、27mです」。船長がタナをヒロ(1ヒロは約1.5m)とメートルの両方で言ってくれるので、頭が混乱しない。水深は50m前後。竿先を下げ、そこから竿一杯に振り上げ、3回、4回とコマセを撒き、煙幕を張る。この流しは15分程で見切りを付けて移動。次は「15ヒロ、22.5m」左舷の中島嘉昭さん(ふじみの市)にヒラマサの魅力を聞くと「食べて美味しい事と、“引き”でしょうかね。この引きを体験したら、嵌まってしまいます」と話す。開始から30分、左舷ミヨシ(船首)の増田幸雄さん(柏市)の竿が曲がった。スワッ・・来たか!!と皆の視線が集中する。取り込んだのは、大型のキントキ。
幻のキハダ20kgオーバー!
開始から2時間。左舷トモ(船尾)の古屋定志さん(千葉市)が突然リールのドラグをジージー鳴らしながら、懸命に耐えている。魚が寄るどころか、道糸がどんどん出て行く。竿は海面に突き刺さったまま立たない。リールを巻こうにも巻けない状態が続く。忍耐比べになって来た。何キロのヒラマサか?上半身乗り出して格闘している。「20kg、20kg!」と大野益宏大船長の声が飛ぶ。大船長はタモを準備したが「このタモに入るか?」と、心配している。5分経過、少しずつ上がって来た。それでも時折、ジー、ジーと道糸が出て行く。船長はオマツリしない様に、他の人に「竿を上げてー」と協力を促す。10分が経過。漸く海面に白い魚影が見えてきた。船の下を2回、3回と廻っている、古屋さんがハリスを掴み手繰り始めた。その時、「アッ、バレター!」。ハリのチモトからブッツリ切られていた。「悔しいー、あー疲れた…」と放心状態。魚の正体はキハダだった。
この道一筋40年、ヒラマサに嵌まる
キハダをバラしてから5分。左舷ミヨシ(船首)で竿を満月の様に曲げ、リールを巻いている。白い魚影が見えた。船中第1号のヒラマサが上がった。本人は「これは小さい、小さい“小マサ”だよ。今度は“大マサ”を釣るよ」と闘志に火がついた様子。その20分後、右舷ミヨシから2番目の植松千哉さん(鎌ヶ谷市)の竿が曲がった。竿の突っ込みから大物の予感。ウネリの中でのやり取り。3分が過ぎ、漸く魚影が見え、無事大船長のタモに収まった。植松さんにアタった時の状況を聞くと「コマセを撒き、キーパーに掛けたら直ぐに来ました。この道40年、一筋に通っています。どんな魚でも釣るが、ヒラマサは格別。月に3、4回通っています」と言う強者だ。御年80歳とは思えないファイトの塊だ。
沖上り15分前、入れ食いタイム!
左舷ミヨシで又々アタリ。「先ほどより大きそうだねー」と冷やかされながら、嬉しそうにリーリング。しかし、海面まで来て反対側とオマツリして痛恨のバラシ。直後、右舷胴の間(中央)の山口光次郎さん(市川市)にアタリ。ヒラマサの入れ食いタイムが始まった。時計を見ると10時45分。沖上りまで15分。大船長のタモで掬って貰い、笑顔がこぼれる。先ほどバラした左舷の増田さんが掛けた。「さあ、さあ入れ食いだ。今度は上手くやってよう」と大船長から激励の声が飛ぶ。同時に植松さんにもアタリ。「腹に竿尻を当てて巻けよー」と船長。いつの間にか、船上は、戦場の様相になっていた。右舷のT・Nさんが取り込みに入ると、「竿を置いて手繰りなよ」と大船長に言われ懸命にハリスを手繰る。
マダイから、急いでヒラマサ仕掛けに換えたら、ガツン!
まだまだ入れ食いタイムは終わらない。船長が、「右トモで食わせているよ!」と教えてくれ、跳んで行くと「船下に引っ張られるよー」と、言いながら何とか竿で耐え、取り込んだ。取り込み後に話を聞くと「ヒラマサが食わないので、マダイ狙いに切り替え、3号のハリスに落とした直後、ガツンと来て、一発でハリスを切られた。急いでヒラマサ仕掛けに換えて、何とか間に合った」と本当に嬉しそうに話していた。「オー!!最後に間に合った。入れ食いになっちゃったよー」と大船長も感無量の様子。納竿間際、誰もが夢中になり、ヒラマサと格闘した15分。アッと言う間に過ぎて行った。
予言通り、ヒラマサの“電車”がやって来た
澤田幸治さん(千葉市)から釣り開始の前に、「ヒラマサが釣れ出すと順番にアタリだすんだよ。ヒラマサは並んで泳いで来るんだよネ。“電車”が通る様に」と言う話が、現実になった。この日の釣果は1.8~3.6kgを0~2匹。沖上り直前に入れ食いになり、15分間に10打数5安打。翌日の2日には1.8~7.6kgを1~4匹で全員安打。船中22匹と絶好調。船長は「今年は数、型共に絶好調です。秋口になると、20kg級も顔を出しますよ」と話してくれた。
カモシ釣り初体験は、船宿の竿、リール一式を借りれば良い(無料)。ヒラマサは、これからが旬。是非チャレンジしてこの“引き”と“味”を堪能して貰いたい。