2025年02月13日公開

関西エリアのカワハギ釣りで注目度の高い和歌山県日ノ岬。数も型もよく、釣期も秋から始まり、翌年の5月までロングランで楽しめる釣場として人気が高い。メインとなる水深が40m~50mの深場であることもテクニカルな釣りを好むカワハギファンを魅了している。2024年12月2日、その難易度の高さを、的確な釣り方と最適なタックルを駆使して攻略した鈴木孝、佐々木健仁の両名。その模様を振り返りつつ、2人によるカワハギ釣り攻略〝なるほどネタ〟をお届けする。
先ずは港前を探索
比井港を出た「岬丸」は速度を上げることなく港前の水深26mラインで止まった。続いて「始めていきます」と船長から投入の合図。深場と聞いていたので少々意外だったが、佐々木マスターはキャストして〝ヨコの釣り〟、鈴木マスターは船下を〝タテの釣り〟で探り始めた。「これカワハギのアタリか?」と佐々木マスターがつぶやく横で鈴木マスターが掛けた。上がってきたのは25cm級のカワハギ。ここで鈴木マスターからなるほどネタが飛び出した。
なるほどネタ1【ベタ底で他魚のアタリが多い時は、オモリを浮かせる】
「オモリ1個分、海底を切ったところでアタってきました」。オモリを海底に着けている佐々木マスターにトラギスか何かの他魚のアタリが続いていることから、鈴木マスターはそれをヒントに一つの正解を導き出した。「カワハギ釣りとしてはセオリー通りかな」という鈴木マスターは、海底からオモリを切り、少し速めの誘いで再現性を追求していく。
また、この日の鈴木マスターの仕掛けは4本バリ。少しでも広いタナを探るために4本にしていると言う。喰いが立ってきたら上か下のハリを抜いて手返し勝負に対応するとのこと。これも東京湾で培った引き出しである。そして〝ヨコの釣り〟を試す佐々木マスターにも本命がヒット。オモリを海底に置きながらの釣りに「違う魚かな?」と半信半疑に上げてきたらカワハギだったという。この港前では30分程度の探索で移動が告げられ、船長は日ノ岬沖へと舵を切った。
水深40mの日ノ岬沖は潮流速度1ノット
この日の本命ポイントは潮流速度が1ノットとカワハギ釣りとしてはやや難易度が高い。2人が好きなスタイルは〝ヨコの釣り〟だが、フルキャストしてもほとんど道糸に角度がつかず、ここでは〝タテの釣り〟一択となってしまう。この状況で佐々木マスターがなるほどネタを披露。
なるほどネタ2【仕掛けを上下にゆすって誘い続ける宙釣りもある】
穂先の柔らかい竿で仕掛けを上下にゆすると目感度のアタリを出せるという宙での誘い方。ゆすっている間の、竿先の違和感を目で捉えてエサを吸い込ませる。このポイントで流し始めて最初の2投は宙でエサを取られたが、次の投入ではアタリを出した。仕掛けを止めてしまうと、いつの間にかエサが取られるため、宙でしっかりゆすって動かし続けることが重要だと言う。水深が40mと深く潮が速い状況では、静かに上下するだけではアタリがぼやけてしまうと言うのだ。そして、この釣り方をアシストしてくれる竿が「ステファーノリミテッドM175」。しなやかな穂先で仕掛けを優しく動かしてアタリを出し、目感度だけではなく、手感度まで伝わってくると言うのだから、日ノ岬沖の様な釣り場で大きなアドバンテージとなるだろう。
ゆすり掛けのアタリとアワセのタイミング
「僕は〝ゆすり掛け〟と呼んでいます」。と鈴木マスター。彼もまた同じく宙で仕掛けを動かし続けてカワハギを掛けていた。そしてこの〝ゆすり掛け〟のアタリからアワセについてなるほどネタを披露してくれた。
なるほどネタ3【ゆすり掛けは、ハリまで吸い込んだアタリを見極めてアワせる】
宙で仕掛けをゆすっていると竿先にアタリは出るのだが、出たアタリの識別があると言う。「ググッと押さえ込んで竿先がモタれるだけだとエサの端っこを引っ張ている状態」。「ゆすっている間にカチッという鋭いカーボン穂先ならではのアタリが出た時は完全にハリが口の中に入ってロックしている状態」。ここがアワせるタイミングで、このカチッという音は耳に聞こえる音ではなくロッドを持つ手に感じる音だと言う。
水深50mで深場の釣りを満喫
潮流が止まり、アタリが途切れた午前9時を過ぎ、船長は10分ほど真沖に船を出した。水深は、鈴木マスターでさえ数年ぶりという50m。ここまで順調にアタリの出ていた宙の釣りも後が続かなくなってきたところで、佐々木マスターがなるほどネタを絞り出す。
なるほどネタ4【宙でアタリが無ければオモリを海底に置く】
ここでは、ただオモリを海底に置くだけではなく、仕掛けの上部に装着した中オモリをゆすってエサを動かしていた。これがボトムの釣りとして使える一つの要素になる。「150cmほどオモリを持ち上げて誘いをかけ、エサを目立たせてから海底にオモリを持っていく」→「オモリでトントン海底を小突く」→「ゼロテンでアタリをみる」→「中オモリを動かして誘う」→「ゼロテンでアタリをみる」という組み立てで、一連の流れを繰り返す。
もう一つの注意点は、海底を意識するあまりにオモリを置きっぱなしにしてしまうとオマツリの原因にもつながる事だ。佐々木マスターは「今はトラギスや他魚のアタリが少ないのでオモリを置いています」というように、エサ取りの状況も考えた上での判断である。こうした刻々と変化する状況に対応できるかが勝負所であり、カワハギ釣りの面白さでもある。
5月まで楽しめる日ノ岬沖
2025年1月も日ノ岬沖のカワハギは順調に釣れており、出船できれば好釣果で安定している。動画では深場の〝タテの釣り〟について誘いのタイミングやアタリを出すための、実践的なテクニックを紹介しているので、釣行の前にぜひ一度チェックして欲しい。特にMVN賞(最高のなるほどネタ)に輝いた鈴木マスターのなるほどネタは必見!魚影も濃くアタリの多い日ノ岬沖で〝タテの釣り〟を追求しては如何だろうか。
この記事を書いたライター
釣りビジョンVOD
その他オススメ記事
