2025年02月20日公開
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「テンヤタチウオ」で有名な船宿『上丸』では、タチウオ以外のテンヤゲームも楽しめる。それは“ひとつテンヤ”だ。ターゲットは無限大、さらに高級魚も狙えるとのことだが、果たしてどのような展開になるのだろうか!?
テンヤはテンヤでも今回はひとつテンヤ
集合は午前6時でお客さんが揃い次第出船とのことだったので、午前5時30分に到着するとすでに数人が準備を始めていた。その後も釣り人が続々と集結する中、私も準備を整える。
佳世船長が受付を開始。釣り人は乗船名簿への記入と受付を済ませるが、会話に耳を傾けていると何やら怪しげな雰囲気。出船自体は問題無いものの、予報より風が吹いており、本命場所までは行けないかも・・・という内容だ。「出船してみないとわからない」ということであったが、こればかりは仕方がない。
そうこうしているとエンジン始動音と共に煌々と光る船体が暗闇に浮かび上がり、村上利行船長がミラーを磨く姿が目に飛び込んできた。こういう姿を見れば釣り人も安心して乗船できる。釣り人たちの準備が整うと、『上丸』は6時15分に港を出た。
風強し・波高し
『上丸』は1時間ほど走ってスローダウン。少し遠めに「友ヶ島」、角度を変えると「沼島」が霞(かす)んで見えている。友ヶ島周辺には小さな船団が確認できたが、上丸周辺はポツリポツリといったところ。全員がスタンバイした頃合いを見計らい投入の合図が出され、テンヤが一斉に放たれた。水深は31m。
釣り人のエサをチェックしてみると、市販の冷凍エサ、それを専用の硬化剤で漬け込んだもの。さらに目を引いたのは「活きエサ」だ。中には「クルマエビ」と思われるエサをセットしている釣り人もいた。しかしながら、アタリが無い。忘れた頃にガシラ(カサゴ)が釣れていた程度である。夜が明けきり、風が強まると『上丸』は移動。周辺を探りながら移動している。そして次に投入の合図が出たのは友ヶ島に近い場所。時計に目をやると9時を回っていた。
耐え続け・・・ようやく釣果
周辺の船も苦戦している様子。釣り人はあの手この手。誘いの基本はテンヤが着底したらすぐにシャクリを入れながら誘い上げ、また落とすの繰り返しであるが、シャクリのタイミングや誘い上げる高さなど、いろいろ試している。テンヤも定番のスタイルからタイラバスタイルの誘導式など、バリエーションも豊富。使用している号数も様々であった。14号くらいが平均だろうか。ミヨシ(先端)では「8号を使って流しながら試している」という会話も。そんな中、私の横で竿を出していた釣り人が声をあげた「あそこ、竿曲がってますよ!」
左舷、胴の間(真ん中)の釣り人が魚をキャッチ。タモ越しに見えた魚は良型のチヌ(クロダイ)だった。お腹は大きくなかったものの、お尻が赤く産卵を連想させる個体。そんな写真を撮らせてもらっていると佳世船長からのヒットコール。右舷・ミヨシの釣り人が大きく竿を曲げている。暫くして海面を割って来たのはハマチ。この辺りでのハマチは40センチ~60センチを指すのだが、2尾掛かっている。竿が曲がるはずだ。利行船長がサポートする中、隣のレディースアングラーもヒットした。こちらも同サイズのハマチ。さらに左舷側のレディースアングラーもヒット!にわかに船内が活気付いた。
チャンスタイム到来!
ハマチのアタリ方を見てると「ハマチラッシュか」と思ったのも束の間。船内に静けさが戻る。本来なら小型マダイの1尾くらいは釣れてもおかしくないだろう。常連と思(おぼ)しき釣り人はサビキを投入していた。しかし、マダイはおろか、アジすらアタる気配がない。時計を見ると12時30分。万事休す。ここで移動のアナウンス「ちょっと走るよー」。見渡すと波が少し落ちている。
船内でうとうとしていると上丸がスローダウンした。友ヶ島は点となり、四国が近くなっていた。水深が60mを指す中、投入の合図でテンヤが一斉に放たれる。佳世船長に「ここが本命場ですか?」と尋ねると「そこまでは無理でした。本命場は四国がもっと近くに見えるくらい走ります」とのこと。海を見てもこれ以上は無理っぽい。そう思っていると、右舷大ドモ(最後尾)の釣り人が竿を曲げているが、ラインがミヨシへ向かっている。オマツリなのか魚なのか・・・。竿は一定のテンション維持している。
シャッターチャンスが少ないこの日、私は空振り覚悟で海面を凝視していると、海面を割って来たのはアマダイ(アカアマダイ)であった。船内にアマダイキャッチのアナウンス。それを聞いた釣り人は徹底的に底を意識。根がかりの心配も少ない環境に皆が攻の姿勢。そこへ船長からのアナウンス「もうすぐ大きな岩が来るから10mくらい一気にカケ上がるけど、勇気のある人は挑戦して!そろそろカケ上がるよ!」
ヒットコールは出るのか?すると左舷大ドモのレディースアングラーの竿が大きく曲がった。が・・・根がかりか?いや、何か違う。オマツリか?隣で竿を出していたご主人に確認を求めると「魚やっ!」。引きはおとなしいが結構な重量感に緊張感が伴う。そして電動リールから巻き上げ完了のブザー。ヒラメだっ!無事タモに収まったのは良型のヒラメ、61cmあった。
本命のポイントに行ければ期待大!
時計を見ると14時。この状況を踏まえて延長戦に入る。砂泥の中に突如出現する大きな根があるという環境に集中力MAX。フラットな海底では小型のアカアマダイがヒット。カワハギやフグを連想させるエサ取りが多い中、上丸と釣り人が一丸となって攻めている。しかし、風が強くなり止むなく引き返す。時間的にこのまま帰港すると思われたが、上丸は友ヶ島周辺でスローダウンした。
あまりにもパッとしない海況に調査を兼ねた竿出しといったところ。移動が長い分、時は既に16時。小刻みに投入と回収を繰り返すがマダイの顔は拝めず。そしてアタって来たのはハマチで、2尾掛かりやダブルヒットがあったものの、アタリ自体は少なかった。
常連の釣り人曰く「今期最強寒波の影響で波が収まらず本命場所で竿を出せなかったが、本命場所まで行ければすべてがスケールアップ。とにかくアタリの数が全然違うんです」と一言。『上丸』でのひとつテンヤは潮を見ての出船となるが、例年4月まで行っているそう。今回いけなかった本命の場所に行くことができたなら、きっとそこにはお魚パラダイスが待っているはずだ!
今回利用した釣り船
出船データ
車の場合は阪神高速4号湾岸線泉佐野北ICを降りて、住吉町の信号を右折、すぐの信号を左折。「おさかなはうす」を右手に見て、それを越えればすぐに乗船場入口がある。 電車の場合は南海本線「井原里駅」より泉佐野食品コンビナートに向かい、突きあたりを左折。「おさかなはうす」を越えてすぐに乗船場入口がある。
(出船データ)
完全予約制
乗合船タチウオ1日便1万円。餌・氷付き
女性・子供は2,000円引き
ポイントカード有り
レンタルタックル有り
無料駐車スペース有り
チャーター便も有り。要問い合わせ
この記事を書いたライター
釣りビジョンVOD
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