2015年10月15日公開
猛暑が治まった途端、秋の気配が漂い季節が早まった感じだが、海も同様なようだ。例年なら今頃は、まだスルメイカの時期だが、既にヤリイカが釣れ出した。乗合船を出し始めた千葉県・勝山港『新盛丸』に出掛けた。
午前5時半に出船
9月29日、東京湾・アクアラインから館山自動車道に入り、鋸南富山ICを降りて、勝山港入口に午前3時半過ぎに着いた。港入口右前方に『新盛丸』の駐車場の看板がある。駐車場一番乗り。所々の街灯の他は漆黒の闇。4時過ぎになると「新盛丸」が舫ってある岸壁の駐車場には釣り人の車が並んだ。船に灯かりが点ると岸壁に軽自動車が来て受け付け開始、総勢12人が乗り込んだ。東の空が少し白みかけた5時半、大船長に見送られて岸壁を離れた。
最初はスルメイカを狙い、40cm級がポツリポツリ
赤灯と白灯の間を抜けた船は、洲崎沖に向かった。夜明けの海上を50分、洲崎沖に到着。「最初はスルメをやります、18cmのツノ、150号のオモリを用意してください」と艫居正悟船長からアナウンス。北風があるものの穏やかな海、群れを探していた船の舳先が風上に向けられると、「いいですよ!水深は120m、底の方から20mに反応があります。探ってください」と船長。
150号のオモリと共に18cmの色とりどりのプラヅノが海中に投げ込まれた。しかし、一流し目、二流し目はカラ振り。場所を移動しながらポイントを探る。常連で左舷トモ(船尾)に座った加藤宏光さん(千葉市)から「乗った」の声。手を伸ばして赤銅色の40cm級のスルメイカ2杯を取り込んだ。その後もあちらこちらでスルメイカが1杯、2杯と取り込まれたがそこまで。2時間近く探りまわって1杯から5杯を確保したところで見切りを付けた船長、「上げて下さい。白浜沖に走ります。ヤリイカの仕掛け(11cmのプラヅノ)に替えておいてください」とアナウンス。仕掛けが上がったのを確認してエンジン全開で南に向かった。
2投目からポツポツも多点掛けはマレ
右手に伊豆大島がボンヤリと浮かぶ、左手は房総半島の稜線が見える白浜沖に到着、周りを見たが釣り船の姿はない。魚探を見ながら右、左と旋回してエンジン音が低くなって潮回り、船首が風上に向けられて船が停まった。「やってください。水深160m。底から10m位まで探ってください」と言う合図と共に一斉にイカ投入器からプラヅノが威勢よく飛び出した。1投目はカラ振り、少し移動して2投目は200mダチ。ツノ数はまちまち、6本の人もいれば12本の人もいる。あちらこちらで竿がシャクられる。間もなく船の前方と後方で電動リールの巻き上げ音が聞こえて来た。低速回転での巻き上げだ、身の軟らかいヤリイカは早巻きだと身切れしてバレてしまからだ。うす濁りの海中に透き通った“本命”ヤリイカの影。しかし、小振りだ。「お~二ツだ」、「こっちは一ツだ」、「足だけついているよ」等の声。右舷トモの清水威人史さん(埼玉県)が3点掛け、そして左舷トモの加藤さんも3点掛けだ。2人とも同じようなピッチでリズミカルにシャクっている。
型は20cm級がメイン!
船長も言っていたが、まだ時期が早いので型は20cm前後の小型がほとんど。水深160m、200mと色々ポイントを探る。硬目の竿はシャクリ上げる竿先に小さいながらもクッとアタリが明確だ。柔らか目の竿はシャクリ上げて竿先を見ているとクンクンと竿先を揺らしながら竿先が沈む-これを見逃さないことが釣果につながる。九州・トカラ列島にも遠征すると言う清水さんは、仲間5人と昨日も乗ったと言う。慣れた手つきで12本のツノを巧みに操り確実にヤリイカを乗せている。隣の紅一点、佐藤ひとみさん(埼玉県)も一生懸命シャクリを繰り返し、ポツリポツリ取り込んでいた。左舷ミヨシ(船首)の松本裕幸さん(群馬県)が、2点掛けで取り込んだ。「多点掛けと思ったらスルメだったよ」とは榎本順一(練馬区)さん。「多点掛けが欲しいよ」と言うのは滝田浩介(八王子市)さん。潮が緩く2投目は乗る数が少ない、それでもポツポツと釣れ続いた。
“ゲスト”にはメダイ
右舷2番目で竿先がクンクンと引き込まれた。「サバかな、いやもっと引くよ」と言いながらリーリング、途中強い引き込みをみせ、50cmほどのメダイが船長の差し出したタモに納まった。嬉しい“ゲスト”だ。ツノに乗ったイカをパクリとやったのだろう。清水さんグループの1人、梅田拓郎(埼玉県)さんは左舷2番席で必死にシャクるが、「スルメイカが1杯とヤリイカが5杯だよ」と、前日の疲れも出たのかボヤキも出た。
風が吹き出しバラシの連続
時間と共に南風が強くなり、小さなウネリと共に白波が立ち始めた。間もなく立っているのが難しいくらい船が揺れ出した。それでもミヨシでトモで、胴の間(中央)で、乗りは活発、竿先がグングンと沈み込んだ。「乗ったよ。何杯ついてるかな」の声が聞えたが、リーリング中に「あっ!バレた」、「軽くなった」、「一ツになっちゃた」等の声に変わった。船の揺れと潮の加減か足だけや墨がついたツノが多くなった。常連さんはツノについていた身や墨を歯ブラシで綺麗に落としている。ツノに墨や身切れが残っていると絶対と言っていい程イカは乗らない。
スルメ交じりでトップは45杯、2番手44杯!!
その後も乗りは活発だったが、取り込みは1点掛け2点掛けが続き、スルメ交じりでトップは45杯の清水さん、左舷トモの加藤さんが44杯、紅一点の佐藤ひとみさんも20杯近い釣果だった。スソ(最低)は船酔いで中断していた梅田さんの12杯。“足だけ”“墨だけ”を加えれば、釣果は2、3割増しだったはずだ。
船長は、「ヤリイカは居ますよ。これからが本格的なシーズン、徐々に型も大きくなるでしょうし、今シーズンは期待出来ますね」と、明るい見通しを立てていた。