釣りビジョン

2015.9.1号

まごうの丸・神奈川県茅ヶ崎港
相模湾のキハダマグロ、20~30kg台も!

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小雨混じりの神奈川県・湘南、茅ヶ崎。平日にもかかわらず、「前浜駐車場」には午前4時のオープンを待つ車列が伸びていた。今シーズンは、8月1日のコマセ釣り解禁日からまずまずの釣果が出ている相模湾のキハダマグロ。茅ヶ崎『まごうの丸』にシーズン中盤の様子を見に出掛けた。

“夏の好敵手”に釣り師たちも熱く

『まごうの丸』のキハダ乗合船。集合時間は他の釣り物よりちょっと早めの午前4時30分。予約の順に釣り座を決め、道具やクーラーを船宿のトラックに積んで船まで運んで貰う。5時30分には、釣り人も船長も船上で準備万端の段取りの良さが気持ち良い。心配された台風16号のウネリもなく、5時50分に期待に胸を膨らませた6人を乗せて定刻の河岸払いとなった。

十人十色のタックルセレクト

今回の釣りで印象的だったのは道具や仕掛けの多彩さ。竿は2.4mくらいのワラサやカモシに使えそうなものから、1.8m以下のライト泳がせ用まで。リールは中~大型電動と、レバードラグの手巻きリールを使う人がちょうど半々。テンビンは固定式の人も居れば遊動式の人もチラホラ。ハリスは16~24号を3~6mとあまりに幅広く、ハリは太軸だが、ネムリバリとヒラマサバリで人気は真っ二つ。ビシは定番のプラビシやテッカメンは勿論、編み目のアンドンビシまでお目見えするなど、ちょっとした“釣り具見本市”。

定番の「固定・千鳥テンビン」+「テッカメン」
仕掛け図
話題の「遊動テンビン」+「プラスチックビシ」

ハネや気配はあるのだが……!?

7時10分、船団とは遙かに離れてタナ30mからスタート。魚探には10~15mの上タナと25~30mの下ダナに明確な反応があり、にわかに湧くナブラや元気なキメジのハネに釣り人の活性も上がるが、肝心のアタリがない。一方、ナブラを形成するベイトフィッシュは煮干しサイズの小型で、ミヨシからキャストするルアーマンのシンキングペンシルやメタルジグには見向きもしない。こんな為す術のない膠着状態が3時間も続き、暗いうちから精を出してきた釣り人たちの顔には、明らかに疲れの色が見え始めていた…。

好機は英断の果てに!

10時30分、船長は船団へと舵を取った。1流し目、指示ダナは30m。ヒットこそないが竿先にこれまでにない気配を感じる。そして運命の2流し目、右舷胴の間(中央)の田中秀一さん(神奈川県綾瀬市)が、コマセワークを終えて、ホルダーに掛けた竿先に目をやると“フワフワ”と微かな浮遊感を訴えた。田中さんがその竿尻を脇に挟み、リールのノブに手を掛けたその刹那、泳いでいた竿先が一気に海面へと突き刺さった!竿を煽って合わせると、魚は一気に走り出す。ここで田中さんは意外にも竿をホルダーに預けてファイトを始めた。緩めのドラグを駆使したこの独特なファイト・スタイル、口切れやハリス切れに涙を飲んだ経験のある方はぜひ動画でご確認頂きたい。
約8分間の格闘の末にランディングされたキハダは、帰着後の検量で7.5kg。田中さんにとって今期2回目の釣行にして2尾目の獲物とのこと。お見事!

状況判断と丁寧なやり取りが実を結んだ貴重な1尾
食い渋りから、テッカメンを編み目ビシに交換した後の釣果
ハリのチモトはカン付きではなくタタキ──田中さんのこだわり

ズバリ、船長に聴いてみた

この日は、その後が続かず、6人で1尾。つまり5人は獲物を手に出来なかった。そこで、船長に聴いてみた「どうしても釣りたい」ってお客さんにアドバイスをするとしたら…?
①置き竿にしない
まず置き竿にしないことだね。アタリの後、すぐ合わせられるから。よく言われていた「魚の走りが止まるまで合わせない」っていうのは間違い。ハリを飲まれてハリスが切れる。まず合わせてハリを掛けておけば、その後どんなに走ったって心にゆとりを持ってやり取りできる。
②「自分の釣り」に仕掛けや道具を合わせる
仕掛けや道具は釣る人の好み。遊動テンビンもうちでは禁止してないから、どんな仕掛けでも魚を獲ってくれるのが一番。ただ、自分の釣りに合ったものを選ばないとね。コマセの振りが強い人にテッカメンは向かないし、20号より細いハリスのほうがアタリは増えるけど、ハリス切れも多くなる──工夫が必要になるよね。(※但しテンビンとハリスの間のクッションゴムは厳禁)
③指示ダナの中に餌があるようタナ取りをする
指示タナが「25~30m」だったら、海面から深さ25mから30mの間に餌(ハリ)があるようにタナを取る。だからビシを30mより下に落としたら、その間「釣れるタナで釣っていない」ことになる。

親切丁寧にアドバイスしてくれた三橋勇樹船長
船宿仕掛けは受付で購入できる
※取材3日後、当船で釣れた28.5kg、今後の期待は高まる

ルアーマンへのお勧めはエビングで「9月いっぱい楽しめるだろう」とのこと。近場で30kg超えの大物が期待できるこの釣り、取材3日後には28.5kgのトロフィーサイズも釣れている。まだまだ冷めやらぬ相模湾のキハダマグロ・フィーバー。次にこの魚を手にするのは、あなただ。

(釣りビジョンAPC・川添 法臣)

今回利用した釣り船
神奈川県茅ヶ崎港『まごうの丸』
〒253-0061
神奈川県茅ヶ崎市南湖6-4-16
(カーナビには「神奈川県茅ヶ崎市南湖6-18-7」で)
TEL:0467-86-5938(定休日:第1・3火曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
「まごうの丸」ホームページ
出船データ
キハダマグロ乗合
基本料金=11,500円(氷・コマセ3kg付き/HPに割引券あり)
(5時50分出船、13時沖上がり)状況により変動
※貸し道具あり(予約時に確認)
※付け餌と仕掛けは乗船前に受付で購入のこと
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