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こんなに釣れるの!? 東京湾トラフグ、早くも好釣!千葉県 浦安『船宿 吉野屋』

2025年03月04日公開

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ここ数年、早春の東京湾を熱く盛り上げている人気ターゲット「トラフグ」。実は、ブームになるずっと前から乗合船の対象魚として狙い続けてきた老舗船宿がある。今シーズンも、その実績を証明するかのように連日好釣を記録中だ。乗っ込みの“Xデー”を前に、すでにツ抜け(釣果10本超え)を達成する釣り師も現れていると聞けば、じっとしてはいられない。期待に胸を膨らませ、浦安『船宿 吉野屋』へと急行した!

心地よい風情とサービス

風情ある店構えが印象的な浦安の老舗、『船宿 吉野屋』。

今シーズン最も冷え込んだ釣行日も、まだ暗いうちから釣り人の車を丁寧に誘導する船宿スタッフ。その甲斐甲斐しい姿が、凛とした朝の空気に映える。

地下鉄東西線・浦安駅から徒歩7~8分と、電車釣行派にも嬉しい好立地。駐車場入口付近の船形から席札を取り、暖簾をくぐって店内のカウンターへ。ここで乗船料を支払い、仕掛けやエサの冷凍エビも買い揃えておくのが賢い選択だ。乗船カードに記入して、テーブルに備え付けのカゴに投函する。

会計の際に“フグ”と書かれた「乗船券」と緑色の「番号札」が手渡されるが、「乗船券」は船で船長に手渡し、「番号札」は沖上がり後に釣ったフグを捌いて貰う際に必要となるので、無くさないようクーラーなど分かり易い場所に仕舞っておこう。ウエアを着込んだり、車から道具を降ろすのは一連の手続きが済んでからでも充分だ。

フグ船は午前6時30分出船。30分前までの乗船が推奨されているが、ベテランはもちろん、近頃流行りで人気のこの釣り。5時頃の空いている時間帯に受け付けを済ませる釣り師も見受けられた。

出船前、受講しておきたいレクチャー

とかく餌盗りの巧さやアワセの難しさばかりが語られがちなフグ釣り。しかし、だからといって初心者には手が届かない魚かと言えば、決してそんなことはない。

浦安『船宿 吉野屋』では、出船のかなり前から船長が船にスタンバイ。釣り方を尋ねれば、具体的なアタリの出し方から、掛けた後のファイトや取り込みのコツまで、非常に分かりやすく教えてくれる。湾フグ初挑戦の釣り人にとって心強いサービスだが、スランプ気味の中級者や、久しぶりに東京湾のカットウフグに挑む釣り人にとっても、ぜひ活用したいサービスだ。「フグ釣りは敷居が高い」と尻込みしているあなたも、ぜひ早めに乗船して船長に教えを請うてみてほしい。ほんの数分のレクチャーだが、教わった通りの釣りをするだけで、貴重な一尾への近道となるはずだ。

仕掛けをセットして凍ったエビを魚桶のザルに入れれば出船準備は完了。定刻よりちょっと早めに「第一吉野屋丸」は出船した。

 

竿入れ間もなくトラフグが!

穏やかな東京湾を走ること約1時間、最初のポイントに到着。魚桶に入れておいたエサも程よく解凍され、頭を落としたり、ケミカルで締めたりといった下準備をするにはちょうど良いタイミングだ。

「どうぞ~」のアナウンスを合図に釣りがスタートすると、いきなり竿を曲げたのは右舷胴の間(中央)の永田さん。魚体が見えたら躊躇なくゴボウ抜きにしたその魚は、まさしく“本命”のトラフグ。これを皮切りに、船中のあちこちでアタリが続出。サイズの大小はあれど、次々とトラフグが取り込まれていった。

釣り方は至ってシンプル。「底から○メートル」と船長がアナウンスする指示ダナを探りながら、仕掛けを竿で誘い上げ、アタリに集中しながらゆっくり沈める。この所作を繰り返すだけで、「こんなにアタリがあるの?」と目を疑うほどの好反応。落ち着いてコンパクトにアワセを入れればハリ掛かりする。

