2024年11月20日公開
東京湾内で楽しめるショウサイフグや“アカメ”ことヒガンフグを対象とした「湾フグ釣り」は、繊細な釣りの楽しさと絶品の食味に魅了されるファンが多い。さらにご心配なかれ。釣ったフグを船宿で可食部分だけに捌いてくれるため、調理の手軽さも人気の理由となっている。今年はアカメ(ヒガンフグ)が数も型も期待大との噂を耳にし、横浜は鶴見のフグ釣りの老舗『新明丸』へと駆けつけた!
※編集部注
今回のメインターゲット「ヒガンフグ」は、地域や船宿により「アカメフグ」や「アカメ」という呼び名も浸透しており、それとは別に、正式和名が「アカメフグ」という種類も存在します。今回の記事ではアカメ(ヒガンフグ)という呼称とさせていただきます。
電車釣行派もアクセス良好!
『新明丸』の店舗は第一京浜(国道15号線)「本町通入口」交差点近く、鶴見川にかかる「潮見橋」のたもとに位置する。JR京浜東北線「鶴見駅」や京浜急行「京急鶴見駅」から徒歩5分ほどとアクセスが良く、電車釣行派にとっても便利な立地だ。車で訪れる際は、店先の船宿スタッフに声をかけて空いている駐車場所を案内してもらえる。
店内の窓口で乗船料と駐車場代を支払い、乗船名簿に記入。エサや氷も受付時に購入しておくと便利だが、エサについては船上でも購入可能なので、まずは1袋(1,000円)購入すれば十分だ。
「着る物、暖かくして行ってくださいね」と新明利勝社長に送り出され、船着場へは川沿いの土手を徒歩1分ほど。「フグ」や「マゴチ」と釣り物の札が各船の操舵席に掲げられているので、目的の船を確認しながら間違えないよう乗船を。釣り座は先着順のため、先に到着した釣り人に声をかけながら着席する。
ロープ付きバケツで海水を汲み、エサの冷凍エビを解凍しつつ、仕掛けをセットして準備完了。『第八新明丸』は、定刻より少し早めに出船した。
開始早々、食い活発!
船長からアナウンスされる釣り方のアドバイスを聴きながら鶴見川を下ること約20分で釣り場に到着。船長の合図で釣り開始後間もなく、船中1本目を上げたのは左舷胴の間の牧野さん。その写真を撮っている間にも反対舷では“本命”のアカメフグ(ヒガンフグ)が次々と上がり、好調な喰いに船中のボルテージは一気に高まった。
釣れるサイズも次第に大きくなり、30cm超えに歓声が上がったかと思えば、反対舷ではなんと38cmが取り込まれるなど、とにかく型の良さが際立つ展開。
口の周辺にカットウバリを掛けるとバラシが少なく、可食部分に傷が付かないので、エサをついばんだ刹那に掛けバリに乗せるよう心掛けると、さらにゲーム性が高まり面白い。
障害物に着くアカメフグ(ヒガンフグ)。特有の“根掛かり”も時折はあるものの、仕掛けを失うほどの深刻なトラブルは少なく、魚桶の中は次第に賑わいを見せていった。
船長に訊く、湾フグのコツ
今期のアカメフグ(ヒガンフグ)について林大地船長に訊いた。
林船長「去年は近場のフグがあんまり良くなかったんですよ、潮が悪くて。今年はそう言うのがなくて、うじゃうじゃではないですけどいるかなと」
──アカメフグ(ヒガンフグ)に付きものの根掛かり、対策やコツは?
林船長「ぼくはわりと場所を選んで入れていると思います。同じ岸壁でも易しい所を選んで入れてます。根掛かりしても結構外れるんですよね。やり方次第ですぐ外れる。外し方を練習すると、ストレスなく釣れると思います。カチッと引っ掛かったら、向こうへ動かなくちゃダメです。引っ掛かってる方へ引っ張ったらダメで、“カタカタカタ…”と穴を拡げていくような感覚で繰り返せば外れるかなと思いますね」
──これから湾フグを始めたい方々にアドバイスするとしたら?
林船長「わりとフグって“テクニカル系”みたいに言われがちですけど、基本だけ押さえておけばそんなに敷居の高い釣り物ではないと思うんですね。道具も軽いし、水深も浅いし。まずはチャレンジして貰えると良いと思います。他の魚にはない“無料さばきサービス”になりますし(笑)」
メインターゲットは岸近くや障害物周りのアカメフグ(ヒガンフグ)だが、沖に出れば回遊するショウサイフグも狙える『新明丸』の湾フグ乗合。出船時間のかなり前から船長が船に来ているため、ビギナーは分からないことがあれば、エサ付けなり釣り方なり遠慮なく船長に尋ねてレクチャーを受けるのが得策だ。
竿頭15本! 船中5名もツ抜け達成!
この日は横浜沖など近場でアカメフグ(ヒガンフグ)を、富津沖など沖合でショウサイフグを狙う展開。水深はどちらも概ね10m前後でアタリも明確だった。
竿頭は右舷トモから2番目の浜野さつきさんが15本を釣り上げる快挙を達成。船中15名のうち5名がツ抜け(釣果10本超え)を果たすという驚きの釣果。
さばいて身欠きにしてもらったフグの棒身は、帰宅後に洗ってそのまま調理するも良し、熟成させるも良し。ショウサイフグは釣ったその日に食べるのが最も美味しく、アカメフグ(ヒガンフグ)は冷蔵庫で数日寝かせることで歯ごたえが優しくなり、味わいの深みが増す。刺身はもちろん、焼き物や煮物、鍋の具材にも最適で、さらに中骨で取った出汁の雑炊は感動的な一品となる。
寒さが増すにつれ、エサ盗りのサバフグが減り、ますます釣り易くなるシーズン本番はまさにこれから。釣って楽しく、食べて美味しい東京湾のフグ・オールスターズ。釣り人ならではの冬の味覚を、ぜひ存分に堪能してほしい。
この記事を書いたライター
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他