釣りビジョン

2015.9.15号

儀兵衛丸・神奈川県長井港
神奈川県・長井沖のカワハギ「今年は型がいい!」

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熱狂的なファンを持つ船釣りのターゲット、カワハギ。年々進化する専用タックルや、研究に研究を重ねた新釣法が次々と誕生する人気の裏で「実はあの釣りが苦手」という釣り人も多いのではないだろうか。そんな苦手意識がきっと払拭される秋のカワハギ釣りに神奈川県・長井港『儀兵衛丸』を訪ねた。

“4時間集中”のカワハギ・ゲーム

これまでの猛暑はどこへ行ったのか、季節のページをめくるように突然秋が訪れた。“イカ釣りの長井”として名高いこの港から、ちょっと珍しいカワハギ船が出ているという噂は数年前から耳にしていた。
釣り場は港から10分以内。主に水深10~20mの浅場で、朝の11時には港に帰ってくるから休日をフルに活用できる。しかも半日船だから船代もお手頃──と、そんな理想的な乗合船があると聴きながら、今回が初めての乗船となったのは、私自身がカワハギ釣りに対して苦手意識を持っていたからだ。

船宿は船着き場の目の前
釣り人思いの料金設定
船着き場は駐車スペースからすぐ

港を出て10分後に船中1匹目!

秋雨前線が降らせた雨も上がり、右舷8人、左舷7人を乗せて最初のポイントに向かった。そしてわずか8分後、水深12mの釣り場からスタート。投入2分後の船中1匹目を皮切りに、ベラやトラギスといった定番の“ゲストフィッシュ”も交じりながら、1匹、また1匹と“本命”が上がった。
右舷胴の間(中央)、貸し竿で頑張っていたのは船釣り初挑戦の曽根さん(市川市)。職場の同僚・松村さん(横須賀市)がいつも楽しそうに釣りの話をしているので連れて来てもらったとか。見事、船中4匹目を釣って笑顔。貸し竿(無料!)には仕掛け1枚(2組入り)が付いているので、初めての人でも気軽にチャレンジできるのも魅力だ。

出港10分後に船中1匹目を釣った三浦さん(中央区)
船中4匹目は船釣り初挑戦の曽根さん
先輩の面目を保った1匹、松村さん

「寒くない」それだけでこんなに釣りやすい

右舷ミヨシ(船首)の井田壮さん(茅ヶ崎市)は、シーバスや“青物”大好きのルアーアングラーで、この日は奥さんのお父さんにあたる相川弘二さん(逗子市)との初釣行。餌の付け方から誘い方、合わせのコツを教わりながら、人生初カワハギを釣り上げた。「私を超えてもらわないとね」とほほ笑む相川さん、実は『ダイワ・カワハギオープン』のファイナリストだ。
そんな心暖まる親子の姿を眺めながら、ふとこれまでのカワハギ釣りと異なる開放感に気づいた──そう、寒くないのだ。考えてみたら、こんな時期にカワハギ釣りをしたことがなかった。たったそれだけで、面倒だと感じていたアサリの下処理や餌付け、アタリが遠のいた時のモチベーション維持が苦痛でなくなる。「この時期なら、誘ってもいいかと思って──」。さりげなく娘婿を気遣う相川さんの言葉に、釣り師の優しさを垣間見た。

カワハギ初挑戦、井田さんのファーストキャッチ
この日の船中最大27cmを頭に8匹の釣果で船中2位の相川さん
かじかむ手では難しかった餌付けも、この時期なら簡単♪

浅場はアタリ明確、上げ下げもラクラク

右舷トモ(船尾)に陣取り、終始談笑しながら釣りを楽しむ岡本正司さん(横浜市)と中野竜馬さん(川崎市)は、「儀兵衛丸」への乗船は初めて。岡本さんは一流し目の45分で8匹を釣るハイペースで「普段はベラ釣りを専門にしているんですが(笑)」と冗談も絶好調。「浅場の釣りはアタリが分かりやすいし、オモリも軽くて済むから仕掛けの上げ下げもラク。何よりこの時期なのに釣れてくる型がイイ!」とベタ褒めだ。中野さんは “親子で6,500円”という「儀兵衛丸」の親子割引に驚いて「次は娘と来ます」と再訪を宣言していた。確かに4時間の釣りなら、たとえ船酔いをしても船室で寝ていればしのげるし、魚種を問わなければアタリも多く飽きさせない。食べて美味しく、下ごしらえの容易なカワハギこそ、“食育”にもってこいの対象魚なのかも知れない。

「浅場の釣りはイイ!」ご満悦の岡本さん
「次は娘と来ます」子煩悩な中野さん
明確なアタリ、強烈な引き、良型揃い…浅場の魅力は尽きない

左舷トモ、7匹で船中3位の難波さん(多摩市)
オモリからハリスを伸ばしてウキスッテを結ぶ“欲バリ仕様”

釣り人のニーズに沿った乗り合いプラン

朝の快進撃から後が長かった岡本さん、ラスト1投で“ツ抜け”の竿頭
かくして、“本命”の釣果が0という人もいたようだが、概ね2~4匹は“お土産”になった今回。船長に尋ねたところ、この日のカワハギは、非常に狭い範囲に固まっていたため、釣れるスポットに船が入る(時合ならぬ)“地合”を逃さないことが釣果に結びつくようだった。そのためには、流している間常に集中を切らさない持久力が必要になるワケだが、そんなピリピリするような状況になっても、この季節の朝4時間なら決して疲労困憊するほどではない。
「休みの日は、ちょっと寝過ごすと10時や12時になっちゃうじゃないですか。その朝の時間を釣りにあてれば、残りの時間を家族サービスや、釣って帰った魚で夕飯を作ったりもできる」と語る梶ヶ谷船長。釣り人が家族やお財布に気兼ねなく釣りを楽しむためのアイデアが、この“ショート・カワハギ”の始めの一歩なのだ。
カワハギ釣りの3大マイナスイメージ「寒い・難しい・疲れる」を根底から覆す「快適・釣りやすい・お手軽」な『儀兵衛丸』の新提案“ショート・カワハギ”。カワハギ釣りが苦手だと思っている方にこそ、ぜひお試し頂きたい。

「釣り座に日よけのある船を造るのが夢」と語る梶ヶ谷泰宏船長
気の利いた品揃えと良心的な価格が嬉しい
仕掛図

(釣りビジョンAPC・川添 法臣)

今回利用した釣り船
神奈川県長井港『儀兵衛丸』
〒238-0316神奈川県横須賀市長井5-3-5
TEL:046-856-2758
定休日:第1・3・5金曜日
詳細情報(釣りビジョン)
儀兵衛丸ホームページ
出船データ
カワハギ乗合
基本料金=5,000円(午前午後通し乗船は +3,000円)
(午前船:7時出船、11時沖上がり/午後船:11時30分出船、15時30分沖上がり)
※貸し道具あり(無料)
※付け餌は乗船前に受付で購入のこと(冷凍アサリ:800円)
※午後船のみの利用は要予約
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