2025年04月12日公開

今回は中部山岳地帯である長野県木曽町の開田高原が舞台。長野県がメインフィールドである私もフィールドワークのため足繫く通っていた時期があった。アングラー達を魅了するヤマトイワナやタナビラの生息域であるが、同時に激戦区でもある。本番組は源流域での釣りを愛する地元アングラー橋爪幹が、渓流魚との出会いから実践的な釣法まで解説してくれるためオススメだ。
舞台は山岳渓流でも激戦区である開田高原
「初めてきたのが10年前、年に2‐3回は訪れる川。初めて開田で釣りをした川で思い出深い」。そう語るのは山岳渓流で出会うネイティブトラウト達を愛する男、橋爪幹氏だ。
ホットなフィールドを模索する徹底した情報収集に加え、10km以上に及ぶ林道歩きを苦ともしないトラウトバム脱帽の姿が垣間見える。
初日は、通いなれた支流へ。
釣りビジョンVODでは漁協名と日釣り券額が明記されるため、「日釣り券の取り扱いなんて分からない…」。といった初心者にありがちな不安事項をしっかりカバーしてくれるから有難い。
私は長野県の山岳渓流をメインフィールドにしているため、多くの河川と管轄漁協を渡り歩いている。里川や放流が盛んな区域においては河川名を表記、今回のように山岳渓流でひっそりと暮らす渓流魚達が対象の場合は場荒れに配慮した映像構成となっており、ホッとさせられる。
番組では、演者が指摘したポイント着目を余すことなく表記してくれるため、アングラー達に対する釣りビジョンVODのサポート性能には惚れ惚れする。
ネイティブトラウト達へのテクニカルなアプローチの数々
「流れがゆるいところ、流心についているイメージがない。イワナをメインで狙っており、イワナは流れが緩い所にいるためそこを狙っていく」。どういった場所に居ついているのかというアングラーなら全員気になる点をカバーしてくれるのは有難い。
前日までの天候の影響により水量が多く、魚の隙を見つけるのに苦戦するかもしれないことが危惧されていたが、普段から厳しい自然環境下の源流域でフィールドワークを生業にする橋爪氏の姿勢は瞬き厳禁。
テクニカルなポイントでは手前からアプローチを徹底、水量が多いためアップだと厳しい。アップクロスに投げて、効率よくゆっくりキャストするが、反対に岩場との間ではダウンクロスで狙っているシーンが見られる。
「いいポイントですね、どうやってせめようか。左側から回って左がシャドウだから右側につくだろう」。渓相を冷静に分析しながら、なぜそのような判断を下したのかを平易な言葉で解説してくれる点は、実践的な知識と技術を得ることに繋がり有益でしかない。可能な限り上流に落とし込んで、リフト&フォールで誘うことで得られる一匹は格別の限りである。渓魚の容態を観察し、腹部の膨らみ具合から陸生昆虫を捕食している可能性を示唆、時間帯に伴う活性を意識し多数のアクションを使い分けている点からも卓越した技術を感じる。
溢れる渓魚への愛、catch&photoの体現者
「なかなか追わないですねぇ」木漏れ日の中、のびのびとキャストする気持ちさは釣り欲を掻き立てる。同時になかなか渓魚が姿を出してくれない点に「こい、こい、追ってはない」と切実な発言が出ることで、リアルな釣行がひしひしと伝わる。ヒット時「ありがとぅー!」と興奮しながらも、ヤマトイワナへの負荷をなるべく軽減させようと手をしっかり濡らしているさりげない配慮は、ネイティブトラウト達を相手取る覚悟がにじみ出ている。
「かわいいサイズだけど、釣れただけで感謝」。という発言には好感しか持てない。
サイズがあり写真映えするような個体ばかりにしか興味を示さず、口だけで綺麗事を並べるアングラーは実際多いのが事実。私も大勢見てきたし、行動と結果を示さないことからも山岳渓流釣りへの向き合い方が容易に露呈する。
番組内の橋爪氏は、おもむろにカメラを取り出し一匹一匹真摯に向き合っている。普段から写真も楽しんでいるのかという質問に対して「綺麗なのが釣れたら写真に収める。それもまた釣りの楽しみですねぇ」。と笑う姿。探索的な回答ではなく説明的に直ぐにレスポンスできるのは、普段から感じていることであり誤魔化しはない点も魅力的だ。
共に岳都である松本市で釣り談義を楽しんだことのある私から見ても、釣りビジョンVODの番組を意識した緊張感が伝わるが、山岳渓流を取り巻く情熱は変わらずストレートに飛び込んでくる。
自然の中へ身を投じ目の前の出来事に持てる知識と技術を駆使して、「釣り」を楽しむ〝トラウトバム〟の姿を是非見てほしい。
この記事を書いたライター
釣りビジョンVOD
その他オススメ記事