1本釣れた後に、手返し良く再投入すれば連チャンする一幕も。フルドラグで遊ばせず、一気に巻き上げればバラシのリスクも激減する。これらはすべて、出船前のレクチャー通りの展開だった。

最初は「アタリがない・・・」と嘆いていた釣師も1本釣ればその日のリズムを掴み、1本また1本と、魚桶はトラフグで充たされて行った。

船長に訊くトラフグ釣りのコツ

「吉野屋」では2月からスタートしたトラフグ乗合について、田島大策船長に訊いた。

──今期のトラフグの模様はいかがですか?
田島船長「今年はちょっと細かいのも多いんですけど、数は上がってますね」

──トラフグ釣りで気を付けるべき点は?
田島船長「アタリが出るところ。止めた時と、ゆっくり落とした時にアタリが出るってことに関して、そこだけしっかり見て貰って。アワセる幅はあんまり大きくしないで、掛からなかったら次のアタリ、その次のアタリ・・・とやって頂ければ。魚の視野からエサが無くならない限りはずぅ~っとアタリ続けるんで」

──タックルについてお薦めは?
田島船長「貸し竿も一応はあるんですけど、ご自身で持ってらっしゃるカレイ釣りの竿とか、ちょっと硬めのシロギスの竿とかでも全然大丈夫です。気持ち胴に張りのある7:3くらいの竿がやり易いんじゃないでしょうか。その方がバレにくいと思います」

ちなみに、取材日に乗船していた釣師の半数はテンヤタチウオやタイラバで使う小型電動リールを使用していた。ドラグは糸が出ないところまでしっかり締めて、掛けた後は魚を泳がせずハイスピードで巻き上げる。道糸が緩むとたちまちバレたり仕掛けを噛み切られたりするので、全力のゴリ巻きと躊躇のない抜き上げを心掛けたい。

Xデー目前、釣果も味覚も絶好のチャンス!

横浜沖から観音崎沖の水深30m~60mを攻略した取材日。竿頭は2kgを頭に5本のトラフグを釣った齋藤さんと、好機を逃さず連釣を重ね5本を獲ったトラフグ初挑戦の鈴木さん。次点の4本の方が3名、船中12名で35本、ボウズ無しとみなさん笑顔の帰港となった。

帰港後、船宿で釣果を可食部だけの身欠き(棒身)にして貰う。出船前に受け取った番号札と同じ数字の書かれた桶に釣れたフグを入れて預け、番号を呼ばれたら番号札と引き替えに袋詰めされたフグを受け取るシステム。

この魚捌きサービスはフグ釣りならではの無料サービス。帰宅後の調理もラクラクで、薄造りにして刺身で味わうも良し、鍋や唐揚げ、焼きフグは言うまでもなく、中骨で取った出汁を雑炊にしたり、香ばしく焼いた骨を骨酒にするのも絶品。これこそ“フグの王様”と称される所以だ。

「釣り物自体、アタリは大きいし、掛ける動作まではそんなに難しくないので、場数をこなせばどんどん上手になる釣りです。釣り易い魚だと思います」と船長も太鼓判を捺す東京湾のトラフグ。

これだけ釣れていても実は釣果の谷間で、「竿頭19本」「白子の入った個体が上がる」など嬉しいニュースが続々釣果情報を賑わせている。「Xデー」と呼ばれる大型の個体が釣れる乗っ込み本番は目前。アタリを出してハリ掛かりさせる豊かなゲーム性と、フルドラグで思い切り竿を曲げてファイトする豪快な釣り味、そして何より白子に栄養を取られていない寒のトラフグの味覚を堪能する絶好のチャンス。ぜひ、この機会に満喫していただきたい。

今回利用した釣り船

千葉県浦安『船宿 吉野屋』
〒279-0004 千葉県浦安市猫実5-7-10
TEL:047-351-2544
定休日:火曜日 釣果・施設情報 吉野屋ホームページ

出船データ

トラフグ乗合
乗船料金:男性10,000円、女性9,000円、子供6,000円(エサ別:1パック500円)
集合:6時前までに乗船/6:30出船(準備出来次第)
貸道具:あり(予約時に確認を)
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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